ミュージカルは終わらない Musicals won't be over.

舞台ミュージカルを中心とした、ミュージカル映画、演劇、オペラに関するブログ

『キャッツ』2018.8.19.13:30 @キャッツシアター

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『キャッツ』とは

1981年ウエストエンド初演、1982年ブロードウェイ初演のアンドリュー・ロイド=ウェバー作曲のミュージカル。

原作は、T・S・エリオットによる『キャッツ - ポッサムおじさんの猫とつき合う法』。

トニー賞は7部門で受賞した。

日本では1983年に劇団四季により初演された。

あらすじ

満月が青白く輝く夜、街の片隅のゴミ捨て場。

たくさんのジェリクルキャッツが、年に一度開かれる“ジェリクル舞踏会”に参加するために集まってくる。

人間に飼い馴らされることを拒否して、逆境に負けずしたたかに生き抜き、自らの人生を謳歌する強靭な思想と無限の個性、行動力を持つ猫ーそれがジェリクルキャッツ。

そして今宵は、長老猫が最も純粋なジェリクルキャッツを選ぶ特別な舞踏会。

再生を許され、新しいジェリクルの命を得るのは誰か。

夜を徹して歌い踊る猫たち。

やがて夜明けが近づき、ナイフで切ってしまえそうな静寂に向かって、天上に上り、新しい人生を生きることを許されるただ一匹の猫の名前が宣言される。

その猫とは…


劇団四季:キャッツ:東京公演プロモーションVTR:2018年8月開幕

キャスト

グリザベラ  木村智秋

ジェリーロラム=グリドルボーン  岡村美南

ジェニエニドッツ  加藤あゆ美

ランペルティーザ  三平果歩

ディミータ  松山育恵

ボンバルリーナ  山崎遥香

シラバブ  三代川柚姫

タントミール  間辺朋美

ジェミマ  町真理子

ヴィクトリア  馬場美根子

カッサンドラ  藤岡あや

オールドデュトロノミー  橋元聖地

アスパラガス=グロールタイガー、バストファージョーンズ  藤田光之

マンカストラップ  加藤迪

ラム・タム・タガー  大嶺巧

ミストフェリーズ  松出直也

マンゴジェリー  玉井晴章

スキンブルシャンクス  田邊祐真

コリコパット  横井漱

ランパスキャット  高橋伊久磨

カーバケッティ  照沼大樹

ギルバート  新庄真一

マキャヴィティ  文永傑

タンブルブルータス  吉岡慈夢

感想

新しく大井町に出現したキャッツシアターに、友人とそのこどもちゃんと一緒に行ってきました。

『キャッツ』を初めて観たのは、四季の五反田キャッツシアター時代で、実際何度観たか正確には思い出せませんが、多分4,5回くらいかなと思います。

私は基本的に同じ演目を同じ言語で二度以上観ることはないので、『キャッツ』はやはり特別な作品なのでしょうね。

今回は、浅利慶太さんがお亡くなりになってから初めての劇団四季観劇でした。

今こうして、日本津々浦々にミュージカル文化が根付いているのは、浅利さんをはじめとした四季の創設メンバーあってのこと。

夢と生きがいをありがとうございます。

改めて、ご冥福をお祈りいたします。

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さて、久しぶりの観劇でしたので、「あら、こんな歌詞だったかしら」というようなことが度々ありました。

それは私の勘違いも一部あるかもしれませんが、そうとも言えない部分もあり、というのは一部歌詞が変わったりナンバーも変わったらしいのです。

でも、私はそこまでマニアではないのでよくわからなかったため、詳細については他のSNSをご参照ください。

今回は初めての回転席。

といっても左端の2列目ですが、それでも五反田時代、願ってもなかなか手の届かなかった回転席に、もう大興奮でした。

オープニングは以前は何の前触れもなく猫ちゃんが現れるみたいな、spontaneousな感じでしたが、今回は回転席で真裏にいたからか全くわからず、唐突にovertureが始まりました。

