『テンプルの上海脱出(1936)』とは
1936年のシャーリー・テンプル主演の20世紀フォックスによるミュージカル映画。
シャーリー・テンプルは6ヶ月ほどかけて中国語を習得し、作中で40語ほど話している。
監督はウィリアム・A・サイター。
あらすじ
バーバラ(中国名はChing-Ching)は中国にあるサンチョウに暮らす孤児。
ある日、村が盗賊の襲撃に遭い、上海に逃亡させられる。
上海で案内役とはぐれてしまい、犬と2人きりでいる時、アメリカ人旅行者のトミーに出会い、仲良くなる。
トミーは金持ちのボンボンでプレイボーイと知られていた。
その日の夜、トミーはアメリカに向かう船に乗ることになっていたが、トミーの車のトランクで眠りこんでいたバーバラもたまたま一緒に船に乗せられてしまう。
船の中でバーバラは密航者(stowaway)とされ追跡されるが、迷い込んだ船室にいたスーザンの計らいでことなきを得る。
その後、トミーとも再び出会うが、法律上、バーバラを上海の孤児院に送るため、シンガポールの港で降ろすと知らされ、トミーはなんとか阻止できないかと考える。
トミーは養子縁組を申し出るが、独身男性のため不可能だった。
同じ頃、スーザンとトミーはバーバラの縁で近しくなっていたが、スーザンにはすでに婚約していた。
そこで、トミーはバーバラのために、一時的に自身と結婚するようスーザンに申し出るのだった。
キャスト
バーバラ シャーリー・テンプル
トミー ロバート・ヤング
スーザン アリス・フェイ
ホープ夫人 ヘレン・ウェストリー
リチャード・ホープ アラン・レーン
アトキンス アーサー・トリーチャー
サン・ロ フィリップ・アーン
感想
興行的に成功した作品で、非常に楽しく観させてもらいました。
日本盤は発売されていないので、アメリカ盤で鑑賞しました。
中国で孤児として生きるバーバラをテンプルが好演しています。
異国の地でもテンプルの元気印は健在です。
本作のために彼女は中国語を習得し、劇中で滞りない中国語を話しており(中国語の知識は皆無なので流暢かどうかはわかりません)、生来の賢さがにじみ出ていました。
また、劇中劇のアル・ジョンソンやエディ・カンターなどの歌まねは必見です。
▼「You Gotta S-M-I-L-E To Be H-A-Double-P-Y」
Shirley Temple You Gotta S.M.I.L.E To Be H.A Double P.Y From Stowaway 1936
このナンバーでは、アル・ジョンソン(1:30~)、エディ・カンター(1:50~)、フレッド・アステア&ジンジャー・ロジャース(2:25~)のモノマネをそれぞれ演じています。
また、クリスマスのこの曲もとても健気で可愛らしいです。
▼「That's What I Want For Christmas」
Shirley Temple That's What I want For Christmas From Stowaway 1936
シャーリー・テンプル主演映画シリーズによくある「過酷な環境」「孤児」「貧乏」といったネガティブな要素を吹き飛ばす、テンプルの天真爛漫さ、明るさ、屈託のない笑顔に大変癒されました。
また、アリス・フェイも一曲だけですが、憂いを帯びた美しいソロナンバーを披露していました。