ミュージカルは終わらない Musicals won't be over.

ミューオタるんによる純粋なミュージカルブログ

『ナイツ・テイルー騎士物語』2018.8.19.so.

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『ナイツ・テイルー騎士物語』とは

2018年日本にて世界初演されたミュージカル。

原作はシェイクスピアによる『二人の貴公子』。

レ・ミゼラブル』などを手がけてきた演出家ジョン・ケアードが中心となって制作した。

あらすじ

テーベの騎士で従兄弟同士のアーサイトとパラモン。

テーベ王の伯父クリオンに仕える二人は、熱い友情を誓い合い、騎士としての誇りと名誉を何よりも大切に生きていた。

戦争により敵国のアテネの大公シーシアスに捕虜として捕らえられるも互いに励まし合いながら同じ牢獄で過ごしていた二人は、ある日、シーシアスの美しき妹エミーリアを牢獄の窓から見掛け、同時に恋に落ちてしまう。

だがアーサイトは追放され、テーベに戻るよう命じられる。

アーサイトは残ったパラモンがエミーリアに近づくのではないかと、一方パラモンは祖国に戻ったアーサイトが兵を率いて攻め入りエミーリアを奪うのではないかと、互いに猜疑心を抱きながら、愛するエミーリアを必ず手に入れると決心し道を違えていく。

テーベへ戻る途中で、アーサイトは森の楽団を率いるダンス指導者ジェロルドに出会う。

エミーリアの誕生祝賀の稽古をしている一座に名を偽りダンサーとして加わったアーサイトは、再びエミーリアに出会うチャンスを得る。

その頃パラモンは、食事の世話をしてくれる牢番の娘の手引きにより牢獄を脱出する。

牢番の娘は脱獄という危険を冒すほどパラモンを愛していたが、ふとした瞬間にパラモンが去ってしまい、ショックのあまり正気を失ってしまう。

エミーリアとの再会を果たしたアーサイトは、シーシアスが愛するアマゾンの女王であったヒポリタの計らいもあり、周囲には正体を隠して彼女に仕えることになったが、シーシアスやエミーリアたちと狩猟に出かけた森で、無二の友であり今や恋敵となったパラモンと出会う。

艱難辛苦を経て再会した二人は、どちらがエミーリアを得るにふさわしい男か、愛と名誉と生死を賭けて決闘を挑むのだった。

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キャスト

アーサイト  堂本光一

パラモン  井上芳雄

エミーリア  音月桂

牢番の娘  上白石萌音

シーシアス  岸祐二

ジェロルド/クリオン  大澄賢也

ヒポリタ  島田歌穂

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感想

世の中の潮流に逆らいたいという生来の気質を封印し、『ナイツ・テイル』に行ってまいりました。

やはり井上芳雄の出演するミュージカルはなるべく欠かさず観ておきたいという気持ちが一番強かったかしら。

舞台は高さのある木の枠組みで囲まれ、その中に演者や日本古典楽器の演奏者が所狭しといました。

原作の時代背景を考えてか、台詞は時代劇調で和洋折衷という印象。

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シーシアスのマスクが、ジュリー・テイモアが考案した『ライオンキング』の動物たちのマスクを思い起こさせるもので、まぁ真似したんでしょうね。

このマスクの意味が最後までわからなかったなぁ…威厳を持たせるため?

ジュリー・テイモアも日本の浄瑠璃に影響を受けているから、逆輸入ということになるのか。

個人的には、台詞に重みをもたせたいがために古語をわざわざ使っている感じがして、少し違和感を感じながら聴いていました。

これは、もとの英語の台本がだめというより、翻訳・訳詞が悪いんでしょうね。

音月さんは確かに綺麗な歌声でしたが、何というか、2人の男が同時に一目惚れするような絶世の美女タイプを演技や歌で表せていたかというと…なんとも言えません。

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それとは対照的に、上白石萌音さんの演技と歌が冴え渡っていて、鳥肌もので、もう少しで危うく泣くところでした。

『舞妓はレディ』からずっと存じ上げていますが、着実に芸能界で磨かれていっていますね。

というのは、彼女はふとした呼吸や歌い出しに自然に感情を乗せることができているからで、これは歌い手としてトレーニングを受けてもなかなか体得するのが難しい部分だからです。

「ちょっとだけ泣いて、ちょっとだけ死ぬの…」の歌で特に顕著でしたね。

それにしても、音月さんとは友達とか姉妹というより親子にも見えてしまいそうなほどでした。

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貴公子2人は、途中、小学生男子のような無邪気すぎるやりとりばかりで、私は苦笑いばかり。

