ミュージカルは終わらない Musicals won't be over.

舞台ミュージカルを中心とした、ミュージカル映画、演劇、オペラに関するブログ

『陽気な街(1937)』On the Avenue

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『陽気な街(1937)』とは

1937年公開の20世紀フォックスによるミュージカル映画

本作に登場する多くの楽曲を「ホワイトクリスマス」などで知られるアーヴィング・バーリンが手がけた(作詞・作曲)。

バーリンによって「I've Got My Love To Keep Me Warm」「This Year's Kisses」「You're Laughing at Me」などが本作のために書かれたが、アステア&ロジャースが主演した『トップ・ハット(1935)』で使われ大ヒットとなった「Cheek to Cheek」も使われている。

あらすじ

舞台役者のゲイリーはモナとともに新作のショーに出演していた。

そのショーには「世界で最も裕福な女性」として知られるミミ・キャロウェイ一家を風刺する内容が含まれており、公演初日の客席にいたミミとその父親は侮辱されたと感じ、激怒する。

舞台裏で、ミミはゲイリーにその風刺劇の部分を省いて上演してもらえないかと頼むが断られてしまう。

そこで、ミミはゲイリーを説得しようとデートに誘い出す。

デートは思いの外盛り上がり、2人は両想いであることに気づき、愛を誓い合う。

ミミのためにゲイリーは風刺劇の部分を省くよう奮闘するが、ミミに嫉妬した俳優仲間のモナの策略により、事態はより悪化してしまう。

傷ついたミミは金にものを言わせ、ショー自体を買収してしまう・・・

キャスト

ゲイリー・ブレイク ディック・パウエル

ミミ・キャラウェイ マデリーン・キャロル

モナ・メリック アリス・フェイ

リッツ・ブラザーズ 本人

ミミの父 ジョージ・バービアー

フレデリック・シムズ アラン・モウブレイ

フリッツおばさん コーラ・ウィザースプーン

感想

30年代のミュージカル映画で大活躍していたディック・パウエルのパフォーマンスと、アーヴィング・バーリンの名曲を楽しめるミュージカル映画です。

あらすじはボーイミーツガールでおきまりのハッピーエンドですが、それがこの時期のミュージカル映画の良さでもあります。

また、モノクロ映画ではあるものの、マデリーン・キャロルやアリス・フェイの美しさが際立っており、ひたすら画面を見入ってしまいました。

▼ディック・パウエルによる「I've Got My Love To Keep Me Warm」


1937 Dick Powell I've Got My Love To Keep Me Warm

家族を侮辱するような風刺劇を演じる役者と、そんなにすぐ心を通じ合わせることができるものだろうかと、特に前半はあまりの急展開に呆気にとられてしまいました。

恋のはじまりとはそんなものでしょうか。

本作に登場するアーヴィング・バーリンの楽曲はじんわり心に響くものが多いですが、「Cheek to Cheek」に続くようなスタンダードナンバーとなった楽曲は残念ながらありませんでした。

のちに他のアーティストによってカヴァーされているものもありますが、それも60年代くらいまでで、それ以降はあまり歌われていないようです。

また、本作はリッツ・ブラザーズが飛躍するきっかけとなった作品でもあります。

▼リッツ・ブラザーズによる「He Ain't Got Rhythm」、部分的に「Cheek to Cheek」の一節が使われている


The Ritz Brothers - He Ain't Got Rhythm 1937

小作ながら、ディック・パウエルのshowmanship、当時の女優たちの美しさ、アーヴィン・バーリンのあまり知られていない楽曲の数々に酔いしれることができました。