回転席はステージと一続きになっているため、ジャンプの多い群舞シーンでは揺れること揺れること。

それだけ臨場感がある素晴らしいものでした。

初見の方はやはりセンター中央やや後ろからの観劇の方が概要を掴みやすいかと思いますが、だいたいの内容が頭に入っている場合、回転席ですと猫ちゃんの細かな演技や表情がわかり非常におもしろいですね。

この芝居はセンターで次々と猫ちゃんたちが自己紹介していくのですが、その最中も周りにいる猫ちゃんたちはそれぞれのキャラを演じ続けている、そのプロ意識を間近に感じられました。

数年前のブロードウェイリバイバルを見逃して、とてもショックだったのですが、今回四季の公演を改めて観られ、これはこれで良かったです。

来年新小1になる友人のこどもちゃんも、お利口に真剣に観劇できたようで、いいミュージカル観劇デビューとなりました。

家族でミュージカルというちょっとした贅沢も、忙しい日々のオアシスのようで、素敵だなと思いました。

うーん、あまり作品の感想になっていませんね、すみません。

では、ここで、私的キャッツあるある(=^x^=)!

タップを習っている私としてはジェニエニドッツのシーンでいつも自然に足が動いてしまうのですが、それは舞台上にたくさん登場する茶色い生き物への生理的拒絶反応でもあるんです(苦笑)。

マンカストラップは私のキャッツ人生における初恋の猫です(初めて観たときは福井晶一さんだったなぁ)。

ラムタムタガーに舞台上へ連れ去られる場面を何度も夢で見たことがあります(病的)。

マキャヴィティのシーンでは、どこにどのタイミングで現れるかわかっていても、いつもビクッとしてしまってちょっと恥ずかしいです。

あと、観劇の帰り道〜その日就寝まで、頭の中で「スキンブルシャンクスー鉄道猫」が否が応でも無限リピートされます。

きっとまだあるけれど、それはまた次の機会のために取っておきます。

 

『コーラスライン』2018.8.18.16:30 @東急シアターオーブ

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コーラスライン』とは

1975年初演のブロードウェイミュージカル。

原案はマイケル・ベネットによる。

トニー賞を9部門受賞している。

日本初演は1979年、劇団四季による。

2006年ブロードウェイでリバイバルされた際のキャストのオーディションの様子は、ドキュメンタリー映画ブロードウェイ♪ブロードウェイコーラスラインにかける夢』にまとめられており、コニー役に選ばれた日本人、高良結香さんも出演している。

あらすじ

舞台は、とある新作ブロードウェイミュージカルに出演するコーラスダンサーのオーディション会場。

わずか8つの枠をかけて集まったダンサーのうち、最終選考に残されたのは17人の男女。

候補者たちは、それぞれの想いを胸に“コーラスライン”ーステージの一番正面に引かれた1本の白いラインーに並ぶ。

不安に包まれる彼らに、演出家ザックは語りかける。

「履歴書に載っていないことを話してほしい。君たち自身のことを」。

ダンスに魅了されたきっかけを話すマイク。

家庭環境に恵まれず、つらい日々の中で生きる希望をバレエに見出したシーラ、ビビ、マギー。

音痴に悩むクリスティンと夫のアル。

夢精を性病と間違える恥ずかしい思春期のエピソードを暴露するマーク。

背が低いことを理由にバレリーナを諦めたコニー。

演劇学校の落ちこぼれだったディアナ。

妻子持ちのドン。

幼少期に父親が失業したジュディ。

ゲイのグレッグ。

奨学金を得て大学に通い、幼稚園教諭をしていたリッチー。

ダンスがどんなに素晴らしくても、見た目で不採用続きだったため美容整形をしたヴァル。

そんな中に、ザックの元恋人キャシーの姿もあった。

彼女はかつて舞台で主役を張るスターだった。

ザックは「コーラスダンサーの器ではない」と諭すが、キャシーはダンスへの純粋な想いを語るのだった。

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キャスト

※本公演では会場にキャスト表の掲載がなかったため、プログラムにあるキャストを書いておきますが、実際にはunderstudyだった可能性もあります。

 

