ミュージカルは終わらない Musicals won't be over.

舞台ミュージカルを中心とした、ミュージカル映画、演劇、オペラに関するブログ

『恋の骨折り損(2000)』Love’s Labour’s Lost

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恋の骨折り損(2000)』とは

2000年に公開されたイギリスのミュージカル映画

シェイクスピアによる同名戯曲を基にし、舞台を1939年に設定変更しミュージカル映画化したもの。

ミュージカルナンバーは既存曲のみでオリジナル曲はない。

監督はケネス・ブラナー

あらすじ

ナヴァール王国の王フェルディナンドとその友人ビローン、ロンガヴィル、デュメインは学問に専念するため、3年間女性に会わないという誓いを立てる。

そこに、フランス国王が病に臥したため、代わりにフランス王女とその侍女たちが交渉のためにナヴァール王国に訪れることになる。

フェルディナンドらは誓いを守るため、王女たちを城内に入れないという条件つきで会うことにするが、彼らは王女たちにそれぞれ一目惚れしてしまう。

誓いがある手前、直接会いにいくことはできず、コスタードらを使って密かに手紙を出そうとするが誤った相手に届いてしまい、城内は大混乱となる。

フランス国王が逝去した知らせが入り、王女一行は急に帰国することになる。

フェルディナンドらは愛を打ち明けるが、王女たちは1年経った後も今と同じ気持ちであれば了承すると伝え、ナヴァール王国を去る。

キャスト

ビローン  ケネス・ブラナー

フェルディナンド  アレッサンドロ・二ヴォラ

ロンガヴィル  マシュー・リラード

デュメイン  エイドリアン・レスター

フランス王女  アリシア・シルヴァーストーン

ロザリン  ナターシャ・マケルホーン

キャサリン  エミリー・モーティマー

マリア  カルメン・イジョゴ

コスタード  ネイサン・レイン

ドン・アルマード  ティモシー・スポール

ジャケネッタ  ステファニア・ロッカ

ボイエ  リチャード・クリフォード

ナサニエル  リチャード・ブライアーズ

感想

シェイクスピアの喜劇を既存曲で彩ったミュージカル映画です。

ケネス・ブラナーのことはこの映画を観るまで、ハリーポッターシリーズのギルデロイ・ロックハート教授としてしか知りませんでしたが、数々のシェイクスピア作品を手がけている方のようですね。

そのため、ミュージカル映画を作ろうというより、「シェイクスピア作品をミュージカル調で作ろう」という意識の方が強かったようです。

ミュージカル畑の役者さんが非常に少なく、正直聴くに耐えない歌唱シーンが多かったです。

劇中で使われていナンバーの選曲も何というか、陳腐で面白みに欠けます。

喜劇をミュージカルとして描きたいという意図は理解しますが、企画倒れに終わってしまっている印象です。

▼「I Won't Dance」


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また、ミュージカル映画でよく起こりやすいことなのですが、冒頭の「I'd Rather Charleston With You」で、曲前はホールでの会話は反響していたのに、歌になった瞬間から反響がなくなり、思いっきり別撮り感が出てしまっていて、違和感がありすぎました。

これはこの作品以外でもよく起こっていて、許容範囲内のものもありますが、今回のはあまりに露骨で残念でした。

そんな作品の中でも、唯一観るべきなのはコスタード役のネイサン・レインです。

ここで断言してしまいますが、私はこの映画をネイサン・レインのために観ました。

持ち前のshowmanshipでミュージカルコメディとしての面白みを引き出してくれています。

▼「There's No Business Like Show Business」


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全体を通して観た感想としては、積極的にお勧めしたいミュージカル映画ではありませんでした。