可愛いというか、ああ男ってバカだわと思える筋書きでした。

井上さんはいつものごとく安定しておりました。

島田歌穂さんが綺麗すぎて、綺麗すぎて、二度見してしまいました。

4月のメリポピでは鳥にエサを与えるおばあさん役だったのに、さすが振り幅広すぎます。

総評として、和の文化を取り入れようとか笑いも織り交ぜてとか、色々頑張っているのはひしひしと伝わるし、楽しめはしたけれど、そこまで心には残らない作品でした。

最後に、パンフレットのサイズをひとまわり大きくしたことに関して、誰も喜んでいませんから。

いつもの本棚に並べて入らず、置き場に困っています。

そもそも一冊の値段が高すぎるし、わざわざ公演期間前半と後半で表紙の色を変えて二冊買わせようとしたり、大きくして特別感を出させたり…やめてください。

ちょっと悪いことばかり書いてしまいましたが、帝劇の軽食とお手洗いは改善されていたので、付記しておきます。

『キャッツ』2018.8.19.ma.

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『キャッツ』とは

1981年ウエストエンド初演、1982年ブロードウェイ初演のアンドリュー・ロイド=ウェバー作曲のミュージカル。

原作は、T・S・エリオットによる『キャッツ - ポッサムおじさんの猫とつき合う法』。

トニー賞は7部門で受賞した。

日本では1983年に劇団四季により初演された。

あらすじ

満月が青白く輝く夜、街の片隅のゴミ捨て場。

たくさんのジェリクルキャッツが、年に一度開かれる“ジェリクル舞踏会”に参加するために集まってくる。

人間に飼い馴らされることを拒否して、逆境に負けずしたたかに生き抜き、自らの人生を謳歌する強靭な思想と無限の個性、行動力を持つ猫ーそれがジェリクルキャッツ。

そして今宵は、長老猫が最も純粋なジェリクルキャッツを選ぶ特別な舞踏会。

再生を許され、新しいジェリクルの命を得るのは誰か。

夜を徹して歌い踊る猫たち。

やがて夜明けが近づき、ナイフで切ってしまえそうな静寂に向かって、天上に上り、新しい人生を生きることを許されるただ一匹の猫の名前が宣言される。

その猫とは…


劇団四季:キャッツ:東京公演プロモーションVTR:2018年8月開幕

キャスト

グリザベラ  木村智秋

ジェリーロラム=グリドルボーン  岡村美南

ジェニエニドッツ  加藤あゆ美

ランペルティーザ  三平果歩

ディミータ  松山育恵

ボンバルリーナ  山崎遥香

シラバブ  三代川柚姫

タントミール  間辺朋美

ジェミマ  町真理子

ヴィクトリア  馬場美根子

カッサンドラ  藤岡あや

オールドデュトロノミー  橋元聖地

アスパラガス=グロールタイガー、バストファージョーンズ  藤田光之

マンカストラップ  加藤迪

ラム・タム・タガー  大嶺巧

ミストフェリーズ  松出直也

マンゴジェリー  玉井晴章

スキンブルシャンクス  田邊祐真

コリコパット  横井漱

ランパスキャット  高橋伊久磨

カーバケッティ  照沼大樹

ギルバート  新庄真一

マキャヴィティ  文永傑

タンブルブルータス  吉岡慈夢

感想

新しく大井町に出現したキャッツシアターに、友人とそのこどもちゃんと一緒に行ってきました。

『キャッツ』を初めて観たのは、四季の五反田キャッツシアター時代で、実際何度観たか正確には思い出せませんが、多分4,5回くらいかなと思います。

私は基本的に同じ演目を同じ言語で二度以上観ることはないので、『キャッツ』はやはり特別な作品なのでしょうね。

今回は、浅利慶太さんがお亡くなりになってから初めての劇団四季観劇でした。

今こうして、日本津々浦々にミュージカル文化が根付いているのは、浅利さんをはじめとした四季の創設メンバーあってのこと。

夢と生きがいをありがとうございます。

改めて、ご冥福をお祈りいたします。

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さて、久しぶりの観劇でしたので、「あら、こんな歌詞だったかしら」というようなことが度々ありました。

それは私の勘違いも一部あるかもしれませんが、そうとも言えない部分もあり、というのは一部歌詞が変わったりナンバーも変わったらしいのです。

でも、私はそこまでマニアではないのでよくわからなかったため、詳細については他のSNSをご参照ください。

今回は初めての回転席。

といっても左端の2列目ですが、それでも五反田時代、願ってもなかなか手の届かなかった回転席に、もう大興奮でした。

オープニングは以前は何の前触れもなく猫ちゃんが現れるみたいな、spontaneousな感じでしたが、今回は回転席で真裏にいたからか全くわからず、唐突にovertureが始まりました。

