『ロンドン・ロード ある殺人に関する証言(2015)』とは
2015年公開のイギリスのミュージカル映画。
2011年ロイヤル・ナショナル・シアターで初演された、同名の舞台ミュージカルを映画化したもの。
2006年の連続殺人事件をモチーフにし、実際の証言をそのまま台詞や歌詞にしている。
舞台初演キャストが多く出演した。
アレッキー・ブリス脚本・歌詞、アダム・コーク脚本・作曲。
監督はルーファス・ノリス。
あらすじ
サフォーク州イプスウィッチで、2006年から2008年にかけて、売春婦を狙う連続殺人事件が起きていた。
近隣住民たちは恐れおののき、引越しをするものも相次いだ。
そんな中、町全体のイメージを変えるために、ガーデニングコンテストを企画するなど、住民たちは立ち上がろうとする。
キャスト
ジュリー オリビア・コールマン
ジューン アニタ・ドブソン
マーク トム・ハーディ
ヴィッキー ケイト・フリートウッド
ジャン クレア・ムーア
アイヴィー ジャネット・ヘンフリー
ドッジ ポール・トーンリー
感想
prime videoにあったので観てみました。
冒頭から、住民たちの証言をドキュメンタリーとして撮影しているというていのシーンが続きます。
台詞に抑揚をつけているだけ、とも言えるような歌唱で、メロディアスなミュージカルナンバーやはっきりしたダンスシーンはありません。
実際の住民の証言をそのまま歌にしており、ナンバーの中で何度もリフレインがあることで、住民たちが受けたショックを浮き彫りにしているようでした。
▼trailerです。
LONDON ROAD Trailer | Festival 2015
トム・ハーディ主演と銘打ってありましたが、彼はほとんど出演せず、ミュージカルシーンには全く関わりません。
その他、キャストにはミュージカル映画『レ・ミゼラブル』出演者や、2018年ウエストエンドで役柄の性別を入れ替え話題になった『カンパニー』再演で主演したロザリー・クレイグの姿もありました。
おそらく彼らは舞台版のオリジナルキャストだったのだと思われます。
映画自体は音楽と同様に淡々と進み、無機質な画が続き、混沌とした社会が描かれていきます。
住民たちが一致団結してガーデニングコンテストを開き、町おこしをするという流れになるのですが、ラストは「街に花があふれ一件落着」という明るい雰囲気になることはなく、終始やや暗いです。
ショッキングな題材をそのまま芝居にしてもただただ暗いだけだから、ミュージカルという形式を緩衝材にしようと考えられたのでしょうか。
なぜイギリス史上類をみない連続殺人事件を題材にミュージカルを作ろうと考えたのか、本作のクリエイティブ陣営に聞いてみたいところです。