ミュージカルは終わらない Musicals won't be over.

舞台ミュージカルを中心とした、ミュージカル映画、演劇、オペラに関するブログ

『スイート・チャリティ(1969)』Sweet Charity

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『スイート・チャリティ(1969)』とは

1969年のミュージカル映画

1966年初演のブロードウェイ・ミュージカルを映画化したもの。
『シカゴ』などの振付師ボブ・フォッシーが監督・振付を務めた。
原作は、ニール・サイモンによるものだが、それは映画『カリビアの夜』に着想を得たもの。
音楽は「If they could see me now」や「Big Spender」、サミー・デイビス・ジュニアによる「Rythm of Life」などが有名。
振付はボブ・フォッシーによる。

あらすじ

チャリティ・ホープ・ヴァレンタインは、ダンスホールに勤めるホステス。
名前を刺青するほど愛していた恋人に、全財産を持ち逃げされるなど、男運がとことん無い。
ある日、映画俳優のヴィトリオの家に偶然行くことになるが、彼の恋人が戻って来て、結局帰されてしまう。
そんな折、もっとまともな仕事を探すことを思いついた彼女は、職業紹介所へ。
故障で止まってしまったエレベーターで、閉所恐怖症の真面目人間、オスカーと出会う。
しぶしぶ、オスカーと付き合うことにしたが、次第にオスカーの優しさに好意を抱くようになる。
しかし、チャリティは、自分がホステスだと知られて嫌われるのを恐れ、銀行に勤めていると嘘をついてしまう。

キャスト

チャリティ シャーリー・マクレーン
オスカー ジョン・マクマーティン
ビッグ・ダディ サミー・デイビス・ジュニア
ヴィトリオ リカルド・モンタルバン
ニッキー チタ・リベラ
ヘレン ポーラ・ケリー

感想

最初に観た時、ラストで「なんで~~~!!!???」と叫んでしまうくらい、納得できなかったんですが(笑)、
二度目に観た時、やっぱりこれで良かったな、と思えました。
そんなラストシーンです(笑)
シャーリー・マクレーンが、バカでお人好しな女の子を、好演しています。
彼女なしでは成り立たないというくらい、素敵な演技。


sweet charity, somebody loves me/ I'm a brass band

 音楽も、素晴らしいですが、舞台版での音楽がけっこう削られていたり、変更されていたので、その点、残念でした。(「Dream Your Dream」とかね)
ダンスシーンは、フォッシー独特のダンスで、感じ方は人それぞれかな、と。
私は好きなんですけれど、やっぱり独創的な世界ですね。
コスチュームも、凝っていて、面白かったです。
印象に残ったシーンは、サミー・デイビス・ジュニアの歌う「Rythm of Life」。
場面としては、一種のキリスト教信者の集まり??らしいのですが、一見、謎の集団のよう。
一度聴くと、メロディがループして、頭から離れなくなります。


Sammy Davis Jr. Sweet Charity

気になったところと言えば、時々、映像が止まったり、写真(静止している)を使ったりしていたところでしょうか。
映画の、なにか効果を狙ったものなんでしょうが、漫画的になってしまった感があったように思いました。

最後になりますが、映画『有頂天ホテル』の中で、Youさんが「If they could see me now」を歌っています。
ちなみに、聴衆の中にいる戸田恵子さんは、劇団薔薇座時代に、『スイート・チャリティ』の日本初演で、主演チャリティ役を務められています。

