ミュージカルは終わらない Musicals won't be over.

舞台ミュージカルを中心とした、ミュージカル映画、演劇、オペラに関するブログ

『アクロス・ザ・ユニバース(2007)』Across the Universe

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感想

1.ビートルズの曲が、生々しく蘇っている!
 この作品を観て、一番強く感じたのは、ビートルズによる既成の曲が、物語の最中に登場人物たちが歌うことで、新たな輝きを放っているということ。
 ビートルズが歌っている時、歌は聴いている人それぞれの中で、様々な解釈をされている。
 けれど、ミュージカルでは、物語に歌が拘束される。
 だから、今までの自分のなかで受け取っていた歌詞とはちがった側面を堪能できて、すごく楽しかったです。
 また、歌をよりリアルに感じられました。
 なかなか上手く表現できないので、実際映画館で観て体感してください。

2.役者たちの歌い方が、ナチュラ
 歌い方がナチュラル、というか、歌いだしが全然不自然じゃない。
 とってつけたような、ミュージカル嫌いを誘発しているような、“わざと感”がないんです!
 「ミュージカルって、何で急に歌いだすの?」っていうタモリさんでも、NGは出さないんじゃないかな。
 感情が高まって、仕方なく歌うっていうか。
 あと、全体的に曲の速度を遅くして歌っているので、より感情がはいっているように聴こえたのかもしれません。
 そしてなにより、みなさん、歌がお上手で、役のイメージに声がピッタリです(^^)
 だから、ジュードとかルーシーとか、いかにも!な名前設定も、許してしまうw
 あと、ダンスも違和感無く溶け込んでいました。

3.リアルな世界とおとぎの国
 NYから、途中で、不思議なバスで、異空間に行くんです。
 そこで、よくわからない青い何とか星人みたいなのとか、でかいカボチャみたいなのが出てきて、サーカス的なショーが始まるんですけど。
 これなんなの?とか思っている暇もなく、終わったんですが、たぶん深く考えない方がいいですね(^^;

4.印象的な場面
 まず、「With A Little Help From My Friends」を歌うシーン。
 ダンス、と呼んでいいのかわからないけれど、ソファの上で飛び跳ねたり、階段の手すりを滑り下りたり…
 友情っていいな~って思っちゃいましたw
 クスリやってるのは、いかがなものかと思いましたけど。


Across the Universe - With a Little Help From My Friends


 
 次に、ルーシーの兄マックスが、入隊する時の身体検査の場面。
 すごく面白かったんです。
 もう一回じっくり観たいなぁ。

 あと、おきまりですが、最後の「All You Need Is Love」は、ちゃっかりのせられました。
 よくあるパターンとか言われちゃうかもしれないけど、とにかく素敵♪


パンフレットを読んでいたら、PUFFYのコメントに、
「ミュージカル…正直見たことなかったので、ためらいつつ見始めました。やばいっ!すごい面白い!こんな食わず嫌いな発想を持ってた自分のバカっ。(以下略)」

やったぜ、ジュリーさん!って感じです(´∀`)
すごいなぁ、ジュリーさん。
本当に尊敬する。

『ヘアスプレー(2007)』Hairspray

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『ヘアスプレー』とは

2007年のミュージカル映画
2002年初演、2003年のトニー賞最多受賞のブロードウェイ・ミュージカルを映画化したもの。
この舞台の原作は、同名の1988年のカルト映画。
暗めのカルト映画を、楽しい音楽とダンスを散りばめて極めて明るいタッチに仕上げているところが、素晴らしい点のひとつ。
主演は、今作で映画デビューを飾ったシンデレラ・ガール、ニッキー・ブロンスキーちゃん。
相手役のザック・エフロンは、『ハイ・スクール・ミュージカル』と今作のヒットで、アイドル路線まっしぐら、といったところ。
20代には二枚目俳優として有名だった、ジョン・トラヴォルタが女装して、ヒロインの母親役を演じているのも、見もの。
舞台版の「Mama,I'm a Big Girl Now」は、「トレーシーとアンバーが同じ悩みを抱えているのはおかしい」という監督の意向で、カットされている。
スタッフは映画『シカゴ』の制作を手がけたチームで、クイーン・ラティファは『シカゴ』にも出演しています。


あらすじ

62年、人種差別が根強く、白人と黒人がともにテレビに出演することも許されていなかった頃のボルチモアが舞台。
トレーシーは、ダンスとおしゃれを愛する、ふくよかな体型の女子高生。
ローカルのダンス番組「コーニー・コリンズ・ショー」に出演するリンクは憧れの存在であり、番組に一緒に出演することが彼女の夢だった。
ある時、その番組の出演オーディションに、トレーシーは学校をさぼって受験する。
一度は不合格になるも、ダンスの実力が認められ、番組のレギュラー・メンバーとなり、番組主催のミスコンテストであるミス・ヘアスプレーの候補に挙がる。
しかし、番組を取り仕切るヴェルマは、娘のアンバーにミス・ヘアスプレーを取らせたいため、トレーシーをよく思わない。
そんな折、月一度の黒人が出演できる番組が取りやめになることが決まり、トレーシーは抗議デモを発案する。
しかし、白人が黒人の抗議デモに参加することを世間は許さなかった。。。

キャスト・スタッフ

監督…アダム・シャンクマン

トレーシー・ターンブラッド…ニッキー・ブロンスキー
エドナ・ターンブラッド…ジョン・トラヴォルタ
ウィルバー・ターンブラッド…クリストファー・ウォーケン
ヴェルマ・フォン・タッスル…ミシェル・ファイファー
モーターマウス・メイベル…クイーン・ラティファ
リンク・ラーキン…ザック・エフロン
ペニー・ピングルトン…アマンダ・バインズ
スィーウィード…イライジャ・ケリー
コーニー・コリンズ…ジェームズ・マースデン
アンバー・フォン・タッスル…ブリタニー・スノウ

感想

この作品は、公開初日の朝一に、まだガラガラの映画館で観ました。
内容をよく知らずに観はじめたので、今でもあの時観たオープニングの「Good Morning,Baltimore」を聴いた時の感動は、強烈に覚えています(笑)。
その後、ブロードウェイでも観劇しました。

まず、音楽がノリノリで、印象的な楽曲が多いです。
好きな曲はたくさんあるんですけれど、やっぱりオープニングの「Good Morning,Baltimore」。
それに、「I Can Hear the Bell」、四重唱の「Without Love」…挙げればキリがないですね。
ミュージカル的に秀逸なのは、「Timeless to Me」。
言葉遊びが楽しいし、よく上手くまとめられているなぁと思います。

舞台版との比較をすると、アマンダ・バインズ演じるペニー。
舞台版のペニーは、普段メガネっ子の真面目ちゃんキャラなんです。
なので、フィナーレでメガネを取り、セクシーな衣装に着替えると、客席から歓声が上がるんですが、
アマンダちゃんは、最初から可愛らしいので(?)、最後着替えても、それほどの感動は無かったですね。


このミュージカルは、シンデレラ物語であるのと同時に、マイノリティへの差別を描いた作品。
ブロードウェイでの公演は、今年2009年1月4日に終わりましたが、
6年以上もロングランできた一因は、観客が、今日存在する種々の差別を、この作品のなかに見るからなのかもしれませんよね。

この映画を観て、「現実そんな上手くいかないよ」という意見を持たれるのは、ごもっとも!
だからこそ、この作品の意味があると思うんです!!
何も深く考えずに、楽しい音楽に身をゆだねれば、もうそれだけで十分楽しめる作品だと思います。


Hairspray - Good Morning Baltimore (Official Music Video)