ミュージカルは終わらない Musicals won't be over.

舞台ミュージカルを中心とした、ミュージカル映画、演劇、オペラに関するブログ

『レディ・ベス』2017.10.9.18:00 @帝国劇場

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知り合いの方にチケットを譲っていただき、初日に行ってまいりました。

今回観に行くことにしたのは、チケットを譲っていただいたこと、前回見逃した演目であったためなどのため。

それでは行きましょう。

『レディ・ベス』とは

2014年、帝劇にて世界初演されたミュージカル。

エリザベート』や『モーツァルト!』のクリエイター陣が制作にあたった。

45年もの間、英国女王として君臨したエリザベス1世の若き日々が描かれている。

あらすじ

16世紀イギリス。ベスは国王ヘンリー8世の娘にも関わらず、母が反逆罪の汚名を着せられ処刑されたため、片田舎で家庭教師たちとともに勉学に勤しみながらひっそりと暮らしていた。王女らしい理知と少女らしい好奇心に満ちたベスはひょんなことから出会った吟遊詩人ロビンに反発しながらも淡い恋心を抱き始める。しかし、ある日、彼女が現国王である姉のメアリーに対して反逆を企てているとの疑いをかけられ一変する。忠義心をメアリーに信じてもらえず、市況ガーディナーやスペイン大使ルナールに陥れられ、ついにロビンとも引き離され、ロンドン塔に投獄されてしまう。。。

キャスト

レディ・ベス 平野綾

ロビン・ブレイク 加藤和樹

メアリー・チューダー 吉沢梨絵

ロジャー・アスカム 山口祐一郎

キャット・アシュリー 涼風真世

フェリペ 古川雄大

アン・ブーリン 和音美桜

ガーディナー 石川禅

シモン・ルナール 吉野圭吾

感想

中央の丸い円形傾斜舞台が印象的な舞台セット。

照明が“適材適所”に効果的に用いられていました。

ミュージカルとしては、いまいち盛り上がりに欠けるというか、気持ちが入らなかったですね…

音楽が今ひとつ好みではなかったかな…

ベスが吟遊詩人と恋するという筋書きも、そんなことありえん!と思ってしまい、冷めた目で観てしまいました…

いつからこんなつまらない大人になってしまったのでしょう。。。涙

平野さん、加藤さん、古川さんは初めてでした。

ベスを演じられた平野さんは同年代だったので、自分自身をベスに投影しやすく、とても良かったです。

輪っかのドレスもとてもよくお似合いでした。

加藤さんは舞台から遠いB席からもイケメンぶりがよく伝わってくる演技でした。

アーティスト仲間との掛け合いも楽しかったです。

また、周りの皆さんの古川さんへの熱視線にびっくり!

古川さん登場の場面ではこぞってオペラグラスを覗き込んでいらっしゃいました。

うむ、確かに美青年。私はタイプではないですが。

来年の『モーツァルト!』が楽しみですね。

吉沢さん、お久しぶりでした。

四季時代の赤毛のアンなどの天真爛漫な雰囲気とは全く違った役どころ、見事でした。

 

今回、入場時、全員にメインキャストの顔写真の入った缶バッチがプレゼントされました。

私は、山口祐一郎さんでした♡

大切にします。


『レディ・ベス』2017/10/9 カーテンコール映像

『シカゴ(2002)』Chicago

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/en/thumb/e/e0/Chicagopostercast.jpg/220px-Chicagopostercast.jpg

