ミュージカルは終わらない Musicals won't be over.

舞台ミュージカルを中心とした、ミュージカル映画、演劇、オペラに関するブログ

『マディソン郡の橋』2018.3.3.13:00 @シアタークリエ

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マディソン郡の橋』とは

2014年ブロードウェイ初演のミュージカル。

ロバート・ジェイムズ・ウォラー原作の同名小説を基にしている。

作詞作曲は、ジェームズ・ロバート・ブラウン(以下JRB)。

トニー賞では楽曲賞と編曲賞の2部門を受賞した。

今回、日本初演

あらすじ

緑豊かなアイオワ州マディソン郡のウィンターセット。

イタリア、ナポリ出身のフランチェスカは、農場を営む夫バドと息子マイケル、娘キャロラインたち家族を支える主婦。

隣人のチャーリーとマージ夫婦との狭い近所付き合いなど、農家の妻として十数年に渡り家族に尽くすだけの日々を過ごしてきた。

ある日、仔牛の品評会に出かけるため、バドと子供たちが家をあけることになる。

慌ただしく家族を送り出したその日の午後、カメラマンのロバートが車でフランチェスカの家の前に現れる。

ロバートはこの地に特有の屋根付きの橋を撮影するためにやってきたのだった。

道に迷ったロバートのため、フランチェスカは橋までの案内役を買って出る。

ロバートのカメラへの情熱に触れるフランチェスカ

やがてお互いの昔話になり、ロバートは元妻のフォーク歌手マリアンとのことを、フランチェスカは生まれ故郷のナポリの話をする。

短い時間を重ねるごとに二人の距離は近づいていき…


『マディソン郡の橋』PV【舞台映像Ver.】

キャスト

ロバート・キンケイド  山口祐一郎

フランチェスカ・ジョンソン  涼風真世

マリアン  彩乃かなみ

マイケル・ジョンソン    石川新太

キャロライン・ジョンソン    島田彩

others  加賀谷一肇

チャーリー  戸井勝海

マージ  伊東弘美

バド・ジョンソン  石川禅

感想

朝からお天気で、気持ちよくシアタークリエまで行ってまいりました。

『ソングス・フォー・ア・ニュー・ワールド』、『ラスト・ファイブ・イヤーズ』、『パレード』…もう書き出すとキリないですが、JRB作品の日本初演であったため、これは行かないわけにはいきません。

イーストウッド監督の映画でもお馴染みですが、ミュージカルはどうなるものかとわくわくして行きました。

今回は後から2列目センターから観劇。

9人の役者による小規模作品。

基本的に静かな流れの中に、赤の他人同士が互いを曝け出し、恋に落ちていく様子が描かれており、見応え充分の二幕ミュージカルでした。

JRBの音楽、深いです、そして相当の難曲揃いです!

今ブロードウェイオリジナルキャストレコーディングを聴き直していますが、フランチェスカの曲は6/8とか3/4とか三拍子が多く、ナポリを思わせるような主題がいくつも使われていますね。

カンツォーネ(正確には不明)のような旋律、難しそうだと思いましたが、涼風さんさすが歌いこなされていました。「Almost Real」


Exclusive! Watch Kelli O'Hara Sing the Stunning 'Almost Real' from "The Bridges of Madison County"

このミュージカルの曲は全体的に歌うのが難しいです。

みなさんお疲れ様です。

山口祐一郎さんは、所々笑いを取りながら、でもぬかりなくお芝居も歌もできて、安心して観られました。

ラストのロバートの歌には涙が止まらなかったです。「It All Fades Away」


Exclusive! Steven Pasquale Sings 'It All Fades Away' from "The Bridges of Madison County"

