『ラヴ・パレード(1929)』とは
原作はジュール・シャンセルとレオン・ザンロフによる戯曲『女王の夫』。
監督はエルンスト・ルビッチ。
あらすじ
ヨーロッパの某国シルヴァニアでは、ルイーズ女王がなかなか結婚しないことが皆の悩みの種になっていた。
そんな折、パリの大使館に派遣されていたアルフレッド・ルナールが女性問題を起こして強制帰国されていた。
ルナールは女王からお咎めを受けているうちに、互いに惹かれ合い、結婚することになる。
だが、女王が国務に追われている間、夫であるルナールは手持ち無沙汰で、次第に夫婦間にすれ違いが生まれ始めてしまう。
キャスト
ルイーズ女王 ジャネット・マクドナルド
ジャック ルピノ・レイン
ルル リリアン・ロス
感想
本ブログ2本目の1920年代作品です。
なかなか結婚しない某国の女王陛下と、女性問題を起こしてパリから強制帰国させられた伯爵のロマンスを描いたミュージカル映画。
色恋沙汰の多いアルフレッド役はモーリス・シュヴァリエという方。
彼はフランス出身のハリウッドで活躍した俳優さんで、本作で映画初主演を果たしています。
彼の英語は上手ですが、確かにちょっとフランス語訛りがあり、それがまたエキゾチックな感じがしてかっこいいです。
不祥事を起こす役ですが、彼の笑顔を見るとなぜかそこまで憎めなくなってしまう、そんな魅力を持っています。
相手役のジャネット・マクドナルドはブロードウェイからの叩き上げで、本作が映画初出演ですが、そう感じさせない堂々とした演技、歌唱を披露しています。
彼女はこの作品以降、主に1930年代のミュージカル映画黎明期に数多く出演しています。
▼「My Love Parade」
"My love parade", song from "The Love Parade" (1929)
この「My Love Parade」という曲は、この作品中のキラーチューンですが、歌詞の内容は「リゼットの瞳、ミニョネットの笑顔、スゼットの優しさ。君は全てを兼ね備えている」と、過去の女性たちの美点を挙げながら褒めるというもので、個人的に女性側だったとしたら非常に怒ってしまうだろうと思います(苦笑)。
メロディーは優美なのに、ちょっと残念ですね。
「Paris, Stay the Same」
Maurice Chevalier - Paris, Stay the Same (The Love Parade)
上の動画の、パリの夜景に向けて別れを惜しみながら歌うシーンも、非常に印象的なオープニング曲として記憶に残っています。
そして、ワンちゃんたちのコーラスも可愛いです。
やはりジャネット・マクドナルドの歌唱はさすがです。
モーリス・シュヴァリエの歌唱は台詞からのつなぎ方が上手く(台詞と歌唱が別々にならず、つながっているということ)、個人的には好みでした。
最初はありがちなお話と鷹を括っていましたが、結局最後まで夢中で観てしまいました。