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『白雪姫(2025)』Snow White

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『白雪姫(2025)』とは

2025年のディズニーによるミュージカル映画

1812年の同名のグリム童話をもとにした1937年のディズニーによる同名のアニメ映画の実写映画化。

1937年版で使われたJeff Morrowによる一部の楽曲(「Heigh-Ho」「Whistle While You Work」「The Silly Song」は歌詞入り、「Someday My Prince Will Come」はinstrumentalのみ)に加えて、Pasek and Paulが新曲を書き下ろし、新曲のうち「A Hand Meets a Hand」はLizzy McAlpineと共作された。

監督はMarc Webb。

あらすじ

白雪姫は母亡き後,継母/女王となった魔女に父親を殺され,平穏な王国を乗っ取られてしまう。

女王は国の財宝を全て自らの手の内にし、富を思うままにした。

女王の言いなりのまま城の中で下働きをさせられる白雪姫のことを,国民は次第に忘れていった。

白雪姫の美しさに嫉妬した継母は、白雪姫を城から追放し、森のなかで彷徨ううちに7人の小人の家に迷い込む。

小人の家を離れた白雪姫は、王の名のもと仲間と集ったと語る元役者の盗賊ジョナサンに助けられる。

しかし、ジョナサンは城の家来に捕えられてしまう。

白雪姫は父である国王の意思を引き継ぎ、国民のために立ち上がることを決意する。

キャスト

白雪姫    レイチェル・ゼグラー

女王/魔女    ガル・ガドット

ジョナサン    アンドリュー・バーナップ

狩人    アンス・カピア

メープル    ドゥジョナ・ギフト

おこりんぼ    マーティン・クレバ

おとぼけ    アンドリュー・バース・フェルドマン

てれすけ    タイタス・バージェス

くしゃみ    ジェイソン・クラヴィッツ

ごきげん    ジョージ・サラザー

先生    ジェレミー・スウィフト

ねぼすけ    アンドリュー・グロテリューシェン

ファルノ    コリン・マイケル・カーマイケル

魔法の鏡    パトリック・ペイジ

良き王    ハドリー・フレイザー

良き女王    ロレラ・アンドレ

感想

ディズニーによる古典アニメ映画の実写化シリーズで、今回は1937年の『白雪姫』の実写化です。個人的に高校時代からYouTubeのカヴァー動画で注目していたレイチェル・ゼグラーが主演ということで楽しみにしていました。彼女は、『ウエスト・サイド・ストーリー(2021)』のマリア役で一躍世間に名が知られるようになりましたが、舞台でも2024年には『Romeo and Juliet』でブロードウェイ・デビューを果たし、2025年夏にはロンドンで『Evita』主演が決定しており、飛ぶ鳥落とす勢いです。

▼trailer


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今回の実写化に際し、1937年の「王子を待ち焦がれるプリンセス像」ではなく「両親の意思を引き継ぎ、人民のために立ち上がるプリンセス像」に筋書きが変わっていました。また、鏡が答える美しさの定義が外見の美しさだけでなく、内面の美しさに言及している点も。元の映画が100年近く前の作品なので、それをそっくりそのまま現代で実写化すると現代の観客にとって違和感があるというだけでなく、フェミニズムの観点からも問題になるからだと思います。

ただ、個人的に一番気がかりだった最後の「真実の愛のキス」については、結局あらかじめキスの同意を取るということはされずに、弔いの意味を込めた接吻という形で描かれていました。その前の段階で、ジョナサンは白雪姫を庇うために自ら矢を受けたり、2人がダンスを一緒に踊っていわゆるいい感じになったり、といった様子はありましたが、キスの同意を確認するという場面はありませんでした。そのため、あのキスシーンは少しモヤッとしました。

上記の通り、1937年の映画からの楽曲は限られていましたが、個人的に好きだった「With a Smile and a Song」が入っていなかったのが残念でした(削られても問題ないシーンなので削られたのは当然と言えば当然)。instrumentalで「Someday My Prince Will Come」が使われていたようなのですが、1回観た限りではわかりませんでした。次に観た時に確認したいです。これは仕方ことかもしれませんが、全部通して観た時に、音楽的に一貫性がないのがどうしても気になってしまいました。1930年代の音楽はファンタジックで牧歌的な感じなのですが、今回のパセック&ポールの楽曲はいかにも2010年代という感じのミュージカル音楽で、異種のものを組み合わせた感じが強かったです。パセック&ポールの楽曲は全面的に売り出されている「Waiting On A Wish」以外は、これといって引っかかるものはなく凡庸という印象を私は受けました。ちなみに「A Hand Meets a Hand」を手がけたLizzy McAlpineは2025年春リンカーン・センターで上演予定の『Floyd Collins』に出演予定です。

▼「Waiting On A Wish」


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キャストにブロードウェイ関係者が多く出演していたのも,個人的に嬉しいポイントでした。鏡のイケボは『Hadestown』などで知られるパトリック・ペイジ、7人の小人の声にはアンドリュー・バース・フェルドマンやジョージ・サラザー、タイタス・バージェスらが出演していました。ジョージ・サラザーはミュージカル『Be More Chill』のオリジナル・ブロードウェイ・キャストでマイケル役を演じた役者ですが、彼が劇中で歌う「Michael in the Bathroom」が2019年前後にアメリカの10代の子達の間で流行っていて、いくつもカヴァーする動画がYouTubeに上がっていたんですね。その中で再生回数が特に多かったのが当時高校生だったアンドリュー・バース・フェルドマンとレイチェル・ゼグラーだったんです。もちろん当時彼ら2人はほとんど無名でした。(残念ながらレイチェルの該当動画はマリア役でメジャーとなった関係で現在では消去されています。)なので、時を経て、こうして同じ映画で3人が共演するというのは当時を知る者としては胸熱でした。

だいぶ話が脱線してしまいましたが、音楽的に一貫性がなく、そのほかの細々とした点以外は予想以上に楽しく観られました。レイチェルのパフォーマンスは言うまでもなく素晴らしかったですし。