『エリザベート』とは
オーストリア=ハンガリー帝国の皇后エリーザベトの生涯を描いた、1992年初演のウィーンのミュージカル。
脚本・作詞はミヒャエル・クンツェ、作曲はシルヴェスター・リーヴァイ。
日本では1996年に宝塚歌劇団により初演。
演出は小池修一郎。
あらすじ
1898年9月10日、オーストリア皇后エリザベートが、イタリアの無政府主義者ルイジ・ルキーニに刺殺された。
その暗殺事件から11年後、ルキーニは独房で自ら命を絶つ。
しかし死してなお、エリザベートの死に関して詰問され続けているルキーニは、当時の彼女にまつわる人々を墓から呼び起こし、彼女の人生を再現させようとする。
シシィという愛称で呼ばれたエリザベートは、おてんばな少女で尊敬する父のように自由に生きることに憧れていた。
ある日、木から落下する事故に遭い、生死の境を彷徨っていた彼女は、死を司る黄泉の帝王トートに出会う。
トートはエリザベートに一目惚れし、以来、彼女の人生にはトートの影がつきまとう。
その後、エリザベートはハプスブルク帝国皇帝フランツ・ヨーゼフと結婚するが、結婚生活は彼女の思い描く自由な生活とはかけ離れたものだった。
夫フランツは彼の母ゾフィーのいいなりで、ゾフィーによるエリザベートに対するいじめは日に日にエスカレートしていく。
慣れない結婚生活の中で、エリザベートは徐々に自我に目覚め、フランツにゾフィーか自分かどちらかを選ぶように迫ったり、フランツの外交に付き添うなど、自分の意見を持つようになっていくのだった。
キャスト
感想
ずっと行き違いで観られていなかった『エリザベート』をようやく観ることができました。
本当は井上さん×花總さん回を観たかったのですが手に入らず、最終的にマチソワでお2人とも拝見するという、何とも贅沢で幸せな1日となりました。
▼trailerです。
▼感想です。
今回初見の『エリザベート』井上芳雄×花總まり回が取れず、マチソワで2回観劇。芳雄さんがさすが圧倒的。芳雄さんは歌声もSっ気があるのよね。古川さんはこれから成長していくんだろうなと思いながら8頭身に見惚れた。シシィは花總さん愛希さんそれぞれ良さあり。愛希さんは高音の歌が伸びていて良い。
— るん / Lune (@nyny1121) 2019年8月3日
まず作品に関してですが、やはりここまで再演を繰り返す人気作ということはよくわかりました。
エリザベートというヒロインの人生における自我の目覚め、自立への欲求を軸に、トートとフランツとの三角関係、嫁姑問題、女性の社会進出など、様々な要素がリーヴァイの美しい音楽とともに織り成されていました。
iconicなnumber「私だけに」はミュージカルに頻繁に見られる自己探求(自分とは何か)をテーマにしていて、宮中で誰にも自分の気持ちを明かせないエリザベートの複雑な胸中を見事に表していました。
特にラストに向かってスケールが上がっていき、最後の高音はキラーノートとも言うべきもの。
背景は一部映像を使っていましたが、それ以外は鏡や黒の無地でシンプル。
舞台装置は高台の一部が斜めに上がり、「私だけに」でシシィが苦境で争っている様子を表したり、墓地のシーンで活用されていました。
*ここから下は特に個人的な意見です。ご容赦ください。
キャストとしては、やはり井上芳雄さんのトートが圧倒的な存在感でした。(ダブルキャストを比べたくはないのですが。)
井上さんの方がやはり声自体に色気やSっ気があったように感じました。
だから、たとえ遠方から観劇していて表情まで観えなくても、声だけで表情が見えるようなんです。
古川さんにはもう少しSを出してもらいたかったなと個人的に思います。
エリザベートは両者ともに素晴らしかったです。
花總さんはキャリアが十分にあるので当然ですが、愛希さんの歌声もよく伸びて通る素晴らしいものでした。
そして、『スリル・ミー』に引き続き、今回も成河さんのファンになってしまいました。
こういう個性的というかトリッキーなキャラクターを演じられる俳優さんは稀有なので、今後の動向も刮目していきたいです。
話は大きく変わりますが、本作の中にどことなく『オペラ座の怪人』の要素を感じてしまいました。
単に三角関係というだけでなく、二幕終盤にトートが指揮者に扮し、ハプスブルク家に起こった悲劇をオペラ仕立てで紹介するシーンとか、どことなくそれらしいかなと。
また、「夜のボート」を聞いて、中島みゆきさんの「二隻の船」を連想してしまったのは私だけでしょうか。
両者例えは同じでも、意味合いは異なりますが。
ゾフィーの悪姑っぷりがすごかったので、物語としてどのくらい誇張されていたのか、エリザベート周辺の史実を深掘りしてみたいなとも思いました。