ミュージカルは終わらない Musicals won't be over.

舞台ミュージカルを中心とした、ミュージカル映画、演劇、オペラに関するブログ

『ハッピー フィート(2006)』Happy Feet

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ハッピー フィート』とは

2006年公開のアメリカのフルCGアニメーション映画。

アカデミー長編アニメーション賞受賞作。

あらすじ

コウテイペンギンの父メンフィス、母ノーマ・ジーンの間に生まれたマンブルは、ひどい音痴で、歌で求愛するペンギンの世界では一人浮いた存在だった。

さらに、マンブルには足をタップダンスのように動かす癖があった。

ノーマ・ジーンは個性的な我が子を受け入れたが、メンフィスは”普通の”ペンギンとは違うマンブルを快く思わなかった。

魚の捕獲量が減りつつある現状を受け、長老ノアコウテイペンギンの伝統をますます重んじるようになり、ダンスで和を乱す者として、マンブルをコウテイペンギン界から追放する。

愛しいグローリアや両親と別れたマンブルは、魚が獲れなくなった原因を調べるべく、陽気なアデリーペンギン5人組アミーゴや教祖ラブレイスと一緒に旅立つのだった。。。

キャスト

マンブル イライジャ・ウッド

グローリア ブリタニー・マーフィ

メンフィス ヒュー・ジャックマン

ノーマ・ジーン ニコール・キッドマン

ノア ヒューゴ・ウィービング

アミーゴス

 ラモン ロビン・ウィルアムズ

 ラウル ロンバルト・ボヤー

 ネスター カルロス・アラズラキ

 ロンバルト ジョニーサンチェスⅢ世

 リナルド ジェフ・ガルシア

ラブレイス ロビン・ウィリアムズ

感想

タップダンスを踊るとっても可愛いペンギンの物語。

私もタップダンスを習っているので、とても楽しく見ました。

まず、映像美にびっくり。

CGといって侮るなかれ、とても画が綺麗です。

海の中をスイスイ泳いでいく場面や、氷上を腹ばいで滑り降りるシーンは、きっと映画館の大きなスクリーンで見たら一種のアトラクションになるのではないかと思うくらい、臨場感があります。

マンブルのタップダンスですが、なんとあのサビアン・グローバーが踊ったものを映像化しているそうです。

一体どうやっているのかと思いましたが、これを聞いて納得です。

手を横に広げてよたよた歩いたり、氷上でコケたり、ペンギンの一挙手一投足に癒されました。

また、環境問題を扱っており、おそらく日本をはじめとするアジア圏の魚食文化を批判しているのでしょうかね。(南極周辺での漁業禁止の場面で反対するシーンで”プロミス”の看板が目に入りました。)

ペンギンの食べる魚が少ないから南極周辺の漁業禁止というのは単純化しすぎという気もします。

捕鯨問題をはじめ、アジア圏の魚食文化について、なかなか西洋人とは理解し合えないですね。


Happy Feet (Trailer 2006 )

『ソウルガールズ(2012)』The Sapphires

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/en/thumb/7/74/The_Sapphires_poster.jpg/220px-The_Sapphires_poster.jpg

ソウルガールズ』とは

2012年のオーストラリアのミュージカル映画

2004年にメルボルンで初演されたトニー・ブリングスの同名の舞台を基にしている。

あらすじ

1960年代のオーストラリア。アボリジニの居住区に暮らすゲイル、シンシア、ジュリーの三姉妹は歌唱コンテストに出場するが、先住民であることから差別を受け、歌の実力はあるのにコンテストで勝利することができない。そんなところ、そのコンテストの司会をしていたデイヴと出会い、いところで同化政策によりアボリジニの家族から引き離され白人として育てられていたケイも加わり、ソウルを歌う4人のガール・グループ「ザ・サファイアズ」としてベトナムのアメリカ軍を慰問する仕事に就くことになる。

キャスト

クリス・ラブレイス オダウド

ゲイル デボラ・メールマン

ジュリー ジェシカ・モーボイ

ケイ シャリ・セベンス

シンシア ミランダ・タプセル

感想

アボリジニとして差別を受け、悔しい気持ちを胸にベトナムに乗り込む女性音楽グループのお話。

冒頭曲以外は、ステージでの歌唱なので、spontaneousなミュージカルシーンはありません。

オーストラリアでのアボリジニへの差別がこんなに残酷なものだったのかと、映像で見せられるとゾッとしました。

オーストラリアの歴史には全く詳しくないのですが、あまりに無知なのでいくつか本を読んでみようと思いました。

彼女たちは、1960年代に実在したアボリジニの女性音楽グループ、ザ・サファイアズをモデルにしているということですが、結構脚色してあるので内容は事実とは異なる点が多いようです。

実在する彼女たちの姿がこちらです。(おそらく2012年に撮影したもの)

http://www.smh.com.au/content/dam/images/2/3/l/2/9/image.related.articleLeadwide.620x349.23ksm.png/1344013200000.jpg

確か映画の最後に、脚本はそのメンバーのうちのどなたかの子孫の方が書かれたような記述がありました。

邦題しかり、『ドリームガールズ』と比較されることが多いようなのですが、製作者は全く異なる作品であると強調しているようです。

無名の女性音楽グループがスターダムに昇っていくところや、プロデューサーとメンバーの一人ができちゃうところなど、確かに似ているといえば似ているかしら。

残念ながら、本作の歌唱は、『ドリームガールズ』のジェニファー・ハドソンの歌声を耳にした時の衝撃とは全く比べ物になりません。

さらに、既存曲が多いので、ミュージカル映画として何回も見たいと言う類のものではありませんが、アボリジニの社会背景やオーストラリアの歴史を垣間見るには真面目に作られた良い作品だと思いました。


The Sapphires - clip: Audition