『サムシング・ロッテン』とは
2015年ブロードウェイ初演のミュージカル。
脚本はJohn O'FarrellとKarey Kirkpatrick、音楽はKareyとWayneのKirkpatrick兄弟による。
トニー賞には10部門ノミネートされ、1部門(シェイクスピアを演じたクリスチャン・ボールに対してミュージカル主演男優賞)受賞した。
英語表記はSomething Rotten!となる。
演出は福田雄一。
↓Broadway original castによるperformance
あらすじ
ルネッサンス時代のイギリス。
売れない劇作家であるニック・ボトムは、弟のナイジェルとともに自身の劇団を運営していた。
時代の寵児であり、スーパースターの劇作家ウィリアム・シェイクスピアに、ニックは対抗心をむき出しにするが、劇団運営に行き詰まり、妻ビーの目を盗んで預言者トーマス・ノストラダムスのもとを訪ねる。
そして、彼のお告げに従い、世界初の歌って踊る「ミュージカル」を書こうと決意する。
しかし、初めてかく「ミュージカル」がなかなかうまくいかず、ニックはついにシェイクスピアの最大のヒット作を先取りしようとノストラダムスのもとを再訪。
新たな予言で。ヒット作のタイトルは『オムレット』だと言われたニックは、ミュージカル『オムレット』を生み出すために悪戦苦闘する。
劇作家としての確かな才能を秘めている弟のナイジェルは、兄の言うことを聞きつつも「卵の物語なんか書きたくない!」と思い悩む。
そんな中、出会った美しい清教徒の娘ポーシャと恋に落ち、新たなインスピレーションが生まれていた。
一方、「『ロミオとジュリエット』に続く大ヒット作を書かねば」と人知れず思い悩んでいたシェイクスピアは、以前からナイジェルの才能に目をつけていたため、彼からなんとか次作のアイデアを得ようと画策する。
そこで、シェイクスピアはトービー・ベルチという俳優志望の少年に変装し、ニックの劇団に潜入する。
後の大ヒット作『ハムレット』の土台となるアイデアをどんどん盗んでいくが。
キャスト
ニック 中川晃教
ビー 瀬奈じゅん
ナイジェル 平方元基
ポーシャ 清水くるみ
感想
あけましておめでとうございます。
2019年最初の投稿は、昨年末に観劇したミュージカルから早速いってみたいと思います。
この作品は大好きで5ヶ月ほど前にチケットを取り、以来ずっと楽しみにしていました。
ただミューオタの間では様々な意見のある福田演出であり、私でさえ前回『シティ・オブ・エンジェル』を観劇した際には辛辣な意見を言ってしまったほどですが、今回は大好きな作品である上に、これまた大好きな中川晃教さんが主演することもあり、迷わずいくことにしました。
↓今回の公演のゲネプロ風景
会場に入ると、メインキャストの舞台衣装のデザインが展示してありました。
凝ったお洋服のデザインを見るのは好きなので、これには興奮しました。
向かって左から順番に、ナイジェル、ビー、ニック、シェイクスピア、ポーシャ、ノストラダムスのものかと思われます。
至近距離でも撮影。
こちらがナイジェルとビー。
ナイジェルは好青年らしく、ビーは敬虔で賢明な人妻らしいお衣装。
こちらがニックとシェイクスピア。
胸元が開いていてセクシーな出で立ち。
男性キャストのブーツ(に見えていたもの)は近くで見るとこのようなレッグウォーマーのような覆い被せるタイプだったのですね。
こちらがポーシャとノストラダムス。
ポーシャのドレスはふんわり感が可愛いですし、ノストラダムスは肩周りのデザインから威厳が感じられます。
さて、観劇直後の感想ですが…
Something Rotten。改めてこのscoreどストライクで好きだと実感。玄人受けする愛のつまったミュージカル賛歌。確かに途中で福田氏らしい長々しいくだりは何度かあるけれどliveでfullでperformanceを観られたというだけで幸せという単純な私。中の人ネタを今日来ていたBW関係者がどう評価するかは不明。
