『屋根の上のバイオリン弾き(1971)』とは
1971年のミュージカル映画。
1964年ブロードウェイ初演のミュージカルを映画化したもの。
作曲はジェリー・ボック、作詞はシェルドン・ハーニック。
映画化に際して、舞台版をほぼ忠実に再現しているが、舞台版で使用されているナンバー「Now I Have Everything」と「The Rumor(I Just Heard)」は省かれている。
アカデミー賞を3部門で受賞した。
監督は、ノーマン・ジュイソン。
あらすじ
テヴィエはウクライナ地方の小さな村アナテフカで牛乳屋を営み、妻と5人の娘たちと暮らしている。
テヴィエは娘たちの幸せを願い、結婚相手探しに奔走するが、なかなかうまくいかない。
長女ツァイテルにテヴィエと険悪な仲の肉屋のラザールとの結婚話が舞い込むが、彼女にはすでに仕立て屋のモーテルという恋人がいた。
テヴィエは猛反対するが、最終的には2人は結婚する。
次女ホーデルは革命を夢見る学生闘士パーチックと恋仲になり、逮捕されたパーチックを追ってシベリアへ発つ。
三女チャバは宗教の異なるロシアの青年と駆け落ちする。
娘たちの巣立ちと並行して、ユダヤ人排斥運動ポグロムは激化の一途を辿り、テヴィエたち一家は住み慣れた故郷アナテフカを追われ、新天地アメリカへと旅に出ることになるのだった。
キャスト
テヴィエ トポル
ゴールデ ノーマ・クレイン
ラザール・ウォルフ ポール・マン
ツァイテル ロザリンド・ハリス
ホーデル ミシェル・マーシュ
チャバ ニーバ・スモール
モーテル レオナルド・フレイ
パーチック マイケル・グレイザー
フョードル レイ・ラブロック
感想
ミュージカル作品としての評価、映画としてのカットの美しさ、完成度において、ここまで評価の高い作品は少ないと思います。
架空の都市アナテフカで暮らす、あるユダヤ人一家の悲喜こもごもを描きながら、ユダヤ人としてのアイデンティティー、父娘の絆を見事に映し出した名作です。
▼trailerです。
Fiddler on the Roof [1971] [Trailer]
父親テヴィエを演じたトポルは、ロンドンの舞台でもテヴィエを演じていた方で、ユダヤ人として伝統を守ることを誇りにしながら、娘たちを気にかける父親の哀愁を演じています。
彼の演技を見ると、言葉や文章では決して描けない部分が、舞台や映画では表現できるのだなと思わされます。
そして、広大な平野が広がるアナテフカを舞台にした、ひとつひとつのカットが実に美しく、切り替えも秀逸です。
この点、ノーマン・ジュイソン監督をはじめ、スタッフたちに心から感謝したいです。
もちろん「屋根の上のバイオリン弾き」なんて実在しません。
それは、たとえ厳しい状況であったとしてもバイオリン弾きのように陽気に歌い踊る生活を送るテヴィエたちを表しています。
生まれ育った故郷アナテフカを追われたテヴィエたち一行の後を、バイオリン弾きが楽器を奏でながら付いていく様子は、まさにそれを如実に表していると感じました。
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