回転席はステージと一続きになっているため、ジャンプの多い群舞シーンでは揺れること揺れること。

それだけ臨場感がある素晴らしいものでした。

初見の方はやはりセンター中央やや後ろからの観劇の方が概要を掴みやすいかと思いますが、だいたいの内容が頭に入っている場合、回転席ですと猫ちゃんの細かな演技や表情がわかり非常におもしろいですね。

この芝居はセンターで次々と猫ちゃんたちが自己紹介していくのですが、その最中も周りにいる猫ちゃんたちはそれぞれのキャラを演じ続けている、そのプロ意識を間近に感じられました。

数年前のブロードウェイリバイバルを見逃して、とてもショックだったのですが、今回四季の公演を改めて観られ、これはこれで良かったです。

来年新小1になる友人のこどもちゃんも、お利口に真剣に観劇できたようで、いいミュージカル観劇デビューとなりました。

家族でミュージカルというちょっとした贅沢も、忙しい日々のオアシスのようで、素敵だなと思いました。

うーん、あまり作品の感想になっていませんね、すみません。

では、ここで、私的キャッツあるある(=^x^=)!

タップを習っている私としてはジェニエニドッツのシーンでいつも自然に足が動いてしまうのですが、それは舞台上にたくさん登場する茶色い生き物への生理的拒絶反応でもあるんです(苦笑)。

マンカストラップは私のキャッツ人生における初恋の猫です(初めて観たときは福井晶一さんだったなぁ)。

ラムタムタガーに舞台上へ連れ去られる場面を何度も夢で見たことがあります(病的)。

マキャヴィティのシーンでは、どこにどのタイミングで現れるかわかっていても、いつもビクッとしてしまってちょっと恥ずかしいです。

あと、観劇の帰り道〜その日就寝まで、頭の中で「スキンブルシャンクスー鉄道猫」が否が応でも無限リピートされます。

きっとまだあるけれど、それはまた次の機会のために取っておきます。

 

『コーラスライン』2018.8.18.so

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コーラスライン』とは

1975年初演のブロードウェイミュージカル。

原案はマイケル・ベネットによる。

トニー賞を9部門受賞している。

日本初演は1979年、劇団四季による。

2006年ブロードウェイでリバイバルされた際のキャストのオーディションの様子は、ドキュメンタリー映画ブロードウェイ♪ブロードウェイコーラスラインにかける夢』にまとめられており、コニー役に選ばれた日本人、高良結香さんも出演している。

あらすじ

舞台は、とある新作ブロードウェイミュージカルに出演するコーラスダンサーのオーディション会場。

わずか8つの枠をかけて集まったダンサーのうち、最終選考に残されたのは17人の男女。

候補者たちは、それぞれの想いを胸に“コーラスライン”ーステージの一番正面に引かれた1本の白いラインーに並ぶ。

不安に包まれる彼らに、演出家ザックは語りかける。

「履歴書に載っていないことを話してほしい。君たち自身のことを」。

ダンスに魅了されたきっかけを話すマイク。

家庭環境に恵まれず、つらい日々の中で生きる希望をバレエに見出したシーラ、ビビ、マギー。

音痴に悩むクリスティンと夫のアル。

夢精を性病と間違える恥ずかしい思春期のエピソードを暴露するマーク。

背が低いことを理由にバレリーナを諦めたコニー。

演劇学校の落ちこぼれだったディアナ。

妻子持ちのドン。

幼少期に父親が失業したジュディ。

ゲイのグレッグ。

奨学金を得て大学に通い、幼稚園教諭をしていたリッチー。

ダンスがどんなに素晴らしくても、見た目で不採用続きだったため美容整形をしたヴァル。

そんな中に、ザックの元恋人キャシーの姿もあった。

彼女はかつて舞台で主役を張るスターだった。

ザックは「コーラスダンサーの器ではない」と諭すが、キャシーはダンスへの純粋な想いを語るのだった。

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キャスト

※本公演では会場にキャスト表の掲載がなかったため、プログラムにあるキャストを書いておきますが、実際にはunderstudyだった可能性もあります。

 

