ミュージカルは終わらない Musicals won't be over.

舞台ミュージカルを中心とした、ミュージカル映画、演劇、オペラに関するブログ

『ビクター/ビクトリア(1982)』Victor Victoria

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『ビクター/ビクトリア』とは

1982年公開のアメリカのミュージカル映画

 監督は、主演のジュリー・アンドリュースの夫ブレイク・エドワーズ

アカデミー賞歌曲賞を受賞した。

舞台化されたものは、1995年にブロードウェイで初演された。

あらすじ

売れないソプラノ歌手のビクトリアは、ひょんなことからゲイの芸人トディーと手を組み、ドラッグクィーンの歌手ビクターとして売り出されることとなる。

最初は疑心暗鬼のビクトリアだったが、これが大ブレイクし、一躍時の人となる。

シカゴのギャングであるキングも彼女に魅せられる。

そんなキングにビクトリアもいつしか心惹かれていくが…


Victor/Victoria - Original Theatrical Trailer

キャスト

ビクトリア・グラント/ビクター・グラジンスキー伯爵  ジュリー・アンドリュース

キング  ジェームズ・ガーナー

トディー  ロバート・プレストン

ノーマ  レスリー・アン・ウォーレン

スクワッシュ  アレックス・カラス

アンドレ  ジョン・リス=デイヴィス

感想

サウンド・オブ・ミュージック』のマリア役や『メリー・ポピンズ』のメリー役でお馴染みのジュリー・アンドリュースが、中性的な役柄に挑戦しています。

それまで清純な優等生の役柄が多かったジュリーにとってはかなりの挑戦だったのではないかと思いますが、ご主人である監督の妻ジュリーへの愛情の深さを感じました。

ところどころ、少し長すぎる印象を受けることはありましたが、プロットがなかなかおもしろく、最後まで飽きずに観られました。

ドラマ『グリー』などでもカバーされている「Le Jazz Hot」は何度も繰り返して聴きたくなってしまう一曲。

とても楽しくて、もう本当に大好きです。


JULIE ANDREWS – Le Jazz Hot (1982, HD)

やはり、ジュリーはどう見ても女性にしか見えないのですが…

トディー役は、トニー賞を2度受賞しているロバート・プレストン、やはり名優です。

西部劇で活躍された、どちらかというと硬派な方がドラッグクィーンを演じるのには抵抗があったと思いますが、果敢に挑戦しています。

1995年には舞台化され、ジュリーはトニー賞主演女優賞にノミネートされますが、自分だけが目立ってはいけないと、これを辞退しています。

また、1997年に非腫瘍性の声帯結節の手術を受けた後、以前のような伸びやかな歌声を失ってしまったため、2018年現在、これが最後のブロードウェイ出演となっています。

『有頂天時代(1936)』Swing Time

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『有頂天時代』とは

1936年公開のアメリカのミュージカル映画

アステア&ロジャースコンビの第6作目。

音楽は「煙が目にしみる」などのジェローム・カーン

「The Way You Look Tonight 」はアカデミー歌曲賞を受賞した。


Swing Time (1936) "Trailer"

あらすじ

ダンサーのラッキーは、ダンサーの夢を諦め、マーガレットと結婚しようとするが、同僚のダンサーたちに邪魔されて結婚式に遅刻してしまう。

激怒した花嫁の父親から、2万5千ドル稼ぐまで結婚は許さないと言われ、一獲千金を狙い、一路ニューヨークに向かう。

道ばたで偶然出会ったダンス教師のペニーとダンスのパートナーになり、恋が芽生えるが、婚約中のラッキーはペニーとの恋を進めることがなかなかできず。

キャスト

ラッキー  フレッド・アステア

ペニー  ジンジャー・ロジャース

ポップ・カルデッティ  ヴィクター・ムーア

メイベル  ヘレン・ブロデリック

感想 

アステア&ロジャースコンビの作品で、一番プロットが好きなのは本作です。

少ない元手からギャンブルで徐々に成り上がっていく様子や、最後の爆笑シーンなどから、有頂天時代なんていう粋な邦題をよく考えられたなと思いました。

婚約者がいるけれど、目の前の女性への気持ちを抑えられない、微妙な立場を演じるアステアと、そんなつれない対応をするアステアに拗ねるロジャースがなんとも可愛らしいのです。

「Fine Romance 」という一曲がこの2人の付かず離れずの様子をうまく表していました。

なんというか、この映画は80年以上前の映画ですが、男女の仲って時代は移り変わっても本質的には変わらないのだなと、このシーンを見ると苦笑いしてしまいます。


Fred Astaire & Ginger Rogers - A Fine Romance (1936)

また、音楽といえば、なんといっても、スタンダードナンバーになっている「The Way You Look Tonight 」を語らずにいられません。

ため息が出るほどロマンチックですね。

シャンプー中のペニーが思わず恍惚となる気持ちもわかります。


The Way You Look Tonight

本作には、アステアにしては珍しく、というか唯一かしら、黒塗りでのミンストレルショー風のダンスシーンがあります。

アステアが巨大な3つの黒い大きな影をバックに踊る様子が印象に残っています。


Astaire Swing Time Bojangels

Never Gonna Dance」は、文字通り、「僕が踊る相手は君だけ。だからもう僕が踊ることはないから、帽子も燕尾服も捨てよう」というナンバー。

切なくて胸が苦しくなりました。

このシーンは、アステアがこだわり、40テイク以上撮影されたそうです。

婚約者の元へ向かおうとするペニーを引き止めるような形で、階段から大広間とかなり広いスペースにわたって踊るため、撮影終了時には足から血が流れていたという話もあるほどだったそうです。


Never Gonna Dance

アステア&ロジャースのダンスと歌を楽しめ、かつ、筋書きもなかなかおもしろいので、アステア作品に興味のある方にはおすすめです。