ミュージカルは終わらない Musicals won't be over.

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『The Connector』2024.2.18.14:00 @The Newman Mills Theater

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『The Connector』とは

2024年オフブロードウェイのMCC Theaterで初演されたミュージカル。

1990年代に起きたスティーブン・グラスによるThe New Republicanでの記事捏造事件や、2000年代に起きたジェイソン・プレアによるNew York Timesでの記事捏造事件をモチーフとしている。

脚本はJonathan Marc Sherman。

作詞・作曲はJason Robert Brown。

演出はDaisy Prince。振付はKarla Puno Garcia。

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あらすじ

舞台は1990年代半ばのニューヨーク。

Conradが率いる雑誌「The Connector」を刊行している本社に、プリンストン大学卒のEthanが記者を志望して訪れる。

いつか自分の記事を雑誌に載せたいと願っている編集アシスタントのRobinは、Ethanがすぐに採用され記事を任されることに驚く。

しかし、ファクトチェックを担当しているMurielがEthanの記事が度々、事実と異なっていることに気づき、Robinと一緒に記事の妥当性について検証していく。

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キャスト

Conrad O'Brien    Scott Bakula

Ethan Dobson    Ben Levi Ross

Waldo Pine    Max Crumm

Robin Martinez    Hannah Cruz

Florencia Moreno    Ashley Pérez Flanagan

Sheryl Hughes    Danielle Lee Greaves

Mona Bland    Mylinda Hull

Zachary Fleischer    Daniel Jenkins

Muriel    Jessica Molanskey

Robert Henshaw / Willis Taylor    Fergie Philippe

Nestor Fineman    Eliseo Román

Veronica Kraus-Ifrah    Ann Sanders

Brian Lamb    Michael Winther

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感想

『Parade』や『The Last Five Years』などで知られる作曲家ジェイソン・ロバート・ブラウンの新作ミュージカルが初演されるとあれば、絶対に見逃せません。

今回は実際に起きた記事捏造事件をモチーフとしています。もとになった事件のひとつは、2003年の映画『ニュースの天才』で描かれたスティーブン・グラスによるもの。

「書かれている記事は真実なのか、あるいは読者が真実だと信じたいことなのか」「雑誌が売れるためには虚偽情報を混在させていいのか」など、観客に訴えかける内容となっていました。

▼trailer

youtu.be

▼開演前

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事件を起こす若手記者を演じたのはBen Levi Ross。彼は『Dear Evan Hansen』のブロードウェイ公演やツアー公演でEvan役を演じていたことで有名です。彼をキャスティングした側がそのことを意識していたかは不明ですが、観ている側としてはどうしても、Evanがついた嘘がSNSでviralになったことと、今回のミュージカルの内容を重ねて観ずにはいられませんでした。EthanはEvanとは違い、真実が明かされたのちに最悪の結末を迎えてしまいますが。

会場に入ると、タイトルが舞台背景に映し出されていますが、よくみるとその背景には無数の新聞記事が掲げられていました。舞台の両端には積まれた新聞紙の束があり、アンサンブルは両端に座ってコーラスで参加するスタイル。

Ethanは最初、野心的ではあるけれど好青年として描かれ、一見しただけでは悪い人には見えません。彼の上司となるConradは彼の才能を認め、早いうちから自由に記事を書く許可を与えます。Robinとは同僚として仲良くなりますが、最終的に女性2人(RobinとMuriel)がEthanの捏造を暴く形になります。

お話としてはそこまで奇をてらった感じのない、ありふれたものですが、この作品の見どころはやはりジェイソン・ロバート・ブラウンの音楽にあると思います。これまでの彼の作品とそこまで類似しているところはなく、ロック(プログレッシブ・ロック)が中心のスコア。キャスト・レコーディングが発売されることが決定したので、いずれ聴き直すことができると思います。特に記憶に残っているのはEthanとRobinが仕事終わりに飲みながら歌う「こんな故郷が嫌でニューヨークに来た」という内容の歌。

ジェイソン・ロバート・ブラウンのキャリア初期から関わっているデイジー・プリンスが再び共作していることも注目すべきことで、元々は彼女のアイデアから始まった企画だそうです。