グレッグ  Nicholas Berke 

ディアナ  Natalie Bourgeois

ヴァル  Melissa Cabey

ドン  Wesley Ian Cappiello

ロイ  Gideon Chickos

ザック  Aaron Patrick Craven

ブッチ  Giovanni Da Silva

シーラ  Kahla Davis

トム  Steven Del Col

リッチー  Darius R. Delk

ヴィッキー  Hannah Fairman

マギー  Veronica Fiaoni

ロイス  Emily Franklin

ジュディ  Lauren Garriott

フランク  David Grindrod

コニー  Samantha Cho Grossman

クリスティン  Erica Jane Hughes

マーク  Peter Hughes

ボビー  Ryan Koerber

アル  Charlie Nash

ビビ  Laura Pierpont

ポール  Joseph Rosario

マイク  Andrew Natale Ruggieri

トリシア  Zoë Schneider-Smith

キャシー  Madison Tinder

ラリー  Josh Zacher 

感想

これ(A Chorus Line、以降ACL)は、2つ目にブロードウェイで観劇した思い出深い作品であり、劇団四季による公演も観たことがあります。

今回は、生オケでfullで通して聴く機会もなかなかないし、翌日に都内で予定があるついでに観ておこうか、という気持ちで行きました。

やはりscoreが大好きで、opening の「From the top, 5, 6, 7, 8」からの流れでいつも鳥肌が立ってしまうのです。

最近CDを手放してレコードを集めるようになったのですが、ACLは映画盤もオリジナルブロードウェイキャスト盤も手元に置いてよく聴いています。

今回の演出は、オリジナルでコニーを演じた、バーヨーク・リーさん。

上に書いた『コーラスライン♪〜』にもプロダクションスタッフとして登場していましたが、キャスト選考で高良さんのコニーについて「コニーは実際にニューヨークの下町で生まれて、大都会で揉まれながら生き抜いてきていなければ、その味は出せないわ」みたいなことをおっしゃっていて、私は「この国の文化を愛して海外から来て、言葉の壁を乗り越えて頑張っている高良さんに向かって、この人は何を言ってるんだ」と少々憤慨したのを覚えていますが。

(最終的に高良さんがオリジナルに選ばれたのでok…)

ブロードウェイの劇場の方が狭いことも手伝ってか、私個人としては2008年にブロードウェイ観劇した時とは程遠いものでした。

うまく言葉にできないけれど、少しの悪評でクローズに追い込まれる緊張感とか、そういったものがブロードウェイに魔法をかけて、ブロードウェイを特別な場所にしているんですよね。

ああ、それでもここまで違うものかと思いましたね…ダンスのキレとか、演技への熱量の込め方とか。

改めてミュージカルはブロードウェイ、ウエストエンドで観るに限ると思いました。

そして、やはりいつもの、ポールの台詞「Take care of my son...」のところで涙腺崩壊。

例のごとく、私は親子ものに断然弱いんです。

そして、大団円を飾る「One」。

この「One」の歌詞をかいつまむと「彼女の優雅なステップ、一挙手一投足にもう夢中さ」みたいなことを繰り返し歌っているわけですが、当たり前ですが、このOneとは主役のこと。

このミュージカルの登場人物たちは決してOneにはならない、端役のダンサーたち。

しかし、「One(reprise)」では彼ら一人一人が自分自身のことを「僕らこそOneだ」と高らかに歌い上げているように見えます。

そして、終盤で舞台後方に現れる鏡には、私たち観客もしっかりと映り、自分たちも彼らと同じ夢追い人になったように錯覚するのです。

一幕構成であっという間に終わってしまいましたが、この休憩を挟まないスタイルが、オーディションの緊迫感を作り出しているように思いました。


ブロードウェイミュージカル『コーラスライン』来日公演 2018

『グーテンバーグ・ザ・ミュージカル』2018.7.28.so

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『グーテンバーグ・ザ・ミュージカル』とは

2006年オフブロードウェイ初演の、アンソニー・キングとスコット・ブラウンによるミュージカル。

もともとは2005年のニューヨーク・ミュージカル・フェスティバルの出品作だった。

ロンドン、パリなど世界各国で上演されている。

役者は2人のみで、彼ら2人のつくったミュージカルを、プロデューサー役である観客たちがジャッジするというバッカーズ・オーディションを再現する形をとり、観客参加型ミュージカルのひとつである。

あらすじ

村の住人たちのほとんどが文字を読めないことに憤りを感じるグーテンバーグは、皆のために何か出来ることがないかと悩む。

そんなある日、グーテンバーグの助手で彼に恋心を寄せるヘルベチカの一言にグーテンバーグは閃く。

「だってこの町には読むものがないんですもの」

皆に読むものを与えようと聖書のコピーを作ることを思いついたグーテンバーグは印刷機の発明を決心するが、文字を読むという行為が自分だけに許された特権であり、読めることが力であると知っている性悪な修道士は、若い修道士を従えグーテンバーグの発明を邪魔しようと計画する。

