『SMOKE』とは
2016年にトライアウト、2017年に韓国ソウルで初演されたミュージカル。
日本では2018年10月に初演された。
27歳で亡くなった韓国の天才詩人、李箱(イ・サン)による『鳥瞰図 第15号』からインスピレーションを得て製作された。
一幕構成。
演出は菅野こうめい。
あらすじ
芸術家の「海」は、海を見ればきっとまた作品をかけると信じているが、お金がなかったため、唯一無二の友人「超」のアドバイスを受け入れ、富豪の令嬢「紅」を誘拐する。
実は「紅」は富豪の令嬢などではなく、「海」と過去に何か関係のあった人物のようである。
しかし、「海」は記憶をなくしており、当時の「紅」のことを思い出せないが、次第に「紅」に想いを寄せるようになる。
「超」はそのことも全て知った上で、「紅」を連れてきたのだった。
緊迫した空間の中、徐々に3人の関係が明らかになる。
キャスト
海(ヘ) 日野真一郎
超(チョ) 木暮真一郎
紅(ホン) 池田有希子
感想
行こうか迷っていたのですが、池田有希子さんにツイッターでコメントをいただき、夏の夜に行ってまいりました。
この作品は今回が初見です。
▼ゲネプロの様子。
ミュージカル『SMOKE』公開ゲネプロ2019/06/06 石井一孝 藤岡正明 彩吹真央
▼感想です。
今晩は『SMOKE』を浅草九劇にて観劇。3人の役者で1人の人物を演じることで芸術家の苦悩を表現した、密度の高い一幕もの。箱は正方形、オフブロードウェイのような小空間で、プロジェクションマッピングを駆使していた。予備知識なしだったので難解だったけれど、だからこそ驚きの連続で楽しめた。 pic.twitter.com/17ilCzjhDP
— るん / Lune (@nyny1121) 2019年8月11日
難解な作品でしたので、うまく感想をかける自信が全くありませんが、書いてみます。
途中まで3人が1人の人物と全く気付かず、「これは一体どういう状況???」と疑問符ばかり浮かんでいました。
おそらくこの舞台の時代が戦時中で、表現の自由が許されず、思うような詩作ができない芸術家の苦悩が描かれているのだろうと感じました。
何かを創作する苦悩、思うように表現できない苦悩で、芸術家は精神を病み、人格を分裂させたのでしょうか。
「海」は純粋に芸術を希求する心、「超」は諦念や失望、「紅」は未来への明るい展望への期待をそれぞれ表しているように感じました。
小さいながらアリーナ型の舞台で、四方から舞台を観る観客たちは、登場人物たちと同じ部屋に閉じ込められ、壁の一部となって始終を見守っているようで、immersive感が強かったです。
また違う方向から観れば、違った見方ができるかもしれません。