『NINE(2009)』とは
2009年のミュージカル映画。
フェデリコ・フェリーニの自伝的映画『8 1/2』を基にした、1982年ブロードウェイ初演のミュージカルを映画化したもの。
作詞、作曲はモーリー・イエストン。
映画化に際して、舞台版と同じイエストンによって新たに3曲が追加された。
監督はロブ・マーシャル。
興行的には失敗したが、助演女優賞(ペネロペ・クルス)をはじめアカデミー賞では4部門にノミネートされた。
あらすじ
映画監督グイドは、新作『イタリア』の制作に行き詰っていた。
脚本さえできないまま記者会見に臨むが、会場から逃げ出してしまう。
海辺のホテルに愛人カルラと逢瀬を果たそうとするが、製作陣に居場所がバレてしまい、その場で撮影が始まりそうになる。
そこへ妻ルイザがやってきて、カルラと鉢合わせてしまう。
記者のステファニー、女優のクラウディア、幼少期の思い出の中にいる浜辺の娼婦サラギーナなど、様々な女性たちに魅了されるグイド。
最終的にルイザはグイドの浮気ぐせに辟易し、別れを告げる。
疲弊しきったグイドは映画の制作中止を言い渡す。
キャスト
グイド・コンティーニ ダニエル・デイ=ルイス
ルイザ マリオン・コティヤール
カルラ ペネロペ・クルス
クラウディア 二コール・キッドマン
ステファニー ケイト・ハドソン
サラギーナ ファーギー
リリー ジュディ・デンチ
マンマ ソフィア・ローレン
感想
この作品は公開当時、劇場で観ました。
当時の私は未熟すぎて、内容をよく理解できず、途中で退屈してしまったことを覚えています。
今一度この作品を見直してみると、どうしようもない浮気者グイドの物語の中で、ジュディ・デンチ演じる衣装係リリーがさりげなくルイザやグイドを気遣う優しさに、だいぶ救われるなぁと感じます。
彼女がいなかったらさらに殺伐とした作品になっていたと思われます。
主演のダニエル・デイ=ルイスは、演技がうますぎて、逆に観ていてつらくなってしまいました。
ルイザが終始不憫で、グイドを心の中で静かに殴りたくなったほどです。
▼trailerです。
ソフィア・ローレンはグイドの母親役で、登場したのは冒頭のほんの数分だけでしたが、人間国宝級の大女優の貫禄を見せつけていました。
ペネロペ・クルスのキュートな愛人役はとてもコケティッシュでいて、かつ、精神的な素朴さもあって良かったです。
『シカゴ』と同じロブ・マーシャル監督の作品ですが、本作でのミュージカルシーンはほとんどが実世界とは別の内面世界を表すカットでperformanceされています。
これは『シカゴ』でも部分的に用いられていた手法です。
なので、ミュージカルシーンでは実世界と内面世界を行ったり来たり、やや忙しく切り替わります。
もちろんこの手法が有用な場合もあるのですが、正直に言って本作ではこれをやりすぎて、やや残念な印象を受けました。
大女優ばかり起用したにもかかわらず大失敗と各所で言われていますが、個人的にはこの作品のコンセプト自体あまり好みではないので、そこまで詳細な考察はしたくないという気持ちです。
すみません。