グーテンバーグが自らの才能と発明に浮かれている間に、修道士はヘルベチカをそそのかし、グーテンバーグが苦労して発明した印刷機を破壊させる。

ヘルベチカは後悔するが、そんな折、グーテンバーグからプロポーズされる。

自らの罪に打ちひしがれるヘルベチカはプロポーズを断り、グーテンバーグの元を去る。

修道士に印刷機を元に戻すようヘルベチカは懇願するが、修道士は計画の邪魔になることを恐れて彼女を監禁する。

絶望したヘルベチカは命を絶とうとするのだった。

やがて、印刷機を民衆に披露するフェスティバルの訪れる。

グーテンバーグは自信満々に印刷機を披露するが、そこにあったのは破壊された印刷機の無残な姿だった。

それと同時に、修道士は、聖書を印刷しようとする行為は神への冒涜であるとグーテンバーグを責め、グーテンバーグを火あぶりにすることを命ずるのだった。

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キャスト

ダグ  鯨井康介

バド  上口耕平

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感想

この日は『エビータ』観劇後、暴風雨凄まじい中、行ってまいりました、『グーテンバーグ・ザ・ミュージカル』。

西新宿駅から道すがら、何度も「今日はもう帰ろう…」と「いやここまで来たからには引き下がれぬ…」の応酬が。

最終的に全身ずぶ濡れになり劇場に到着し、お気に入りのワンピースも台無しになってしまいました。

しかし、笑いに次ぐ笑いに、やっぱり頑張ってきてよかったと心底思ったのでした。

この作品は初見ですが、雰囲気はちょっとしたお笑い芸人さんのライブという感じ。

ただそういう安っぽい感じにならず、ミュージカルとして観られるのは、演者さんたちの歌唱、演技、ダンスのキレetc.のレベルの高さによるのだと思いました。

笑いのツボをひとつひとつ列挙していくと枚挙に暇がないですし、なかなか文字にしづらい部分もありますので、ちょっと割愛してしまいます。

狭くほとんど何も置かれていない舞台を2人が縦横無尽に飛び回り、文字通り全身を張ったパフォーマンスを繰り広げていました。

上記の通り、バッカーズ・オーディションを再現しているのですが、2人が作ってきたミュージカルを、たった2人だけで何役も演じ分けています。

その役の時は舞台後方に置かれている役名の書かれている帽子を被ります。

途中、帽子をかぶり間違えないかと内心ヒヤヒヤしていました。

鯨井さんははじめましてですが、同世代としてこれからまた刮目していきたいと思います。

上口さんは何度か他作品で拝見していて、今回主演として出演されるのを楽しみにしていましたが、期待を裏切らない演技、センスに安心しました。

グーテンバーグは世界史の授業で名前を聞いたくらいで、彼を題材にミュージカルを作ろうという発想がどこから湧き出てくるのだろうと思いました。

ヘルベチカはフォントの種類のひとつですね。

個人的に上口さんのヘルベチカがツボで、彼女に扮している最中はずっと笑いっぱなしでした。

上口さんが『How To Succeed In Business Without Really Trying』のフィンチ役を目指しているというガチ目標を冒頭で宣言するところ、素敵だと思いました。

いや、頑張って欲しいです、応援しています。

真面目な内容を、物凄くふざけて演じるのに、音楽がめっちゃ聴かせるナンバーなので全体的に締まる、という不思議な作品でした。

アメリカでの公演をYouTubeより、劇中の一コマ「The Press Song」です↓


Gutenberg! The Musical! (4/14) "The Press Song"

演じる方によって、十人十色、色々な色に染まりうる面白いミュージカル作品に出会いました。

『エビータ』2018.7.28.ma

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『エビータ』とは

1978年ウエストエンド初演、翌1979年ブロードウェイ初演のアンドリュー・ロイド・ウェバー(ALW)によるミュージカル。

アルゼンチンのフアン・ペロンの2人目の妻であるエヴァ・ペロンの人生を基にしているが、フィクションである。

トニー賞作品賞を受賞した初めてのイギリスミュージカルであるという意味で、ALWの出世作

ブロードウェイ初演のエヴァはパティ・ルポンはトニー賞主演女優賞を受賞し、「Don’t Cry For Me Argentina」は以来、彼女の十八番になっている。

