ミュージカルは終わらない Musicals won't be over.

舞台ミュージカルを中心とした、ミュージカル映画、演劇、オペラに関するブログ

『夢のチョコレート工場(1971)』Willy Wonka & the Chocolate Factory

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夢のチョコレート工場』とは

ロアルド・ダールによる児童小説『チョコレート工場の秘密』を原作とした、1971年公開のアメリカのミュージカル映画

作品中の「The Candy Man」については、サミー・デイヴィス Jr. がカバーしヒットした。

音楽はアカデミー賞、主演のウォンカ役ジーン・ワイルダーゴールデングローブ賞にそれぞれノミネートされたが、ともに『屋根の上のヴァイオリン弾き』に敗れている。

なお、同原作によるミュージカル舞台版が2013年ウェストエンドで初演されたが、「Pure Imagination」をはじめとする本映画中のナンバーが何曲か採用されている。

あらすじ

父親のいない少年チャーリーは、巨大なチョコレート工場のある大きな町に、祖父母たちとともに貧しい生活を送っていた。

ある日、そのチョコレート工場の経営者ウィリー・ウォンカ氏が自社のチョコレートの中にゴールデンチケットを5枚封入して出荷し、そのチケットを引き当てた子どもとその保護者1名を工場に招待すると発表した。

新聞配達のアルバイトの収入を自分のためではなく、全て家族のために使う心優しいチャーリーに、ジョーおじいちゃんはウォンカのチョコレートを買ってあげるのだった。

そこに金のチケットは入っていなかったが、感謝しながらチョコレートを食べるチャーリー。

ある日、学校帰りにたまたま道端にコインを見つけたチャーリーは、そのコインでウォンカのチョコレートを買ったところ、見事金のチケットを当てたのだった。

ジョーおじいちゃんを引き連れ、喜び勇んでウォンカ氏の工場に向かうチャーリー。

しかしこれは、ウォンカ氏が子どもたちに課した、あるテストだったのだ…

▼trailerです。


Willy Wonka & The Chocolate Factory (1971) Official Trailer - Gene Wilder, Roald Dahl Movie HD

キャスト

ウィリー・ウォンカ  ジーン・ワイルダー

ジョーおじいちゃん  ジャック・アルバートソン

チャーリー・バケット  ピーター・オストラム

ヴェルーカ・ソルト  ジュリー・ドーン・コール

ヴァイオレット・ボールガード  デニス・ニッカーソン

マイク・ティーヴィー  パリス・セメン

オーガストス・グループ  マイケル・ボルナー

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感想

小学生の頃、ロアルド・ダールの小説を読んだ方も多いのではないでしょうか。

ファンタジーの要素がありながら、子どもたちに善悪を教えるストーリーが印象的だった記憶があります。

本作は公開直後より、しばらく経ってからカルト的な人気が出ました。

なんと言っても、本作のジーン・ワイルダーの奇怪なウォンカ像は印象深く、一度観ると忘れられません。

登場シーンから固唾を飲んで見入ってしまいます。

杖をつきながら歩いてきて、どこか足がよくないのかしらと思わせておきながら、門に辿り着いたらでんぐり返しのサプライズ。

ウォンカ氏のパーソナリティーがこの登場シーンに象徴されています。

ドアが開き、チョコレート工場に入ったシーンがありますが、この撮影の時にキャスト達は初めてセットの全貌を目の当たりにしたそうです。

あの圧倒された表情は自然に生まれたものなんですね。

「Pure Imagination」では、ウォンカ氏は純粋な想像力の大切さを大人たちに訴えているようです。

数々のアーティストにカバーされている名曲ですね。

▼「Pure Imagination」


Gene Wilder - Pure Imagination

Come with me and you'll be

In a world of pure imagination

Take a look and you'll see

Into your imagination

 

We'll begin with a spin

Traveling in the world of my creation

What we'll see will defy explanation

 

If you wanna view the paradise

Simply look around and view it

Anything you want to do it

Want to change the world?