— るん (@nyny1121) 2018年12月29日
めくるめくミュージカルネタの数々に抱腹絶倒しながら、あっという間に時間が過ぎていきました。
この作品のミュージカルネタは有名作品からの出典もありますが、一部は相当マニアックなため、全てを拾うのは一般の方には難しいかも知れません。
「いやいや我こそは真のミューオタなり!」という方はぜひ一度ご体験いただければ、はまってしまうこと請け合いです。
細かい解説は他サイトに委ねますが、「この『ジプシー』のファンファーレわかる人いるのかしら。もしかしてこの劇場内でわかるの私だけでは?」などと思い上がっていました。
事前に心配していた福田さん演出や中の人ネタ(演者にまつわるネタを劇中に取り入れること)。
私が苦手な福田演出は以下。
- ミュージカルの流れが遮断されてしまうほどの長ゼリフ
- 作品内容とはあまりに無関係な時事ネタ
- 作品とはあまりに無関係な出演者に関するネタ
これらはoriginalのミュージカル作品への冒涜だと思いますので、即刻やめていただきたいです。
今回は西川氏の消臭力に関するネタでした。
協賛なのかも知れませんが、私は不愉快でしたし、観に来ていたブロードウェイ関係者に日本語はわからないからやってもいいやというのは、失礼極まりないと思います。
その他、随所で長ゼリフが散見されました。
一幕で立ち去る方もいらっしゃいましたが、私はもともとの作品の良さに免じて結局最後まで観劇しました。
SR②OBCRの0.7倍速くらいslowだったのにopening numberの歌詞聴き取れず。原語の方が聴きやすいという不思議。私の耳のせい。ゆっくりはっきり歌うのには賛成。
— るん (@nyny1121) 2018年12月29日
アッキーの少年感に萌え。瀬奈さんの安定感。ポーシャのキャラづけは苦手。タップ歴8年なのでダンスシーンは楽しかった。あとはblogで。 pic.twitter.com/VrDd6ZFRBd
確かにoriginal broadway cast盤と比べるとかなりゆっくりめだったのですが、それでも一部聴き取れず、少し残念でした。
ただ、テンポを落としてはっきり発音することで歌詞を観客に届けようという姿勢には私は賛成です。
キャストですが、アッキー(中川晃教さんのこと、以下略)はコメディアン気質を存分に感じられるパフォーマンスを披露し、今回も期待を裏切ることはありませんでした。
一幕のトリを飾る「Bottom's Gonna Be on Top」では、『ジャージー・ボーイズ』でフランキー・ヴァリを演じたアッキーだからこそできる高音voiceを披露していて、すっかり魅了されました。
ニックの妻を演じた瀬奈さんは宝塚時代を想起させるパフォーマンスを披露していて、きっとヅカファンの方々は黄色い声をあげられていたのではないでしょうか。
瀬奈さんの声は3階席後方の私の胸までズンと届いたので、瀬奈さんの歌う場面ではいつも安心感がありました。
平方元基さんは今までも何度も拝見していると思うのですが、soloで歌声を拝聴するのは今回が初めて。
よく通る歌声で、歌詞の内容も客席に伝わりやすく、小野田龍之介さんのような素敵なミュージカル俳優さんがまた出てこられたなぁと思いました。
西川さんと橋本さんはいうまでもなく、bravo!
清水くるみさんは初めましてでしたが、アニメ風に落とし込むポーシャのキャラ作りは私にとっては少し苦手でしたし、歌も他のキャストと比べて未完成でしたね。
次回に期待です。
舞台装置ですが、ニックたちの劇団の稽古の場面ではシェイクスピアに関する劇でよく出てくる二階建ての木造セット、シェイクスピアの登場シーンでは舞台上にさらにステージが設けられました。
私は恥ずかしくてあまり振らなかったのですが、押すと光るボールペンを振ってノッてもいいことになっていて、シェイクスピア登場シーンではややライブ会場のような雰囲気になりました。