ミュージカルは終わらない Musicals won't be over.

舞台ミュージカルを中心とした、ミュージカル映画、演劇、オペラに関するブログ

『ワーズ&ミュージック(1948)』Words and Music

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『ワーズ&ミュージック(1948)』とは

1948年のMGMによる伝記ミュージカル映画

作曲家リチャード・ロジャースと作詞家ロレンツ・ハートのコンビの人生を、彼らの手がけた音楽とともに描いている。

監督はノーマン・タウログ

あらすじ

作詞家ラリーことロレンツ・ハートと、作曲家リチャード・ロジャースは、ハーバートの紹介で知り合い、1919年からコンビを組んで活動を始めた。

しかしなかなか活路を見出せず、リチャードは幼児服の販売業に転職しようと考え始める。

同じ頃、ラリーはパーティーで出会った歌手志望のペギーに惹かれるようになる。

ラリーとリチャードはようやくブロードウェイで自分たちの作品を上演できるようになり喜ぶが、ラリーが主演をペギーにしようとしたものの、すでにスターだったジョイスが演じることになる。

リチャードはジョイスに惹かれるが、年齢が離れすぎていることを理由に拒絶されてしまう。

落ち込んだ2人だったが、次々にヒットを飛ばすようになり、仕事は軌道に乗る。

ある日、ラリーはペギーにプロポーズするが、結婚したいほど愛していないと断られてしまい、ラリーはたいそう落ち込んでしまう。

リチャードはドロシーと結婚するが、落ち込んでいるラリーを気にかけ、家に招くなど交友関係を続けていた。

そんな折、ジュディ・ガーランドが2人の曲が入った作品に出演することを承諾したと知り、ラリーは喜ぶが突然倒れてしまうのだった。

キャスト

ロレンツ・ハート(ラリー)  ミッキー・ルーニー

リチャード・ロジャース  トム・ドレイク

ジョイス・ハーモン  アン・サザーン

マーゴ・グラント  シド・チャリシー

ペギー・マクニール  ベティ・ギャレット

エディ・アンダース  ペリー・コモ

ドロシー・ロジャース  ジャネット・リー

ハーバート・フィールド  マーシャル・トンプソン

(以下、本人役として出演)

ジュディ・ガーランド

ジーン・ケリー

レナ・ホーン

ジューン・アリソン

ヴェラ・エレン

感想

リチャード・ロジャースが最初にコンビを組んだ相手ロレンツ・ハートとのキャリアの遍歴を描いたミュージカル映画です。

リチャード・ロジャースというとオスカー・ハマースタインⅡ世との作品、『サウンド・オブ・ミュージック』や『南太平洋』『王様と私』などを思い浮かべる方が多いかもしれませんが、ロジャースの最初の相方であるロレンツ・ハートとは、作品としては有名なものは少ないのですが、ナンバー単独でスタンダード化したものが多いです。

今でも多くのアーティストによってカバーされたり引用されたりしているので、例えば「Blue Moon」や「My Romance」「The Lady Is A Tramp」など、どこかで耳にした曲として記憶していることも多いかと思います。

▼trailerです。


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ご覧の通り、MGMのスターが勢揃いで非常に豪華なキャスト陣による華やかなシーンが多く、とても楽しめました。

本作の冒頭で主演のトム・ドレイクが「ミッキー・ルーニーがロレンツ・ハートを演じ、私がリチャード・ロジャースを演じます」という旨の前置きを話しており、MGMからロジャース&ハートへの感謝や敬意の気持ちが滲み出ていると感じました。

▼「Manhattan」


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シド・チャリシーはいつもは凛としたかっこいい女性像を演じることが多いですが、本作ではどちらかというと可愛らしい女性像を演じていて、最初、彼女だとわからなかったほど。

相変わらずダンスは素晴らしかったです。

▼「On Your Toes」


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元気なジュディ・ガーランドを観られる最後の作品のうちの一つです。

