ミュージカルは終わらない Musicals won't be over.

舞台ミュージカルを中心とした、ミュージカル映画、演劇、オペラに関するブログ

『シークレット・ガーデン』2018.7.8.17:00 @シアタークリエ

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『シークレット・ガーデン』とは

1991年ブロードウェイ初演のミュージカル。

原作はフランシス・バーネット作の同名の児童小説。

トニー賞を3部門で受賞。

今回が日本初演で、今年2018年ブロードウェイで、シエラ・ボーゲス主演で再演が予定されている。

あらすじ

1900年代初頭。

イギリス領インドで育った10歳の少女メアリーは、両親を流行していたコレラで亡くし、イギリスのノースヨークシャーに住む伯父アーチボルドに引き取られる。

しかし、アーチボルドは、最愛の妻リリーを亡くして以来すっかり気難しくなってしまっていた。

彼はリリーの面影を留めた息子とも距離を置き、屋敷にはすっかり沈んだ空気が漂っていた。

庭を散策していたメアリーはある日、「秘密の花園」の存在を知る。

リリーが大切にしていた庭園で、彼女の死後にアーチボルドが鍵をかけて閉ざしてしまったという。

ふとしたことからその鍵を見つけるが、肝心の扉が見つけられない。

日々の暮らしの中でメイドのマーサやその弟ディコンをはじめとした使用人達を徐々に打ち解けて行くメアリー、しかしその一方でアーチボルドは、どこかリリーに似ているメアリーを気に掛けながらも自身の殻から抜け出せずにいた。

アーチボルドの息子コリンは、叔父で医師のネヴィルの言いつけにより屋敷の部屋から出ずに暮らしており、足が不自由なひねくれた少年に育っていた。

突然現れたメアリーにもはじめは猛反発していたが、遠慮なくぶつかってくる彼女に次第に心を開いていく。

ある日、リリーの不思議な導きにより「秘密の花園」の扉を発見したメアリー。

枯れてしまった庭を蘇らせようと、ディオン、庭師べんとともに、アーチボルドには秘密で手入れを始め…


『シークレット・ガーデン』ダイジェスト 舞台映像

キャスト

アーチボルド 石丸幹二

リリー 花總まり

ネヴィル 石井一孝

マーサ 昆夏美

ディコン 松田凌

メアリー 池田葵

コリン 大東リッキー

ベン 石鍋多加史

ローズ 笠松はる

アルバート 上野哲也

苦行僧 大田翔

ライト中尉 鎌田誠樹

ミセス・メドロック 鈴木結加里

アーヤ 堤梨菜

ミセス・ウィンスロップ 三木麻衣子

感想

日曜日ソワレに行ってまいりました。

この作品は、ずっと待ち焦がれていた作品の一つで、何度もオリジナルブロードウェイキャスト盤を聴きながら想像していましたが、今回はそれを全く裏切らない仕上がりで、満足のいく観劇となりました。

今年11月にブロードウェイでリバイバルが予定されている本作ですが、初演ではメアリー役の女優さんが当時最年少でトニー賞主演女優賞を受賞しました。

また、初演時のディコンを、『ヘドウィグ・アンド・アングリー・インチ』で知られるジョン・キャメロン・ミッチェルが演じており、彼は本作でブロードウェイデビューを飾りました。

ヘドウィグとは程遠い役柄ですよね・・・

今回、石丸さんが演じるアーチボルドは、その時マンディ・パティンキンが演じていますが、石丸さんは彼の役をフォローしているのかなと思っています(『Sunday In the Park With George』のジョージとか)。

↓『The Secret Garden』1991年のトニー賞授賞式でのパフォーマンスです。


The Secret Garden Tony Awards 1991

さて、今回の観劇前に、小学2年生ぶりに原作小説を読んでみましたが、小説ではメアリーやコリン、ディコンなどの子どもたちの視線で描かれている一方、ミュージカルではそれに加えて、アーチボルドやネヴィルの関係性、さらに亡くなったリリーやローズまで回想シーンで登場し、小説では描かれていない大人たちの視線も描いています。

また、舞台上のデザイン、装置、照明が幻想的な雰囲気を醸し出していて美しかったです。

暗い屋敷の中と、閉ざされていた秘密の花園の扉の向こう側の対比が印象的でした。

事前にinstagramで石丸さんが紹介されていた、劇中に使われる効果音を奏でる楽器も、気になりました。

小説の中では、メアリーやコリンは相当放蕩なクソガキとして描かれていますが、子役ちゃんたちはこれをうまく演じていましたね。

特に、メアリー役の池田葵ちゃんはとても声が通り、セリフも歌も非常に聞き取りやすかったです。

石丸さんのミュージカル出演は2019年1月の『Love Never Dies』までお預けのようなので、年内見納めとばかりに、一挙手一投足に目を凝らしてしまいました。

とても素晴らしかった・・・いつも期待以上のパフォーマンスをありがとうございます。

花總まりさん演じるリリーがオープニングで、ブランコに乗りながら登場し、イギリス民謡を想起させる旋律を歌うシーンは夢のようでした。

昆さんは訛りも可愛くて、歌声は相変わらず圧巻でしたね。

笠松はるさんは、実に四季の『赤毛のアン』ぶりかしら。


『シークレット・ガーデン』歌唱披露会見ダイジェスト

確かに、煌びやかな派手さはないナンバーですが、インド音楽やイギリス音楽のモチーフを使うなど、丁寧に作られている印象があり、私は好きです。