『モダン・ミリー(1967)』Thoroughly Modern Millie

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モダン・ミリー』とは

1967年のミュージカル映画
ジュリー・アンドリュース主演のミュージカル映画のひとつ。
主題歌は、アカデミー歌曲賞を受賞しています。
アカデミー歌曲賞を受賞したタイトル曲をはじめとしたオリジナル楽曲に加え、
20年代当時の流行歌で彩られています。
(例えば、「Baby Face」とか「Jazz Baby」とか…)
この映画をもとに、2002年初演の同名のブロードウェイ・ミュージカルが制作され、トニー賞作品賞をはじめとする6部門を受賞しました。
この映画には、黄禍論を思い起こされるような、黄色人種差別や暴力シーンが少し描かれていて、
これを批判されるのを心配してか、
2002年の舞台版では、ラストシーンが書きかえられています。
(映画ではドロシーはグレイドンと結ばれるが、舞台版ではホテル従業員の東洋人と結ばれる設定)

舞台版の『Thoroughly Modern Millie』については、下の記事に書きました。
http://blogs.yahoo.co.jp/hyper_urara/17816448.html

あらすじ
時は、20年代、若い独身女性の誘拐が横行していた。
ミリーは、田舎町からニューヨークへ上京してきた、流行を追う今時娘。
敏腕タイプライターの才能を武器に良い職場を探し、上司と玉の輿に乗ろうと計画していた。
しかし、上司・グレイドンはミリーを女として全く見てくれない。
そんな時、ミリーの滞在している、ミアーズの経営しているホテルに、舞台女優志望のミス・ドロシーがやって来て、ミリーと親しくなる。
ドロシーと一緒にホテルのダンス・パーティに出ていると、ジミーという、しがない会社員に出会う。
ジミーは上司の車に乗せてくれたり、豪邸をもつ未亡人・マージーの屋敷に連れて行ってくれたりする。
優しく面白いジミーにミリーは惹かれるが、玉の輿計画を思い出し、自分を抑える。
一方、ミス・ドロシーは偶然グレイドンと出会い、2人は恋に落ちる。
そんな折、ミス・ドロシーが何の伝言も残さずに突然立ち去り、すぐに誘拐されたことに気づく。
真相を探るために、ジミーが女装して、おとりとなるのだが。。。

キャスト・スタッフ

監督…ジョージ・ロイ・ヒル

ミリー・ディルモントン…ジュリー・アンドリュース
ジミー・スミスジェームズ・フォックス
ミス・ドロシー・ブラウン…メアリー・テイラー・ムーア
トレヴァー・グレイドン…ジョン・ゲイヴィン
マージー…キャロル・シャニング
ミセス・ミアーズ…ベアトリス・リリー
バン・フー…ジャック・スー
チン・ホー…パット・モリタ

感想

『サウンド・ミュージック』のあとの、ジュリー・アンドリュースを観ることができます。
オリジナル曲の「Thoroughly Modern Millie」や「Jimmy」が素敵です。
また、ジュリー・アンドリュースの歌う「Baby Face」とか、最高です!
上のオープニングの場面の、田舎娘から変身していく演出も楽しいですよね。

お話は、結局「やっぱ、お金より愛でしょ!」ということで、
ありがちな感じもしますが、結構楽しめました。

でも、日本人としては、誘拐組織がアジア人で(主導してるのは白人だけれど)、なんだかアジア人に対する偏見みたいのを、どうしても感じてしまいましたね。
それを抜きにしたら、とても音楽も俳優も素敵だし、楽しめるんですが…。

個性的なキャラとしては、ミリーたちが泊まっているホテルの管理人のミセス・ミアーズ。
『アニー』のミス・ハニガンを彷彿とさせる悪役っぷりで、
濃いメイクで、お箸みたいな長いかんざしをつけていたり、
時々中国語だかなんだかわからない言葉を口走ったりするのが、笑えました。

また、マージー役のキャロル・シャニングも魅力的でした。
声はあまり好きではないけれど、「Jazz Baby」のダンスや、アクロバティックな動きは、見ものです。

サウンド・オブ・ミュージック』と比べたら、断然『サウンド・~』ですが、
この作品では、それとはまた違ったジュリー・アンドリュースの一面を観られるのが、
ジュリー好きの私にとっては、嬉しかったです(^^)


THOROUGHLY MODERN MILLIE (1967) Trailer