ミュージカルは終わらない Musicals won't be over.

舞台ミュージカルを中心とした、ミュージカル映画、演劇、オペラに関するブログ

『青春一座(1939)』Babes In Arms

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『青春一座』とは

1939年のMGMによるミュージカル映画

ミッキー・ルーニージュディ・ガーランド主演のミュージカル映画シリーズのひとつ。

1937年初演の同名のブロードウェイ・ミュージカルを基にしているが、内容、楽曲ともに大幅に変更されている。

あらすじ

ミッキーは、ボードビリアンの父親を持つ、生まれながらの舞台っ子。

作曲も手がけるミッキーは、歌手のパッツィーと組んで、自身が手がけた曲を売りに出していた。

しかし、トーキー映画の台頭で、ボードビル人気は斜陽の一途を辿っていた。

ミッキーの反対も虚しく、ミッキーの両親は子供たちを置いて舞台巡業の旅に出る。

そこで、ミッキーは子供たちだけでショー『Babes In Arms』を行うことを提案する。

たまたまドラッグストアで、子役スターであるロザリーに出会ったミッキー。

集客のため自分たちのショーに出るようロザリーに懇願するが、条件としてパッツィーの代わりにロザリーを主役にするよう迫られるのだった…


Babes In Arms (1939) Official Trailer - Judy Garland, Mickey Rooney Musical HD

キャスト

ミッキー・モラン  ミッキー・ルーニー

パッツィー・バートン  ジュディ・ガーランド

ジョー・モラン  チャールズ・ウィニンガー

“ベイビー”ロザリー・エセックス  ジューン・プライサー

感想

ジュディ・ガーランドミッキー・ルーニー主演のミュージカル映画シリーズの一つ。

今回は、ミッキーの方がメインです。

このミュージカル、舞台版ではロジャーズ&ハートの美しい音楽で溢れているのですが、本作ではハリウッド色が強くなっており、例えばのちに『雨に唄えば』で歌われる「Good Morning」なども見られ、舞台とは全く別物になっています。

ジュディが歌う「Good Morning」も可愛らしくて私は好きです。


Judy Garland Stereo - Good Morning - Mickey Rooney - Babes In Arms 1939

舞台版オリジナル曲としては、現在でもスタンダードナンバー化している「Where or When」があります。

黄昏時が似合う、ロマンチックな一曲です。

子どもが歌うとなると、ちょっとませすぎという気もしますけれども。


Judy Garland Stereo - Where or When - Douglas McPhail, Betty Jaynes - Babes In Arms 1939

 製作された年代も年代ですが、ラストのショーシーンでは、当時の愛国心をこれでもかと扇情するナンバーばかりですね(もちろん舞台版にはありません)。

アメリカは神の国!」と連呼したり、圧倒的な群舞シーンは、どうしても北の某国を連想してしまいます。

何本も共演しているジュディとミッキーですが、今回はミッキーが大活躍の一本。

芸達者な彼のエンターテイナーぶりが全面に表れています。

舞台版の楽曲が素晴らしいので、もう少し映画版でもpick upしてもらいたかったというのが個人的には残念です。

 

『上流社会(1956)』High Society

『上流社会』とは

1956年のMGMによるミュージカル映画

1940年の映画『フィラデルフィア物語』をミュージカル映画化したもの。

音楽は、コール・ポーターによる。

グレース・ケリーの最後の映画出演作。

本作を舞台化した同名のブロードウェイ・ミュージカルが1988年初演された。

あらすじ

ニューポートの高級住宅街。

デクスターは前妻トレイシーとジョージの再婚を前に落ち着かない日々を過ごしていた。

そこに雑誌記者のマイクとリズが現れたために事態は混乱。

なんと式の前夜に、酔いつぶれたトレイシーがマイクと意気投合してしまったのだ。

その現場をデクスターが目撃したばかりか、ジョージまでもが二人の危険な関係に気付き始めて・・・

▼trailerです。


High Society Official Trailer #1 - Frank Sinatra Movie (1956) HD

キャスト

C.K.デクスター  ビング・クロスビー

トレーシー・サマンサ・ロード  グレース・ケリー

マイク・コナー  フランク・シナトラ

リズ・インブリー  セレスタ・ホルム

ジョージ  ジョン・ランド

ウィリーおじさん  ルイ・カーハーン

セス・ロード  シドニー・ブラックマー

ルイ・アームストロング  ルイ・アームストロング

感想

 サッチモ&シナトラ&クロスピーの組み合わせを一度に堪能できる映画も珍しいのでは。

この作品は、グレース・ケリーが女優として現役最後の出演作ということで日本でもDVD化され、名が知られていますが、内容的には基になっている『フィラデルフィア物語』に見劣りする出来です。

コール・ポーターによる音楽ではありますが、ポーターらしさが現れているのは「What a Swell Party」や「True Love」くらい。

クロスピーとシナトラのデュエットの「What a Swell Party」はなんとも楽しいナンバーです。

▼「What a Swell Party」


High Society - What a Swell Party

サッチモは冒頭のタイトルナンバーを陽気に歌い上げ、『ハロー・ドーリー!』と同じく、彼自身役として出演しています。

サッチモことルイ・アームストロングによる「High Society」


High Society (1956) Beginning & End with Louis Armstrong & his Band

グレース・ケリーは人気絶頂でハリウッドを後にし、モナコ公国王室に嫁ぎましたが、本作でも美しさは別格。

グレース・ケリーも一曲自身の声で歌っています。

それが、クロスピーとのロマンティックなデュエット、「True Love」です。


High Society - True Love

個人的には、共感できるシーンがほぼありませんでした。

楽曲やダンスシーンは少なく、ミュージカル映画らしさはあまり見られませんが、豪華出演陣のどなたかにでも関心のある方は一見の価値ありだと思います。

追記ですが、ロケーションが非常に見覚えがあると思ったら、『サウンド・オブ・ミュージック』の大佐のお家でした。

まさかまさかと思ったのですが、お庭といい、間取りといい、瓜二つだったので、おそらく同じお屋敷かと思います。