1996年にマドンナ主演で映画化されたことでも有名。

日本では劇団四季により公演されていたことがある。

↓年代物ですが、オリジナルキャストのパティ・ルポンのエヴァ、大好きです。


Don't Cry For Me Argentina Evita Patti LuPone 1980

あらすじ

1952年7月26日、ブエノスアイレスの映画館。

モノクロームの恋愛映画が突如中断され、役人の悲痛なアナウンスが流れる。

「アルゼンチンの精神的指導者であるエヴァ・ペロン大統領夫人が、永遠の眠りについた」と。

国中が喪に服す中、チェだけは大規模な葬礼を冷ややかに眺めていた。

一介の女優から大統領夫人にまで上り詰め、「聖エビータ」と讃えられた女性は、どのように生き、逝ったのか。

チェが狂言回しとなり、彼女の過去が紐解かれる。

時は1934年に遡る。

巡業中のタンゴ歌手マガルディに熱い視線を注ぐ、15歳のエヴァ

田舎町から逃げ出したい一心のエヴァは彼を誘惑するが、マガルディは地位も教養もない人間に大都会は厳しいと説得する。

しかし、エヴァの決意は揺るがず、ブエノスアイレスへと旅立つ二人。

憧れの街で成功を掴んでみせると誓ったエヴァは、マガルディと別れ、男たちを足がかりにモデルやラジオドラマの女優として活躍し、美しさと強さを増していく。

1943年、混迷を極める政界で、労働改革を推進するホワン・ペロン大佐が頭角を現す。

翌年、サンホワン大地震の慈善イベントで運命の出会いを果たしたエヴァとペロンは、急速に絆を深めていく。

ペロンの若い愛人を彼の屋敷から追い出し、ペロンの傍らで野心の階段を昇り続けるエヴァを、富裕層と軍部は苦々しい思いで見下していた。

第二次大戦後、ペロンが失脚し軍部に逮捕される。

引退を考えるペロンに対し、エヴァの野心はとどまることを知らない。

ラジオ番組を通してエヴァらペロン支持派の労働者たちに蜂起を訴え、新生アルゼンチンの到来を望む彼らの大規模なデモの影響でペロンは晴れて釈放される。

1946年、アルゼンチン大統領官邸カサ・ロサダのバルコニー前に民衆の歓喜の声が響き渡る。

前年に結婚しエヴァの夫となったペロンが大統領選で勝利を収めたのだ。

ついにアルゼンチンのファーストレディとなったエヴァは、ペロンと自分自身を支持してくれた民衆のために愛と献身を尽くすことを誓う。

26歳の若さで頂点を極めたエヴァの未来を静かに予見するチェと、ヨーロッパ外遊に向けて最高級のドレスと宝石で自分を飾り立てるエヴァ

フランコ独裁政権下のスペインは彼女を熱狂的に迎えるが、続く訪問国での成果は芳しくなかった。

帰国後、福祉政策に深く関与していくエヴァは、富裕層が運営する慈善団体はエヴァを拒絶し、彼女は自ら「エヴァ・ペロン基金」を設立する。

チェは、エヴァ・ペロン基金の資産運用や会計の杜撰さを暴くが、社会の底辺で苦しむ人々や貧しい子供たちは自分たちに救いの手を差し伸べるエヴァを聖女のように敬愛していた。

エヴァの偽善やペロン政権のふはいを揶揄するチェに対し、プロセスよりも結果だと言い放つエヴァ

そんな彼女の身体を病が蝕む。

彼女に翻弄された政府要人は安堵するが、今のアルゼンチンがあるのはエヴァのおかげだとペロンは諭す。

自分の衰えを認めないエヴァは副大統領就任を望むが、それは叶わない夢だった。

最後のラジオ演説で、エヴァは無念にも副大統領選への出馬辞退を宣言する。

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キャスト

エヴァ Emma Kingston

チェ Ramin Karimloo

ペロン Robert Finlayson

マガルディ Anton Luitingh

ミストレス Isabella Jane

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感想

はい、ようやく行ってまいりました。

今までパティ・ルポンの『Evita』original Broadway cast recordingを何度も聴いてきましたが、なぜかいつもすれ違ってばかりで、今回初めてliveで通して観ることができました。

このツアーは日本限定でチェ役としてラミン・カリムルーが出演しています。

彼を舞台で観るのは実は2回目。

初めて観たのは、ロンドンの『Love Never Dies』初演でした。

ファントムがカリムルーで、クリスティーヌがシエラ・ボーゲスと、今思うととても豪華な面々ですが、当時は「オリジナルキャストになるくらいだから、この人たちALWのお気に入りなんだろなぁ」くらいにしか思っていませんでした。

