ミュージカルは終わらない Musicals won't be over.

舞台ミュージカルを中心とした、ミュージカル映画、演劇、オペラに関するブログ

『ブロードウェイと銃弾』2018.2.12.12:00 @日生劇場

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『ブロードウェイと銃弾』とは

ウディ・アレン監督による1994年公開の同名映画をミュージカル化したもの。

2014年ブロードウェイ初演時は、ミュージカル『コンタクト』振付や映画『プロデューサーズ』監督などのスーザン・ストローマンが演出した。

今回が日本初演

演出は福田雄一

↓ブロードウェイ公演の様子


BULLETS OVER BROADWAY: First Look

あらすじ

舞台は1920年代、禁酒法時代のニューヨーク。

劇作家のデビットは、かねてからの念願が叶い、自分の戯曲をブロードウェイにかけることになり張り切っている。

しかし、プロデューサーが見つけてきた出資者はギャングの親玉ニック。

しかもキンキン声でろくに台詞も言えない愛人のオリーブを主演に据えるよう要求し、部下のチーチを監視役として送り込んできた。

さらにプライドの高い主演女優ヘレンは脚本を書きかえろと色仕掛けで要求し、名優だが過食症で女癖の悪いワーナーはオリーブと怪しい関係を持っている。

そんな状況に、芸術至上主義でまめなデビットは困惑する。

そこになぜか、てんやわんやの稽古の様子をずっと観察してきたチーチまでが脚本や演出に口を挟んでくる。

舞台を完成させたい一心のデビットは、数々の妥協を余儀なくされ、その都度頭を抱えてしまうが、チーチの提案は芸術に程遠いと思っていたが、的確な意見ばかりであることに気づく。

デビットとチーチは一緒に脚本を書き直し、舞台は見事成功を収めるが、それが引き金となり思わぬ大騒動に。

キャスト

デビット  浦井健治

チーチ  城田優

エレン  愛加あゆ

イーデン  保坂知寿

オリーブ  平野綾

ヘレン  前田美波里

ワーナー  鈴木綜馬

ニック  ブラザートム

シェルドン  青山航士

ジュリアン  加地将樹

感想

今日は『ブロードウェイと銃弾』を観に、日生劇場まで行ってまいりました。

全体的にコメディで、何度も笑わせてもらいました。

私はいつも1階席の入り口から劇場に入って雰囲気を感じてから、着席するのですが、今回は舞台上のタイムズスクエアを彷彿とさせるネオンサインに気分が沸き立ちました。

とにかくキャストの個性が強くて、適役だったと思いますが、やはり前田美波里さんのパワフルな存在感は圧巻でした。

失礼ですが、ご年齢を考えるととても想像できない、ダンスや歌、容姿に、プロフェッショナリズムを感じました。

また、去年の『レディ・ベス』からは程遠いキャラクターを演じた平野綾さん。

このキャラを見て、まず最初に映画『雨に唄えば』のキンキン声の女優役を思い浮かべてしまいました。

少々お下劣なシーンも突き抜けていて、コミカルに演じられている様子は脱帽です。

声優をされているだけあり、声の幅の広さに驚かされました。

城田優さんは、背の高いギャングの手下役で、一見怖そうだけれど実は芝居に熱いという役どころでした。

今回が初タップだったそうですが、タップの群舞に混じり、タイムステップやターンなどをされていましたね。

タップが好きで今も続けている私からしますと、これからも練習を続け、また別の舞台でも披露してくださると嬉しいななんて思います。

チーチという役名にかけて、自分の名前をトートと聞き違えるシーンなど、ミュージカルファンを喜ばせるようなシーンもありました。


『ブロードウェイと銃弾』歌唱披露/城田 優

浦井健治さんは売れない劇作家役でしたが、強烈な個性の役者陣に囲まれて、唯一ふつうのキャラをそつなく演じられていました。


『ブロードウェイと銃弾』歌唱披露/浦井健治

保坂知寿さん、鈴木綜馬さんはじめとした元四季さんも脇を固められていましたね。

難しいことを考えず、古き良きアメリカの音楽やダンスに酔いしれて、当時の雰囲気を楽しめる類の舞台裏ものミュージカルは久しぶりだったので、満喫しました。

『トップ・ハット(1935)』Top Hat

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『トップ・ハット』とは

1935年公開のアメリカのミュージカル映画。 

アステア&ロジャースコンビの4作目。

音楽は「ホワイトクリスマス」などを手がけたアーヴィング・バーリン

舞台化され、2012年ウエストエンド で初演し、オリヴィエ賞を作品賞を含む3部門で受賞。

日本では宝塚歌劇団により2015年初演。

あらすじ

公演のためにロンドンを訪れていたブロードウェイダンサーのジェリーは、同じホテルに滞在していたモデルのデールに一目惚れしてしまう。

一時は心を通わせる2人だったが、ジェリーのことを友人の夫だと勘違いしたデールはベニスに逃れ、当てつけにデザイナーのアルベルトと結婚してしまう。

ジェリーは慌てて後を追うが…

キャスト

ジェリー  フレッド・アステア

デール  ジンジャー・ロジャース

ホレース  エドワード・エヴェレット・ホートン

アルベルト  エリック・ローズ

マージ  ヘレン・ブロデリック

ベイツ  エリック・ブロア

感想

ミュージカル映画黄金期の代名詞になるような作品で、アステア&ロジャースコンビの作品で一番評価が高いですが、お話の内容は『コンチネンタル』と瓜二つです。

音楽は、アーヴィング・バーリンによる秀逸な楽曲ばかりですが、なかでも「Cheek to Cheek 」は有名。


Fred Astaire - Cheek to Cheek

「Top Hat, White ties and Tails 」という曲がありますが、この作品でアステアのポートレイトでよく用いられる、シルクハットに黒燕尾のスタイルが定着したと言われています。

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この映画では冒頭からアステアの華麗なタップダンスを楽しめます。

最初は、ホテルで自由気ままに踊ってしまう迷惑な客なのですが。

眠れない階下の彼女を思って、砂を撒いてその上でタップを踊るsand danceはロマンチックだなぁと思ってしまいました。

アステア&ロジャースは前回までの作品の成功で気持ちに余裕が出て、しかしその人気に驕ることなく、さらにダンスや歌、演技に磨きがかかったように思いました。

雨宿りしながらダンスする「Isn’t it a Lovely Day」もとてもチャーミングな一曲。


Top Hat: Isn't This a Lovely Day (To Be Caught in the Rain)

アステア&ロジャースは本当にevergreenですね。