グレッグ  Nicholas Berke 

ディアナ  Natalie Bourgeois

ヴァル  Melissa Cabey

ドン  Wesley Ian Cappiello

ロイ  Gideon Chickos

ザック  Aaron Patrick Craven

ブッチ  Giovanni Da Silva

シーラ  Kahla Davis

トム  Steven Del Col

リッチー  Darius R. Delk

ヴィッキー  Hannah Fairman

マギー  Veronica Fiaoni

ロイス  Emily Franklin

ジュディ  Lauren Garriott

フランク  David Grindrod

コニー  Samantha Cho Grossman

クリスティン  Erica Jane Hughes

マーク  Peter Hughes

ボビー  Ryan Koerber

アル  Charlie Nash

ビビ  Laura Pierpont

ポール  Joseph Rosario

マイク  Andrew Natale Ruggieri

トリシア  Zoë Schneider-Smith

キャシー  Madison Tinder

ラリー  Josh Zacher 

感想

これ(A Chorus Line、以降ACL)は、2つ目にブロードウェイで観劇した思い出深い作品であり、劇団四季による公演も観たことがあります。

今回は、生オケでfullで通して聴く機会もなかなかないし、翌日に都内で予定があるついでに観ておこうか、という気持ちで行きました。

やはりscoreが大好きで、opening の「From the top, 5, 6, 7, 8」からの流れでいつも鳥肌が立ってしまうのです。

最近CDを手放してレコードを集めるようになったのですが、ACLは映画盤もオリジナルブロードウェイキャスト盤も手元に置いてよく聴いています。

今回の演出は、オリジナルでコニーを演じた、バーヨーク・リーさん。

上に書いた『コーラスライン♪〜』にもプロダクションスタッフとして登場していましたが、キャスト選考で高良さんのコニーについて「コニーは実際にニューヨークの下町で生まれて、大都会で揉まれながら生き抜いてきていなければ、その味は出せないわ」みたいなことをおっしゃっていて、私は「この国の文化を愛して海外から来て、言葉の壁を乗り越えて頑張っている高良さんに向かって、この人は何を言ってるんだ」と少々憤慨したのを覚えていますが。

(最終的に高良さんがオリジナルに選ばれたのでok…)

ブロードウェイの劇場の方が狭いことも手伝ってか、私個人としては2008年にブロードウェイ観劇した時とは程遠いものでした。

うまく言葉にできないけれど、少しの悪評でクローズに追い込まれる緊張感とか、そういったものがブロードウェイに魔法をかけて、ブロードウェイを特別な場所にしているんですよね。

ああ、それでもここまで違うものかと思いましたね…ダンスのキレとか、演技への熱量の込め方とか。

改めてミュージカルはブロードウェイ、ウエストエンドで観るに限ると思いました。

そして、やはりいつもの、ポールの台詞「Take care of my son...」のところで涙腺崩壊。

例のごとく、私は親子ものに断然弱いんです。

そして、大団円を飾る「One」。

この「One」の歌詞をかいつまむと「彼女の優雅なステップ、一挙手一投足にもう夢中さ」みたいなことを繰り返し歌っているわけですが、当たり前ですが、このOneとは主役のこと。

このミュージカルの登場人物たちは決してOneにはならない、端役のダンサーたち。

しかし、「One(reprise)」では彼ら一人一人が自分自身のことを「僕らこそOneだ」と高らかに歌い上げているように見えます。

そして、終盤で舞台後方に現れる鏡には、私たち観客もしっかりと映り、自分たちも彼らと同じ夢追い人になったように錯覚するのです。

一幕構成であっという間に終わってしまいましたが、この休憩を挟まないスタイルが、オーディションの緊迫感を作り出しているように思いました。


ブロードウェイミュージカル『コーラスライン』来日公演 2018