ミュージカルは終わらない Musicals won't be over.

舞台ミュージカルを中心とした、ミュージカル映画、演劇、オペラに関するブログ

「グレートギャツビー」 2008年9月 ★★★☆☆ 宝塚歌劇

 

    名作小説の、日本産ミュージカル

 

遅れましたが(いつも遅れてしまうのだけれど、初宝塚観劇について、書きたいと思います。

 

今回観たのは、「グレートギャツビー」。
題名だけなら、聞いたことがある方も多いんじゃないかな、と思いますが。
F・スコット・フィッツジェラルドという作家の、有名な同名小説をミュージカル化したものです。
初演は、'91年(当時は「華麗なるギャツビー」)で、なんと宝塚のオリジナルミュージカルなんです!
この初演時のキャストには、一路真輝さんや和央ようかさん、香寿たつきさんなど、宝塚素人の私でも知っているOGさんが多数出演されています。
今回の公演は、初演当時の二本立てを、二幕で構成されたものに引き延ばしたものらしいです。

 

ストーリーをすごく簡単に言うと、悲恋。←簡単すぎ・・・
デイジーという良家の深窓の佳人に一目惚れしたギャツビーは、家柄や貧富の違いにより一時は身を引くが、5年間のさまざまな努力により富を築き、デイジーを迎えに行くが、その時は既にデイジーは結婚して娘がいて・・・
というもの。
村上春樹が翻訳して出版されているので、原作を読んでみるのも面白いです。

 

さて、作品の中身について。
【演出・舞台装置】
 記憶が、2週間弱という時間に伴い、風化してきてしまっている・・・(T_T)
脳ミソを搾って、書きたいと思いますっ。
 
 まず、時。
 この作品の冒頭では、小説よろしく、ギャツビーは既に資産家となり、デイジーは一児の母になっています。
 ギャツビーとデイジーの出会いは、ニックとジョーダンの会話のなかで、回想シーンとして出てきます。
 回想シーンって、時間が移るので、観客に、これは昔の話ですよー、とわからせる工夫が必要なんですよね。
 今回は、ニックとジョーダンが、舞台の両端で電話で話しているふうにして、舞台の中央で回想シーンが演じられるという演出だったんですが、これがすごくわかりやすかった!
 これは、プログラムの小藤田さんの批評にも書かれていたんですが、簡単にみえるんですけど、画期的な方法だな~と思いました。

 

 また、幕の使い方がとても良かった。
 どうに言ったらいいか、よくわからないんですけれど・・・
 言葉不足で、説明できないです。

 

 舞台装置に関しては、今回は、宝塚名物(?)の銀橋や大階段は出てきませんでした(確か・・・)。
 大きな装置としては、古き良きアメリカテイストの自動車が2台。
 実物大だと思われます。
 この観劇の前に、原作の小説を読んでおいたんですが、この車はどうするのかな~?って気になっていたんですよね。
 本当に出てきましたwww
実際に激しく運転するシーンは出てこなかったんですけどね。
 この車は、ストーリー上、重要アイテムのひとつなのですが、舞台上でとても有効に使われていました。

 

 ただ、・・・ちょっと物語の核心に触れてしまうかもしれませんが、
 最後、デイジーが車で‘ある人’を轢いてしまうシーンが全く描かれなかったので、ちょっと観客が置いていかれてしまった感がありました。
 そこが一点残念だったかなと。
 というのも、この事故は、登場人物たちの心の動揺や思い違いにより引き起こされた事故なので、そう簡単に処理されてはどうなんだろう?と思ってしまいます。 

 

 また、これはギャツビー=瀬奈じゅんさんの物語。
 女子高時代に、先輩方が演じる男役をたくさんたくさん観て、本場・宝塚の男役ってどんなもんだろう?と思っていましたが・・・
 声を聞いた瞬間、鳥肌が!!!
 後ろの方の席だったのですが、立ち姿はともかくとして、何なんでしょう、あの深みのある声は?
 もう、「♪朝日の昇る前に」とか、「♪デイジー」とか、鳥肌ものでした。
 男役って、すごい!!感動しました!!!