そこから、カリムルーにはファントムというイメージがつきまとっていましたが、今回はチェ・ゲバラとしてまた違う一面を見せてくれました。

 ただ、もともとInstagramで知ってはいたものの、刺青の入ったファンキーな風貌は、私の知っている向学心と正義に燃えるゲバラ像とはかなりかけ離れていて、ちょっとついていけませんでした(ラミン、ごめんよ)。

ただ、歌を含めセリフは一言一言3階席の私の胸にまで飛び込んできて、意識的に丁寧に発音していることがよくわかり、伝わってきました。

エヴァ役のエマさんは、カリムルーが何度も絶賛していただけにとても楽しみにしていましたが、その期待を裏切らない素晴らしいパフォーマンスでした。

パティ・ルポンのエヴァより、もっと優雅で優しい感じがして、どちらのエヴァも私は好きでした。

そして、実物のエヴァ・ペロンに似ているなと思っていたら、なんとエマさんのおばあさんはアルゼンチン出身とのこと。

いやはや、パティも「エビータは叫んでばかり。最低な経験だったわ」なんてボヤいていたほど、惜しげも無く高音のロングトーンが続く役者泣かせの役どころですが、(『レント』では秋田犬Akitaと掛けてうるさいって言われてしまいますしね)エマさんはそれを見事に演じられていましたね。

体調管理含め、感服いたしました。

お疲れさまです。

10代から30代、病気で亡くなるまでを描きますが、最期病気で衰弱する様子を表現するため、椅子を故意に大きめにつくり、体を小さく見せているなど、さまざまな工夫をされているそうです。

半年前からチケットを取って待ちに待った観劇でしたが、非常に満足したものとなりました。

劇団四季、再演してくれないかしら。


【動画】ミュージカル『エビータ』メディアコール 2018.7.4@東急シアターオーブ

 

『シークレット・ガーデン』2018.7.8.so

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『シークレット・ガーデン』とは

1991年ブロードウェイ初演のミュージカル。

原作はフランシス・バーネット作の同名の児童小説。

トニー賞を3部門で受賞。

今回が日本初演で、今年2018年ブロードウェイで、シエラ・ボーゲス主演で再演が予定されている。

あらすじ

1900年代初頭。

イギリス領インドで育った10歳の少女メアリーは、両親を流行していたコレラで亡くし、イギリスのノースヨークシャーに住む伯父アーチボルドに引き取られる。

しかし、アーチボルドは、最愛の妻リリーを亡くして以来すっかり気難しくなってしまっていた。

彼はリリーの面影を留めた息子とも距離を置き、屋敷にはすっかり沈んだ空気が漂っていた。

庭を散策していたメアリーはある日、「秘密の花園」の存在を知る。

リリーが大切にしていた庭園で、彼女の死後にアーチボルドが鍵をかけて閉ざしてしまったという。

ふとしたことからその鍵を見つけるが、肝心の扉が見つけられない。

日々の暮らしの中でメイドのマーサやその弟ディコンをはじめとした使用人達を徐々に打ち解けて行くメアリー、しかしその一方でアーチボルドは、どこかリリーに似ているメアリーを気に掛けながらも自身の殻から抜け出せずにいた。

アーチボルドの息子コリンは、叔父で医師のネヴィルの言いつけにより屋敷の部屋から出ずに暮らしており、足が不自由なひねくれた少年に育っていた。

突然現れたメアリーにもはじめは猛反発していたが、遠慮なくぶつかってくる彼女に次第に心を開いていく。

ある日、リリーの不思議な導きにより「秘密の花園」の扉を発見したメアリー。

枯れてしまった庭を蘇らせようと、ディオン、庭師べんとともに、アーチボルドには秘密で手入れを始め…


『シークレット・ガーデン』ダイジェスト 舞台映像

キャスト

アーチボルド 石丸幹二

リリー 花總まり

ネヴィル 石井一孝

マーサ 昆夏美

ディコン 松田凌

メアリー 池田葵

コリン 大東リッキー

ベン 石鍋多加史

ローズ 笠松はる

アルバート 上野哲也

苦行僧 大田翔

ライト中尉 鎌田誠樹

ミセス・メドロック 鈴木結加里

アーヤ 堤梨菜

ミセス・ウィンスロップ 三木麻衣子

感想

日曜日ソワレに行ってまいりました。

この作品は、ずっと待ち焦がれていた作品の一つで、何度もオリジナルブロードウェイキャスト盤を聴きながら想像していましたが、今回はそれを全く裏切らない仕上がりで、満足のいく観劇となりました。

今年11月にブロードウェイでリバイバルが予定されている本作ですが、初演ではメアリー役の女優さんが当時最年少でトニー賞主演女優賞を受賞しました。

また、初演時のディコンを、『ヘドウィグ・アンド・アングリー・インチ』で知られるジョン・キャメロン・ミッチェルが演じており、彼は本作でブロードウェイデビューを飾りました。