本作ではミッキー・ルーニーはラリー役でジュディは本人役なのですが、ミッキー&ジュディがあまりにiconicなので、一緒に並ぶと何とも不思議な感じがしました。

▼「Johnny One Note」


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performanceされるのは14曲ほどですが、他にもピアノで少しだけ演奏される彼らの曲もあり、音楽的に魅了されるシーンが非常に多いです。

実際には、ロレンツは生涯うつ病アルコール依存症に苦しみ、ロジャース&ハートのコンビはハートの死の数年前に解散しているので、本作は彼らの人生を美化しすぎているという指摘もあります。

でも、それも含めてMGMらしい彼らへの賛辞だなと私は思いました。

『キャンプ(2003)』Camp

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『キャンプ(2003)』とは

2003年のアメリカのミュージカル映画

アナ・ケンドリックやロビン・デ・ヘススのデビュー作となった。

監督はトッド・グラフ。

あらすじ

演劇のサマーキャンプに集まった高校生たちはそれぞれの思いを抱えていた。

プロムに女装姿で出席しようとして暴行を受けたマイケル。

容姿に自信が持てず、恋にためらいがちなエレン。

演劇をしている間は強迫症状が抑えられるヴラッド。

歌の上手なジルの影にいつも隠れているフリッツィ。

2週間ごとに1作品を上演するという過酷なスケジュールの中、彼らは交友を深めていく。

そのキャンプの指導者はバートという今では売れないミュージカル作曲家だった。

彼の音楽のファンだったヴラッドはそのことを本人に伝えるが、足蹴にされてしまう。

しかし、若者たちとの活動の中でバートの心も変わっていくのだった。

キャスト

ヴラッド  ダニエル・レタール

エレン  ジョアンナ・チルコート

マイケル  ロビン・デ・ヘスス

フリッツィ  アナ・ケンドリック

ジル  アラナ・アレン

スピッツァー  ヴィンス・リモルディ

バート  ドン・ディクソン

感想

演劇を志す若者たちを描いた作品ということで、『フェーム』のような感じなのかしらと想像しながら、お友達に教えてもらって観てみました。

お話自体はまぁ何というか、特にヴラッドには共感できませんでしたが、音楽がやはりミュージカル好きにはたまりませんでしたね。

▼trailerです。


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劇中では既存のミュージカルのナンバーが登場します。

行きのバスの中から、ミュージカル『Follies』の「Losing My Mind」を歌うなんて素敵すぎます。(大好きな曲です)

スティーヴン・ソンドハイムの『Company』からバート・バカラックの『Promises, Promises』まで幅広い作品から引用されていて、舞台ミュージカルファンの方も楽しめるのではないかなと思いました。

▼「Turkey Lurkey Time」ミュージカル『Promises, Promises』より


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「Turkey Lurkey TIme」はほぼオリジナルに近い振付だったのではないかと思います。

この他にも良い曲が多いです。

そして、初々しいアナとロビンが何とも可愛らしかったです。

アナは『ピッチ・パーフェクト』シリーズなど、映画で日本でも有名ですが、13歳でミュージカル『High Society』でトニー賞助演女優賞にノミネートされており、ブロードウェイ上がりの方です。

ロビンはミュージカル『In the Heights』などのオリジナル・ブロードウェイ・キャストとして知られ、これまでトニー賞に3回ノミネートされていますし、最近だとブロードウェイでも上演されNetflixで映画化された『真夜中のパーティー』にエモリー役で出演しています。

▼アナの歌う「Ladies Who Lunch」(ミュージカル『Company』より)


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ロビンもまだあどけなくて可愛かったです。

個人的には、ロビンの役柄が一番感情移入できました。

ミュージカル好きの方は往年のミュージカルを思い返しながら観られますし、ミュージカルに馴染みのない方でも音楽中心に楽しめると思いました。

そして、何よりスティーヴン・ソンドハイム自身が出演しているのには驚きました。

彼はどちらかというと内向的な方で、このような客演ってそんなに多くない人だと思うので、相当なレアケースだと思います。