その他、石川さん、私と同郷ということで親しみのある彩乃さん、実力派の若手さんと、一人一人が粒ぞろいというキャスト陣でした。

山口祐一郎さんは本作出演にあたり、実際に舞台となったマディソン郡を旅されたそうで、本当に役への向き合い方が真摯で素晴らしいなと改めて思いました。

さて、作品について。

ナポリを出てアメリカの田舎で家族と暮らすフランチェスカ

ナショナルジオグラフィックのカメラマンとして世界中を飛び回るロバート。

家族がある、仕事がある、2人の人間が出会い、互いに欠けていたもの、互いの中にhomeを見出したのではないかなと私は思いました。

たった数日、そんな時間の問題ではないのですよね。

結局は元の役割を果たす決断をするフランチェスカ

私もそうすると思います。

その後、生涯独身を貫くロバートが、「あなたが家族を愛する理由が、私があなたを愛する理由でもある」という台詞。

なんてロマンチック。

私にもそんな人がいるので、途中から自分のことを見ているようで苦しくなってしまいましたが。

ロバートとといるフランチェスカは、本当に女で、涼風さんがとても可愛らしく演じていらっしゃいます。

戦争花嫁、時代背景については勉強不足であり、ただ今、関連本を読書中なので追記します。

音楽の複雑さは一回では理解できないので、数回にわたって観劇されることをお勧めしたいくらい、素晴らしい作品でした。

 

『紳士は金髪がお好き(1953)』Gentlemen Prefer Blondes

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紳士は金髪がお好き』とは

1953年公開のアメリカのミュージカル映画

 アニタ・ルースによる同名小説を基にした、1949年初演のブロードウェイミュージカルを映画化したもの。

劇中の「Diamonds are a Girl’s Best Friend」は数々のアーティストにカバーされている。

あらすじ

ショーガールローレライはお金持ちに目がないブロンド美女。

大富豪の御曹司ガスはローレライに夢中で、パリで式を挙げるために豪華客船を予約するが、ガスの父親は結婚に猛反対し、ガスは船に乗れなくなってしまう。

ローレライは代わりに、ショーのパートナーで親友のドロシーと一緒に乗船し、パリに向かうことになる。

ドロシーはローレライとは対照的に、男を見るときはルックスの方が重要であった。

ローレライはドロシーに男の経済力の重要性を説き、船上で彼女のために資産家の相手を探し始める。

そんな中、ドロシーはハンサムなマローンと知り合い意気投合するが、実はマローンはガスの父親が雇った私立探偵だった。

ダイアモンド鉱山の所有者であるビークマンと親しくなったローレライは、部屋で一緒にいるところをマローンに写真に撮られてしまう。

ガスにこの情報が伝わることを恐れたローレライは、ドロシーと協力し、手練手管でなんとか証拠写真を奪い取る。

ローレライはこのお礼としてビークマンからダイアモンドのティアラを受け取るが、ビークマン夫人はティアラが盗まれたと大騒ぎにし、警察沙汰にまで発展してしまうが…

▼trailerです。


Gentlemen Prefer Blondes (1953) trailer

キャスト

ドロシー  ジェーン・ラッセ

ローレライ  マリリン・モンロー

ビークマン  チャールズ・コバーン

マローン  エリオット・リード

ガス  トミー・ヌーナン

ビークマン夫人  ノーマ・ヴァーデン

感想

私にとって、マリリン・モンローを初めて映画で観た作品でした。

世の男性陣がマリリンを崇める理由をまざまざと見せつけられる、そんな映画です。

主人公は「男はお金がすべてよ」のブロンド美女と「男はかっこよければいいわ」の黒髪美女。

二人は親友同士であり、お互いに相手を思いやっているのですが、平然と手荒なこともする、なかなかタフな女子です。

類は友を呼ぶとは言いますが、ことに男性の嗜好に関して同じでは両者で取り合いになってしまい関係が破綻してしまうので、親友同士で男の趣味が違うのは必然なんですね。

そういえば私もそうだなぁ、なんて思い返しました。

本作は、女の友情を面白おかしく描いています。

音楽も「Diamonds are a Girl’s Best Friend 」をはじめ、ブロードウェイらしい明るい楽曲が多く、楽しめます。

この曲はドラマ「グリー」や映画『ムーラン・ルージュ』でも用いられましたね。

なお、このシーンには若き日のジョージ・チャキリスがいるので、探してみてください。

▼「Diamonds are a Girl's Best Friend」


Diamonds are a girl's best friend ~ Marilyn Monroe (Gentlemen prefere blondes, 1953)

黒髪美女を演じたジェーン・ラッセルも大変お綺麗で歌える女優さんです。

ネタバレですが、ローレライに扮装する場面では、話し方に至るまであまりに似すぎていて驚きました。

私も真似して、「Thank you ever so」なんて言ってみたりして…笑

作中の登場人物のように、ラッセルとモンローはとても仲良しだったようで、そういうプライベートの和やかな雰囲気が映画にもそのまま表れていたように思います。

 

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