ミュージカルは終わらない Musicals won't be over.

舞台ミュージカルを中心とした、ミュージカル映画、演劇、オペラに関するブログ

『サラフィナ!』Sarafina!

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サラフィナ』とは

1992年のミュージカル映画
1988年初演の同名のブロードウェイ・ミュージカルを映画化したもの。
南アフリカ共和国での反アパルトヘイト運動を描いた、社会派ミュージカルとしてロングランされました。
タイトルロールであるサラフィナ役のクマロは、ブロードウェイ初演でも同役を演じていて、
この作品でトニー賞助演女優賞にノミネートされました。
また、『天使にラブソングを』シリーズでおなじみの、ウーピー・ゴールドバーグが出演しています。
サラフィナとは、ズールー語で、小さな天使という意味。


あらすじ
1968年。南アフリカ共和国ヨハネスブルグ
黒人居住区ソウェトに住むサラフィナは、学校の人気者だった。
彼女が通う高校にも人種隔離政策が影を落とし、校庭を白人兵が見回ることが日常化していた。
その中で、歴史を教えるメリー先生は、政府指導のカリキュラムに従わず、アフリカの本当の歴史を生徒たちに教えた。
啓蒙された生徒たちは、文化祭で、釈放される指導者マンデラを主人公にしたミュージカルを上演することを決める。
しかし、そんなある日、メリー先生が子供たちに危険思想を植えつけたという理由から警察に連行されてしまう。
生徒たちは抗議を起こしたが、対抗して兵士たちは生徒たちに銃口を向けるのだった。。。

キャスト・スタッフ

監督…ダレル・ジェームス・ルート

サラフィナ…レレティ・クマロ
メリー先生…ウーピー・ゴールドバーグ
サラフィナの母…ミリアム・マケバ
サベラ…ボンゲニ・ンゲマ
校長…ジョン・カニー

感想

この作品は、昔観たきりで、私の中では怖い映画に分類されてしまっています(^^;

やはり、アパルトヘイトの現実を伝えるために、暴力シーンがリアルに描かれているので。

しかし、今一度、思い返しながら、この作品について感想を書いてみたいと思います。

 

まず、この『サラフィナ』というミュージカルについてなのですが、

すごいと思うのは、この作品のブロードウェイ初演1988年当時は、

現地・南アでは、まだアパルトヘイトへの反対運動の最中だったということです。

後に大統領となるマンデラの釈放は、1990年に入ってからです。

つまり、このミュージカル自体が、リアルタイムで行われた反アパルトヘイト運動とも言えるのです!!

これ、すごくないですか!!??

ミュージカルが社会を動かした、ものすごく具体的な例と言えると思います。

 

やはり、アフリカ系アメリカ人のウーピーにとっても、この作品は特別なものであったらしく、

この作品に出演できなければ、『天使にラブソングを2』には出ないと言ったほどだったそうです。

 

ロケは、まさに作品の舞台である南アのソウェトで行われていて、

砂の色とか、家並みなどから、現地の風が感じられました。

ただ、舞台ミュージカルの映画化にしては、ミュージカルシーンが少ない印象を受けました。

ナンバーの数々は、全てアフリカンミュージック色が強く、聴きごたえがあるものばかりで、素晴らしかったです。

「Freedom is Coming」は、人種隔離政策による苦境から自由を勝ち取ろうという、熱い思いがあふれていて、非常に感動的です。

これだけの群舞を、liveで観られたら、どんなにか鳥肌ものだろう!と思いました。

 

アパルトヘイト政策については、文面でしか読んだことがなかったのですが、

この映画を観ることで、政策の虚しさと、肌の色で差別する無意味さを思い知らされます。

アパルトヘイト後、南アの国民が必ずしも幸福になったわけではありません。

しかし、一つの時代が終わり、新しい自分たちの時代が訪れた喜びが、この作品には溢れていて、

現在でも、南アの人々の最も愛する作品の代表になっているそうです。


(最後に、黒人に対するアパルトヘイト政策が有名ですが、これは有色人種に対して行われたのであって、
実際、日本人も差別対象になり、差別を受けた日本人もいたという事実を、書き添えておきたいと思います。)


