『青空に踊る(1943)』とは
音楽はハロルド・アーレン作曲、ジョニー・マーサー作詞。
彼らは劇中の「My Shining Hour」でアカデミー賞歌曲賞にノミネートされた。
監督はエドワード・グリフィス。
あらすじ
第二次世界大戦中、空軍中尉のフレッド・アトウェルは、軍仲間とはつるまず、自由気ままなつかの間の休日を楽しもうとしていた。
ニューヨークの街で出会った美しいカメラマン、ジョーンに一目惚れし、手練手管を尽くして彼女に迫るがなかなか上手くいかない。
中尉であるという素性を明かさなかったため、ジョーンはフレッドを無職の大富豪と勘違いし冷たく当たるが、次第にフレッドの一途な気持ちに惹かれていく。
キャスト
フレッド・アトウェル/フレッド・バートン フレッド・アステア
ジョーン・マニオン ジョーン・レスリー
フィル・ハリマン ロバート・ベンクレー
レジナルド・フェントン ロバート・ライアン
フィッシャー夫人 エリザベス・パターソン
感想
第二次世界大戦の真っ只中に作られた映画だけあり、戦意を煽るような描写がたくさん出てきて時代を感じさせられます。
対日本戦に出陣するパイロットと戦場カメラマンを目指す女性のお話ですから、おそらく日本には戦後しばらくしてから入ってきた作品でしょう。
フレッド・アステアは本作で初めてシリアスなドラマシーンを演じる役柄に挑んでいます。
今回のアステアの相手役ジョーン・レスリーも、ジンジャー・ロジャースに引けを取らないダンスシーンを披露しています。
アカデミー賞にノミネートされた、レスリーらの歌う「My Shining Hour」も美しい楽曲でした。
▼アステアとレスリーのダンスシーン
Ballroom Dance 1943 (Fred Astaire & Joan Leslie)
また終盤の見所は、アステアが「自身のために書かれた最高の楽曲」と生前語っていた「One For My Baby」。
ジョーンへの思いがますます強くなる一方、出陣を控え不安な気持ちになり、一人でバーで酒に溺れながら、やけになって歌い踊る印象的なシーンです。
「One for my baby, one for the road(一杯は恋人のために、もう一杯は旅立ちに)」という切ない歌詞が胸に響きます。
▼「One For My Baby」
Fred Astaire - One For My Baby (dance & song), 1943
アステアの出演作としては珍しく、完全なハッピーエンドにはなりませんが、戦時中の人々に寄り添うエンディングにしたのかなと思いました。
全体に占めるミュージカルシーンの割合は少ないですが、その分、ミュージカルシーンが印象強く心に残りました。
ジョーン・レスリー演じる、戦場カメラマンを目指す女性カメラマンのようにキャリア志向が高い役柄は、この時代のミュージカル作品であまり観たことがなく意外でした。
これには、女性も戦争に関心を持つように仕向けているようにも感じました。