ヘドウィグとは程遠い役柄ですよね・・・

今回、石丸さんが演じるアーチボルドは、その時マンディ・パティンキンが演じていますが、石丸さんは彼の役をフォローしているのかなと思っています(『Sunday In the Park With George』のジョージとか)。

↓『The Secret Garden』1991年のトニー賞授賞式でのパフォーマンスです。


The Secret Garden Tony Awards 1991

さて、今回の観劇前に、小学2年生ぶりに原作小説を読んでみましたが、小説ではメアリーやコリン、ディコンなどの子どもたちの視線で描かれている一方、ミュージカルではそれに加えて、アーチボルドやネヴィルの関係性、さらに亡くなったリリーやローズまで回想シーンで登場し、小説では描かれていない大人たちの視線も描いています。

また、舞台上のデザイン、装置、照明が幻想的な雰囲気を醸し出していて美しかったです。

暗い屋敷の中と、閉ざされていた秘密の花園の扉の向こう側の対比が印象的でした。

事前にinstagramで石丸さんが紹介されていた、劇中に使われる効果音を奏でる楽器も、気になりました。

小説の中では、メアリーやコリンは相当放蕩なクソガキとして描かれていますが、子役ちゃんたちはこれをうまく演じていましたね。

特に、メアリー役の池田葵ちゃんはとても声が通り、セリフも歌も非常に聞き取りやすかったです。

石丸さんのミュージカル出演は2019年1月の『Love Never Dies』までお預けのようなので、年内見納めとばかりに、一挙手一投足に目を凝らしてしまいました。

とても素晴らしかった・・・いつも期待以上のパフォーマンスをありがとうございます。

花總まりさん演じるリリーがオープニングで、ブランコに乗りながら登場し、イギリス民謡を想起させる旋律を歌うシーンは夢のようでした。

昆さんは訛りも可愛くて、歌声は相変わらず圧巻でしたね。

笠松はるさんは、実に四季の『赤毛のアン』ぶりかしら。


『シークレット・ガーデン』歌唱披露会見ダイジェスト

確かに、煌びやかな派手さはないナンバーですが、インド音楽やイギリス音楽のモチーフを使うなど、丁寧に作られている印象があり、私は好きです。

『キス・ミー・ケイト』2018.7.8.ma

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『キス・ミー・ケイト』とは

1948年にブロードウェイで初演されたミュージカル。

音楽はコール・ポーターによる。

「So In Love」など、単独曲としてスタンダード化しているメロディアスなナンバーが数多くある。

1953年にはMGMにより映画化された。


『キス・ミー・ケイト』2018年プロモーション映像

あらすじ

ボルティモアの劇場、『じゃじゃ馬ならし』の初日。

脚本・演出・主演・プロデューサーのフレッドは大忙し。

抜擢したロイスに気があるし、相手役の元妻リリーともいい雰囲気。

やがて一つの花束が、大騒動を巻き起こす。

ロイスの恋人ビルは、今日もギャンブルで大負け、フレッドの名前を使い借用書にサインする。

やがて借金の取り立てに、ギャングが楽屋にやってくる。

 そして、舞台は開幕。

リリー演じるキャタリーナはじゃじゃ馬娘、ロイス演じる妹ビアンカを先に結婚させることはできず、父親は大弱り。

そこへフレッド演じるベトルーチオが、持参金つきならOKと、じゃじゃ馬ならしに名乗りを上げた。

舞台裏では、リリーが手紙の宛先に気づいて激怒し、婚約者のハウエル将軍まで登場。

公演中止かと思われたが、機転を利かせたフレッドは、公演できないと借金が払えなくなると、ギャングを味方につけてしまう。

キャスト

フレッド 松平健

リリー 一路真輝

ロイス 水夏希

ビル 大山真志

ハウエル将軍 川﨑麻世

ギャング 太川陽介杉山英司

感想

来年2019年、ブロードウェイで、ケリー・オハラ主演でリバイバルも決まっているこの演目。

日本でも再演が繰り返されているカンパニーの公演に、ようやく行くことができました。

改めてコール・ポーターの最高傑作だなと思いました。

古き良き舞台裏ミュージカルですね。

映画もリバイバル版ブロードウェイキャストCDも何度も見聞きしてきたので、歌唱力とタップダンスシーンが少なく、少し物足りなさもありましたが、来年ブロードウェイで観る前の復習になって良かったです。


『キス・ミー・ケイト』2018年稽古場最新映像