Sarafina: The Lord's Prayer Song HD

『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ(1986)』Little Shop Of Horrors

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『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』とは

1986年のミュージカル映画
1982年初演のオフ・ブロードウェイ・ミュージカルを映画化したもの。
この舞台の原作は、1960年制作の同名のカルト映画。
音楽は、アラン・メンケン&ハワード・アッシュマンのコンビ。
タイトル曲や「Skid Row」「Suddenly, Seymour」など曲が素晴らしいです。
彼らは、この作品の成功により、ディズニーからのオファーを受け、
のちに『美女と野獣』や『リトル・マーメイド』などの名曲で、ディズニーの一時代を築きます。
舞台版の映画化に際し、ラストシーンが悲劇からハッピーエンドに書きかえられています。
ホラーで、しかもカルト中のカルト映画と言われるミュージカル化することは、前代未聞だったらしいです。
舞台のオリジナルキャストは、オードリー役のエレン・グリーンのみ。
怪物植物“オードリーⅡ”は、CGなどではなく、全てスタッフの手作りで、
1トンもあるこのオブジェを、十数人で動かしています。


あらすじ
アル中が徘徊するような貧民街(スキッド・ロウ)で生まれ育ったシーモアは、
閑古鳥の鳴く、花屋の店員として雇われていた。
皆既日食の起こった日に、偶然手に入れた不思議な花に、
片思いの女性の名前にちなんで“オードリーⅡ”と名づける。
それを花屋のショーケースに出すと、みるみるうちに客が押し寄せ、店は大繁盛。
新聞やTVの取材など、シーモアの人生は一転し、一躍有名人になる。
しかし、“オードリーⅡ”の大好物は、なんとヒトの生血だったのだ。
シーモアは自身の血を与えるが、それだけでは足りない。
そこで、オードリーの恋人で、暴力ばかり振るうS気質の歯医者・オリンを“オードリーⅡ”に与える。
オリンの消失により、シーモアはオードリーと恋仲になるが、
“オードリーⅡ”の食欲は衰えず、その矛先はオードリーに向かう。。。


little shop of horrors intro song.wmv

キャスト・スタッフ

監督…フランク・オズ

シーモア・クレルボーン…リック・モラニ
オードリー…エレン・グリーン
花屋の店長・マシュニク…ヴィンセント・ガーディニア
オリン・スクリヴェロ…スティーブ・マーティン

あらすじ

以前日本でも公演されて、その時のオードリーの声を和田アキ子さんが演じられたことを覚えています。

私は、ホラーは苦手なんです。
ですが、これはホラー・ミュージカルなんて言っていて、コメディっぽいです(笑)。
魅力的なオープニング・ナンバーからして、ホラーという印象は全く受けませんよね。

3人の女の子達は、舞台の進行役で、物語の登場人物に直接関わりません。
構成的に、ドリーム・ガールズっぽいですね(^^;


この映画は、一時かなりハマって、何度も観ました。
何より、アラン・メンケンの音楽が素晴らしいんです!!
この奇想天外な作品と、ディズニーのプリンセス・ストーリーを手がける人が同じなんて、ちょっと信じられないですけれどね(笑)。
サドの歯医者の役者さんのユーモアも面白いし(ショッキングな場面なので動画は載せませんでした)、
謎の怪物植物“オードリー”の声もカッコいいですし、口の動きの精巧さなど、美術さんの腕が光っています!

このオードリー、今でもたまに夢に出てきます笑。

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このオードリーが歌うシーンも衝撃的!

目も鼻も眉毛もないのに、実に表情豊かに歌うんです。

初めて観たときは、数ヶ月間トラウマになりました。


FEED ME SEYMORE - LITTLE SHOP OF HORRORS

貧民街から抜け出したい気持ちを歌うナンバー「♪スキッド・ロウ」。
この曲の盛り上がり方が、ミュージカルというジャンルの醍醐味のひとつじゃないかな、と、観るたびに思ってしまうんです。


Little Shop of Horrors Skid Row

何と言っても、このシーンを見たら、ハッピーエンドを願わずにはいられない「Suddenly Seymore」


Little Shop of Horror Suddenly Seymour