ミュージカルは終わらない Musicals won't be over.

舞台ミュージカルを中心とした、ミュージカル映画、演劇、オペラに関するブログ

『Just Around the Corner(1938)』

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『Just Around the Corner(1938)』とは

1938年の20世紀フォックスによるミュージカル映画

原作はポール・ジェラルド・スミスによる小説『Lucky Penny』。

監督はアーヴィング・カミングス。 

日本未公開のため、邦題はない。

あらすじ

寄宿学校に通う10歳の女の子ペニーは突然帰省するように言われる。

久しぶりに父親と過ごせると喜ぶペニーだったが、帰ってみると元々住んでいたペントハウスには別人が住んでおり、父親は地下に住んでいた。

建築家の父親は新事業に対して多額の融資を受けており、ペントハウスを引き払い、ペニーの通学も停止しなければならないほど経済的に追い詰められていた。

そんな父親をペニーは健気に励まし、家事の手伝いをする。

ペントハウスに住んでいた時はペニーの家で給仕をしていたウォーターは、以前とはすっかり態度が変わり、ことあるごとにペニーの態度が悪いことを指摘するが、優しいキティやガス、ジョーンズなどのホテルスタッフとペニーは楽しく暮らした。

ペニーの父親はローラと親しくなるが、ローラの伯父サムは建築家としてペニーの父親を一度雇ったものの契約を打ち切ってしまう。

ローラがサムに掛け合うが、状況はさらに悪化してしまう。

ペニーはある日、サムが詰問されているところを見かけ、彼をアンクル・サムアメリカを擬人化したキャラクター)と勘違いし助ける。

キャスト

ペニー・ヘイル  シャーリー・テンプル

ティー  ジョーン・デイヴィス

ジェフ・ヘイル  チャールズ・ファレル

ローラ  アマンダ・ダフ

ジョーンズ  ビル・ロビンソン

ガス  バート・ラー

ウォーターズ  フランクリン・パンボーン

ジュリア  コーラ・ウィザースプーン

サミュエル・G・ヘンショウ  クロード・ギリングウォーター

ミルトン  ベニー・バートレット

感想

日本では未公開のため邦題はありませんが、もし邦題をつけるとしたら『幸せはすぐそばに』などとなるのでしょうか。

シャーリー・テンプルがお決まりの筋書きで、場を明るくしてくれます。

経済難にある父親を健気に手伝う様子は「小さな奥さん」とでも呼びたくなるほど、とても可愛らしいです。

たくさんの犬が登場しますが、その中にテンプルちゃんが実際に飼っていた犬Ching-Ching Ⅱもいたそうです。

ビル・ロビンソンとのタップダンスを交えたミュージカルシーンは何度見ても楽しいものです。

▼「A Happy Little Ditty」


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父親がボルネオに行くという話が持ち上がり、何とか父親をとどまらせたいペニーはショーを企画し、お金を集めようとします。

その時のナンバー「I Love to Walk in the Rain」。

黄色い雨合羽を羽織ったペニーが雨の中をお散歩するナンバーです。

舞台上のセットの手作り感とともに、よく観察するとカエルの目が動いているなど凝った作りになっている点も注目してみたいところです。

雨の中を歌うといえば「Singin' In the Rain」もありますが、こちらも非常にiconicだと感じました。

▼「I Love to Walk in the Rain」


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残念ながらこの作品でのキャスティングについて、テンプルちゃんの母親が難色を示したことがきっかけで、テンプルちゃんの20世紀フォックスとの契約は終焉へと向かっていきます。