There's nothing to it

 

There is no life I know

To compare with pure imagination

Living there you'll be free

If you truly wish to be

ちなみに、最後にcrispyな音をさせて美味しそうに食べている、花のかたちをしたカップとソーサーは、実際、蝋でできていたそうです。

個人的に大好きな曲なので、ドラマ『グリー/glee』キャストによるカバーも載せておきます。


GLEE "Pure Imagination" (Full Performance)| From "Funeral"

実際、ウォンカ氏と子どもたちの間の緊迫した雰囲気を出すために、撮影中、ジーン・ワイルダーはわざと子役たちによそよそしく当たっていたそうです。

特殊技術やCG加工を用いない70年代という時代が生み出した、素朴ともいえる手づくり感が、かえって作品にファンタジックなエネルギーを与えている気がして、私の好きな映画のひとつです。

チャーリー役の子役は獣医になっており、その他の子役たちも全員、奇跡的に悪の道に走らず、定職に就いているという意味でも、安心して子どもに見せられる映画といえます。

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『青春一座(1939)』Babes In Arms

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『青春一座』とは

1939年のMGMによるミュージカル映画

ミッキー・ルーニージュディ・ガーランド主演のミュージカル映画シリーズのひとつ。

1937年初演の同名のブロードウェイ・ミュージカルを基にしているが、内容、楽曲ともに大幅に変更されている。

あらすじ

ミッキーは、ボードビリアンの父親を持つ、生まれながらの舞台っ子。

作曲も手がけるミッキーは、歌手のパッツィーと組んで、自身が手がけた曲を売りに出していた。

しかし、トーキー映画の台頭で、ボードビル人気は斜陽の一途を辿っていた。

ミッキーの反対も虚しく、ミッキーの両親は子供たちを置いて舞台巡業の旅に出る。

そこで、ミッキーは子供たちだけでショー『Babes In Arms』を行うことを提案する。

たまたまドラッグストアで、子役スターであるロザリーに出会ったミッキー。

集客のため自分たちのショーに出るようロザリーに懇願するが、条件としてパッツィーの代わりにロザリーを主役にするよう迫られるのだった…


Babes In Arms (1939) Official Trailer - Judy Garland, Mickey Rooney Musical HD

キャスト

ミッキー・モラン  ミッキー・ルーニー

パッツィー・バートン  ジュディ・ガーランド

ジョー・モラン  チャールズ・ウィニンガー

“ベイビー”ロザリー・エセックス  ジューン・プライサー

感想

ジュディ・ガーランドミッキー・ルーニー主演のミュージカル映画シリーズの一つ。

今回は、ミッキーの方がメインです。

このミュージカル、舞台版ではロジャーズ&ハートの美しい音楽で溢れているのですが、本作ではハリウッド色が強くなっており、例えばのちに『雨に唄えば』で歌われる「Good Morning」なども見られ、舞台とは全く別物になっています。

ジュディが歌う「Good Morning」も可愛らしくて私は好きです。


Judy Garland Stereo - Good Morning - Mickey Rooney - Babes In Arms 1939

舞台版オリジナル曲としては、現在でもスタンダードナンバー化している「Where or When」があります。

黄昏時が似合う、ロマンチックな一曲です。

子どもが歌うとなると、ちょっとませすぎという気もしますけれども。


Judy Garland Stereo - Where or When - Douglas McPhail, Betty Jaynes - Babes In Arms 1939

 製作された年代も年代ですが、ラストのショーシーンでは、当時の愛国心をこれでもかと扇情するナンバーばかりですね(もちろん舞台版にはありません)。

アメリカは神の国!」と連呼したり、圧倒的な群舞シーンは、どうしても北の某国を連想してしまいます。

何本も共演しているジュディとミッキーですが、今回はミッキーが大活躍の一本。

芸達者な彼のエンターテイナーぶりが全面に表れています。

舞台版の楽曲が素晴らしいので、もう少し映画版でもpick upしてもらいたかったというのが個人的には残念です。