『シカゴ』とは

2002年公開のアメリカのミュージカル映画

1975年初演のブロードウェイミュージカルを映画化したもの。

ミュージカルは、記者のワトキンスが調査した実際の犯罪および犯罪者を題材にした同名のストレートプレイを基にしている。

あらすじ

1920年代、禁酒法時代のシカゴが舞台。

ボードビル・ダンサーに憧れるロキシー・ハートはヴェルマ・ケリーが舞台に立つナイトクラブを訪れ、うっとりとその舞台を見つめる。

ロキシーはそのナイトクラブのマネージャーと知り合いであり、自分を売り込んでくると言うフレッド・ケイスリーと浮気をしていた。

しかし、それは真っ赤な嘘だった。

真実を知ったロキシーは怒り狂い、銃でフレッドを撃ってしまう。

夫のエイモスは当初ロキシーを庇おうとしたが、不倫の事実を知り、ロキシーが殺したと言ってしまう。

刑務所に入れられたロキシーは不安の中、敏腕弁護士のビリー・フリンを雇い、なんとか終身刑を回避しようとする。

ビリーはロキシーの身の上話から何から何まで嘘ででっち上げ、マスコミを操って、ロキシーを勝訴へ導こうとする。

たちまち、ロキシーは新聞一面を飾るほどの、世間の注目の的となるのだった。

キャスト

ロキシー レネー・ゼルウィガー

ヴェルマ キャサリン・ゼタ=ジョーンズ

ビリー リチャード・ギア

メイトロン・ママ・モートン クイーン・ラティファ

エイモス ジョン・C・ライリー

バンドリーダー テイ・ディグス

メアリー・サンシャイン クリスティーン・バランスキー

ニッキー チタ・リヴェラ

感想

『シカゴ』のブロードウェイキャストレコーディングを何回聴いたことでしょう。

1日に10回聴いた日もありました。

2008年の米倉涼子和央ようか主演の日本版も観に行きました。(なんと日本初演のロキシーは草笛光子さんだったんですね!びっくりです!)

もちろん映画も大好きです。

この映画は、2000年代のミュージカル映画ルネッサンスのきっかけになった作品と言っていいでしょう。

ミュージカル映画として久々にヒットし、この作品以降、より頻繁にブロードウェイミュージカルが映画化されるようになりました。

この映画化にあたって、やはり楽曲が削られていたり、登場人物もやや変わっています。

「Me and My Baby」はよく耳を澄ませると、instrumentalでバックに流れていますが、この曲大好きだったので、歌われなかったのはちょっと残念。

「Class」も本編では削られていましたが、DVDには特典映像で入っていたので、撮影はされていたんですね。

報道記者のメアリー・サンシャインは映画版ではクリスティーン・バランスキーが演じていますが、舞台版では男性が女装をして演じ、高い歌声を披露して、最後にカツラを外して男性と明かされる展開が多いです。

クリスティーン・バランスキーは『マンマ・ミーア!』などに出演している歌って踊れる女優さんなのですが、今回はそういった場面はお預けでした。

さて、映画の秀逸な点ですが、やっぱり冒頭の「All That Jazz」。

キャサリン・ゼタ=ジョーンズの鋭い視線とかっこいい歌声に心掴まれます。

「Cell Block Tango」では、囚人女性たちが被害者たちを自業自得だと歌うのですが、ブロードウェイで現役、あるいは過去に活動している/していた女優たちが演じており、非常にtheatricalで迫力があるものに仕上がっています。(よく見たら、チタ・リヴェラとか出てますし!)

バンドリーダーのテイ・ディグスは『レント』のベニー役でお馴染みですね。

そんな中、リチャード・ギアがハリウッド臭をさせて浮いていると言うことなく、ダンディなビリー・フリンを演じています。

さすがです。

レネー・ゼルウィガーの舌ったらずのおばかちゃんの演技も、ロキシーそのもの。

素晴らしかったです。

この作品の特徴として、歌が現実の世界から離れたところで歌われると言う特徴があります。

警察がロキシー宅の殺人現場に訪れた際に歌われる「Funny Honey」の始まりには「この歌は献身的な夫エイモスに捧げられます」と言う解説が入ります。

つまり歌っているのは現実の世界ではなく、ロキシーの心の中と言うことになります。

このほかも多くの楽曲がこのスタイルで歌われ、多くの場合、背景は黒で統一され、鏡やピアノなどシンプルなものが置かれているだけです。

「When We Both Reach For the Gun」「Mr,Celophan」では道化師のようなあからさまなメイクで、フェイクの世界であることが強調されています。

だからこそ、最初の「All That Jazz」と最後の「Nowadays/Hot Honey Rag」のライブ感がより一層際立っているのではないでしょうか。

また、このことは、この物語自体が当時の社会におけるマスコミや刑事裁判をテーマにした、あくまで風刺劇に過ぎないことを示唆しているのです。