 

【全体を通して】★★★☆☆
 ややもすれば、淡々とした舞台になってしまいそうな原作を、ところどころにダンスシーンを入れることで、最終的には見応えのあるミュージカル作品に仕上がっていました。
 ゴルフ大会の駆け引きは、全て、ラグタイム調の音楽のダンスでコミカルに表現されていましたし。
 音楽は、まあまあでした。
 冒頭の「♪朝日の昇る前に」でワクワクしたのに、その後の音楽がう~ん・・・って感じでした。
 最後の「♪神は見ている」も・・・
 ただ、瀬奈さん独唱の「♪朝日の昇る前に」や「♪デイジー」は、本当に素晴らしかったです。歌声も含めて。

 

 何度も言うように、今回初めて宝塚を観劇したんですが、拍手のタイミングが少し独特。
 瀬奈さんが登場するだけで拍手~♪なんですね!
 いろいろ学びましたo(^^)o

 

【主要キャスト】
 ジェイ・ギャツビー(すっご~い資産家、全てはデイジーのために)…瀬奈じゅん
 デイジー・ブキャナン(トムの妻だが、未だにギャツビーを想っている)…城咲あい
 ニック・キャラウェイ(デイジーの親戚でギャツビーの隣人)…遼河はるひ
 トム・ブキャナン(デイジーの夫でニックの親友、スポーツマン)…青樹泉
 ジョーダン・ベイカー(デイジーの友人でプロゴルファー)…涼城まりな
 マートル・ウィルソン(トムの愛人)…憧花ゆりの
 ジョージ・ウィルソン(マートルの夫)…磯野千尋
 マイヤー・ウルフシェイム(暗黒街の顔役)…越乃リュウ

 

【基本データ】
 会場…日生劇場
 入場料…5000円(A席)
 上演時間…2時間45分(休憩30分)
 上演期間…2008年9月1日~23日

 

 脚本・演出…小池修一郎
 音楽…吉崎憲治、太田健、その他
 指揮…寺嶋昌夫
 
 
追記)
先日、初めて、宝塚歌劇団の公演を観に行きました。
今まで、ほぼ四季一辺倒の観劇ライフを送っていた私にとって、この観劇は未知の領域への記念すべき第一歩、というわけですw

『宝塚』
聞いてイメージするのは…
華やか
男役という不思議?な世界
羽根をつけて登場
大階段
ラインダンス

こんな程度でした。



では、初宝塚への“旅”について、書きたいと思います。


1.チケットをとるまで

宝塚になんとなく近寄りがたさを感じていた私を動かしたのは、今年6月の「ME AND MY GIRL」。
これは大好きな作品なので、初宝塚にはもってこい(^^)
ぜひ行きたい!と思った頃には、時すでに遅し。
発売日を4日過ぎた時点で全席完売。
彩乃かなみさんの引退公演だったからかな、残念。
しかし、8月に新作「スカピン」があることを即座に知り、発売日をメモる。
が、テストの慌ただしさで発売日を忘れ、「スカピン」もお預け。
もう諦めようか、と思った時、一週間後に「グレートギャツビー」の発売日が(^^)
というわけで、ようやく初日の2日後の「グレギャ」のA席をゲットしたのでありました。


2.本番前まで

日生劇場は、初めてでした。
シアタークリエも、もちろん東京宝塚劇場も行ったことがなかったので、無事着けるか心配でした。
どうにか着き、日比谷シャンテというデパートに潜り込み、地下2階でレストラン探し。
しかし、どこも奥様方で込み合っていて、諦め、パンで早めに済ませました。
食後、時間があったので、同デパート地下1階の、宝塚歌劇のグッズを置いているショップを覗いてみることに。
店舗に入って、まず目につくのは、トップスターたちの写真の多さ。
初心者の私は、若干ひきました(^^;
店内には「スカピン」のCDが流れていました。
公演ポスターや宝塚キティちゃんグッズなど、品数豊富。
数々の宝塚関連商品にも関わらず、シアターガイド最新号を購入し、劇場に向かいましたw