ミュージカルは終わらない Musicals won't be over.

舞台ミュージカルを中心とした、ミュージカル映画、演劇、オペラに関するブログ

『メイム(1974)』Mame

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『メイム』とは

1974年のミュージカル映画
1964年初演のブロードウェイ・ミュージカルの映画化。
舞台版は、アンジェラ・ランズベリーのデビュー作となりました。
楽曲は、ジェリー・ハーマン。

あらすじ

父親と死別したパトリックは、ニューヨークに住む風変りで朗らかなメイム叔母さんの家に預けられる。
当時(1930年前後)のアメリカは世界大恐慌の最中で、
株にたよって生活していた叔母さんは無収入になってしまう。
友人の女優ベラからの紹介で舞台の仕事をもらったり、百貨店に勤めたり、
仕事に挑むもしくじってしまう。
そんな中で、百貨店で出会った大富豪に見初められ、玉の輿に。
しかし、世界旅行の途中で大富豪は不幸に遭い、未亡人となってしまう。。。
どんな困難にも明るく立ち向かうメイムの影響を受けて、パトリックは成長していく。

キャスト・スタッフ

監督…ジーン・サックス

メイム…ルシル・ボール
ボーレガード…ロバート・プレストン
ヴェラ…ベアトリス・アーサー
パトリック…カービー・ファーロング(幼少期)、ブルース・デイヴィソン
アグネス・グーチ…ジェーン・コンネル
イトー…ジョージ・チャン

感想

古き良きミュージカル、という感じ。
『ハロー・ドーリー』などを作曲したジェリー・ハーマンの音楽が輝いていました。
「Open a New Window」「Mame」「We Need a Little Christmas」など、名曲揃い。

クリスマスのスタンダードナンバーとなった一曲「We Need a Little Christmas」↓


Lucille Ball - We Need a Little Christmas - Mame (1974)

メイムは、陽気で強いおばちゃん。
ホストマザーと重ねてしまいました。
舞台女優(男優?)のヴェラや日本人召使のイトーなど、面白いキャラの登場人物たちに囲まれて、メイムの人柄がさらに生きていました。
ストーリーは、自伝を元にしているからか、なんとなくまとまりがないけれど、
観た後は、不思議と楽しい気分になれました。

1979年にもなってしまうと、
こういうコテコテのミュージカル映画はあまり受けなくなっていたらしくて、
公開当時はそれほど好評じゃなかったらしいです。
アメリカでも長いことDVD化されなかったくらいなので、日本でDVD化される見込みはほぼ無いんでしょう

訂正)復刻ライブラリーシリーズで日本でDVDのみ発売されています。


Mame (1974) – Mame

『ザッツ・エンターテイメント(1974)』That's Entertainment!

『ザッツ・エンターテイメント』とは

1974年公開のMGMミュージカル映画の名場面を集めた作品。
MGMのミュージカル映画のうち75作品が、当時活躍した俳優たちにより紹介される形式で進行していく。

キャスト

フレッド・アステア
ビング・クロスビー
ジーン・ケリー
デビー・レイノルズ
ミッキー・ルーニー
ジェームズ・スチュワート
ライザ・ミネリ
エリザベス・テイラー
ドナルド・オコナー

感想

それぞれの俳優が、共演したり、親交のあった俳優について紹介しています。

ジーン・ケリーフレッド・アステアは、それぞれをお互いに紹介しあっているのですが、共演した映画は、たったの2作品だけなのにもかかわらず、リスペクトし互いの才能や努力を認め合い、意識し合っていたことがわかりました。
2人が共演したシーンが取り上げられているのですが、これが鳥肌ものです。
1人だけでも圧倒的な迫力なのに、2人そろったら、どうでしょう。
これぞ、プロフェッショナルの最高峰と言えるのではないかと思いました。

↓trailerです。


That's Entertainment! Official Trailer #1 - Bing Crosby Movie (1974) HD


ライザ・ミネリミッキー・ルーニーは、ジュディ・ガーランドについて語っていました。
ジュディは、この映画の公開の5年前に亡くなっているので、本人出演が叶わなかったことが、本当に残念です。
でも、もし生きていたとしても、MGMとケンカ別れしたから、出演したか否かはわかりませんが。
ジュディが、姉たちとともにガム・シスターズを組んで、ラ・クカラチャを歌っている貴重映像から、専属契約を競い合ったディアナ・ダービンとの共演シーン、そして日本では入手困難な『踊る不夜城』や『ガール・クレイジー』の出演映像など、興味深いシーンを観ることができます。
いろいろなジュディを観ることができるのですが、その天性の何かを感じました。
このシーンを見ると、夭折してしまったことが本当に悔やまれます。


この映画を観て、感じたことは、MGMの規模の大きさ。
他の映画会社のミュージカル映画とは、量も質も敵わないというMGM作品の数々は、
多くの優秀な人材―俳優やスタッフたちによって築き上げられたんだな、と。
だって、スター俳優と言われる人たちが、MGMには何人もいるんですから、全体の規模は計り知れません。
フレッド・アステアをはじめとする、当時を知る俳優たちのインタビューもあるのですが、彼らが過去の出演を振り返る様子は、まるで青春時代を思い出すような感じで、ミュージカル映画の撮影にどれだけの心血を注いできたのか、感じることができました。


戦中から戦後にかけて、庶民の最大の娯楽として発達したミュージカル映画は、
今では当時を物語る、ひとつの資料と化していると言われてしまうかもしれませんが、
私は「ミュージカルは終わらない!」と言いたいです。
映像の中に封じ込められている、俳優やスタッフたちの情熱を、とても強く感じられるから。
単に演技だけでなく、才能を要される歌やダンス、それに加えられた当時の創意工夫は、現代に生きる私を魅了してやみません。


最後に蛇足ながら言いたいのは、日本でDVD化されていないミュージカル映画が大変多いことです。
とくに、ジュディ・ガーランドの出演作(特にジーン・ケリーと共演している『フォー・ミー・アンド・マイ・ギャル』を観たい!!)や、『オズの魔法使』以前のミュージカル映画のDVD化が殆どされていないことが、残念でなりません。