ミュージカルは終わらない Musicals won't be over.

舞台ミュージカルを中心とした、ミュージカル映画、演劇、オペラに関するブログ

『四月のパリ(1952)』April in Paris

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『四月のパリ』とは

1952年のワーナー・ブラザーズによるミュージカル映画

タイトルナンバーはヴァーノン・デューク作曲、イップ・ハーバーグ作詞であり、1932年初演のミュージカル『Walk a Little Faster』のために書かれた。

監督はデイヴィッド・バトラー。

あらすじ

パリで国際芸術祭が開かれることになり、アメリカ政府も人を派遣することになった。

しかし、著名な俳優に送るべき招待状が、誤ってコーラスガールに届いてしまう。

これが大衆の共感を得たため、一行を引率するサムは彼女と共にフランスに旅立った。

意気投合した2人は船内のキッチンで派手に踊った挙句、結婚式まで挙げてしまう。

しかし、サムには別の婚約者がいた。

キャスト

エセル・S・ジャクソン ドリス・デイ

サム・ウィンスロップ・プトナム レイ・ボルジャー

フィリップ・フォーケット クロード・ドーフィン

マルシア・シャーマン イヴ・ミラー

フランソワ ジョージ・ジヴォ

ロバート・シャーマン ポール・ハーヴィー

感想

ドリス・デイと、『オズの魔法使』のかかし役で有名なレイ・ボルジャーが主演のミュージカル映画です。

おそらく1955年に開催されたパリ万博にむけて作られた作品ではないかと思われます。

▼trailer


April In Paris (1952) Official Trailer - Doris Day, Ray Bolger Musical Movie HD

ドリス・デイの陽気な歌声は本作でも健在ですが、レイ・ボルジャーが他に婚約者がいながら結婚してしまう、優柔不断な役人を演じていて、女性から見るとひどい男にしか映りませんでした。

彼のタップダンスシーンは貴重かもしれません。

アステアのような優雅さはありませんが、コメディアン的な仕草が彼らしくていいと思いました。

▼Ray Bolgerのタップダンス


Ray Bolger in April in Paris 1953

最後はハッピーエンディングではありますが、何となく煮え切らずに終焉を迎えている印象。

個人的には繰り返し観たいと思える作品ではありませんでしたが、ミュージカル映画好きであれば、一回見ておいて損はないかと思われます。

 

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『The Inheritance』2020.2.23.14:00/20:00 @Ethel Barrymore Theatre

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『The Inheritance』とは

2018年3月にロンドンでプレミア公演され、2019年にブロードウェイで初演された舞台。

Matthew Lopez作。

E・M・フォースターによる小説「ハワーズ・エンド」にインスパイアされて作られた。

演出はStephen Daldry。

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あらすじ

トビーとエリックはゲイのカップルで、ニューヨークに住んでいる。

トビーが手掛けた小説が舞台化されることが決まり2人は喜ぶが、トビーはその舞台で主演する俳優のアダムと関係を持ち、エリックと破局する。

エリックは年上のウォルターと仲良くなり、ウォルターは自身の別荘をエリックに相続させたいというメモを残すが、ウォルターのパートナーだったヘンリーはそのメモは無効であるとして捨ててしまう。

その後、紆余曲折ありエリックとヘンリーは結婚する。

・・・(以下、割愛)

ニューヨークに生きるゲイを三世代にわたって描いている。

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キャスト

Eric Glass    Kyle Soller

Tobby Darling    Andrew Burnap

Adam / Leo    Bradley James Tejeda

Morgan / Walter Poole    Paul Hilton

Henry Wilcox    Tony Goldwyn

Jasper    Jake Odmark

Toby's Agent    Jonathan Burke

Young Henry    Carson McCalley

Tristan    Jordan Barbour

Jason #1    Darryl Gene Daughtry Jr.

Young Walter    Dylan Frederick

Jason #2    Arturo Luis Soria

Margaret    Lois Smith

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感想

part1とpart2に分かれ、全編6時間半にもなる超大作でした。

 私は1日で両パートを観ましたが、正直ちょっと疲れてしまいましたが、作品の世界にどっぷりと没入できたという点では良かったのかもしれません。

大袈裟ではなく、今まで見た舞台作品の中でダントツで強烈な印象を残し忘れられない舞台作品となりました。

▼trailer


The Inheritance | Broadway Trailer

 


The Inheritance

▼観劇後の感想

上記のあらすじはフルで思い出すことはできなかったので、割愛して書いていますが、ゲイのコミュニティ内の人間関係を描いた作品です。

ライトグレーの舞台上には同色の板が置かれ、その板の周りに全てのキャストは座り、登場人物がその板の上で演じ、物語は語られていきました。

それ以外の舞台装置はなく、非常にシンプルなものでした。

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板の周りで待機しているキャストはパソコンを出して何か打っていたり、飲み物を飲んでいたり、自由に振る舞っていました。

一息でも違うと全てが狂ってしまうような緊張感の中で演じられていました。

ニューヨーク、特にブロードウェイはゲイとの関わりが深く、舞台業界には非常に多くいて、彼らの歴史は差別や偏見、HIV感染症などとともにありました。

私はゲイではありませんが、ジェンダーは関係なく楽しめる作品だと思いました。

なぜなら、誰かを求めたり、誰かに裏切られたり、自暴自棄になったり・・・と、人を描いている作品だと思うからです。

数多くの登場人物の中、観客の誰もが誰かに自己投影して観ていたはずです。

キャストは多くはおそらく無名(私が知らなかっただけかもしれませんが)の若手でした。

母国語でないプレイだとミュージカルよりも観るのに集中力を使いますね。

少し集中力が切れると全く分からなくなっていて、とてもいい英語のトレーニングになりました。

▼SDでの様子

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