ミュージカルは終わらない Musicals won't be over.

舞台ミュージカルを中心とした、ミュージカル映画、演劇、オペラに関するブログ

『アナと世界の終わり(2017)』Anna and the Apocalypse

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『アナと世界の終わり(2017)』とは

2017年に公開されたイギリスのミュージカル映画

2010年に公開されたライアン・マクヘンリー監督による短編映画『Zonbie Musical』を長編化したもの。

ライアン・マクヘンリーは完成を待たず亡くなり、彼の意志を引き継ぎ、ジョン・マクフェールが監督を務めた。

あらすじ

イギリスの田舎町リトルヘブン。

高校生のアナは、幼い頃に母を亡くし、父トニーと二人で暮らしている。

学校では、幼馴染のジョン、カップルのクリスとリサらとつるむ。

ここではないどこかに旅に出たいといつも夢を見ており、大学には行かずしばらくバックパッカーをして世界を放浪したいと考え、バイトに精を出していた。

ジョンは、アナを応援しながらも、密かに想いを寄せていた。

クリスマスの日、旅行の計画がバレてしまい、アナとトニーは大げんかをする。

夢も希望もないこの街にうんざりしていたアナは、バイトの帰り道にジョンに励まされ、少しだけ元気を取り戻す。

翌朝、アナはジョンと一緒に学校に向かう道すがら、スノーマンの着ぐるみを着た血だらけの男が突如現れ、ジョンに襲いかかる。

その男の正体はゾンビだった。

ようやく2人は街の異変に気付く。

なんらかのウイルス感染で、町全体にゾンビが増えているのだった。

アナはジョンとともに、クリスマスの学芸会のために教室に残されたトニーやクラスメイトたちを救うため、ゾンビたちと戦う覚悟を決める。

キャスト

アナ エラ・ハント

ジョン マルコム・カミング

ステフ・ノース サラ・スワイヤー

クリス・ワイズ クリストファー・ルヴォー

ニック ベン・ウィギンズ

リサ マリル・シュー

トニー マーク・ベントン

アーサー・サヴェージ ポール・ケイ

感想

劇場に観に行ってきました。

▼trailerです。


ANNA AND THE APOCALYPSE Trailer #2 (2018) Horror Comedy

 「青春ゾンビミュージカル映画」とでも言えるでしょうか。

そういえば、ディズニーも最近高校生を題材にしたゾンビミュージカル映画を撮っていたけれど、本作の方が公開年としては古いですね。

どこかで聞いたことがあるような、ポップなクリスマスチューンで幕が上がりました。

「All I Want For Christmas Is You」よりも「Chrismas In the Sand」を私は連想しました。

ゾンビとの戦闘シーンは、そこまでグロテスクではないので、ゾンビ映画初心者の私でもそこまで抵抗感はありませんでした。

本作は、家族や学校など日常に不満を抱えて逃げ出したいティーンエイジャーが「世界の終わり」に遭遇してようやくそれらに対峙していく様子を上手く描いていると感じました。

ミュージカルシーンは、「Break Away」や「Hollywood Ending」、「Turning My Life Around」などが心に残りました。

ここから下はネタバレになります。

▼「Turning My Life Around」


Anna and the Apocalypse Clip: "Turning My Life Around" (2018)

ジョンがゾンビになってしまった段階で、これは悪夢か何かで、どうか夢オチで終わってくれ!と願っていました。

やはり、アナから恋人とは見られなくても親友としてそばで夢を応援し続けていたジョンをゾンビにしてしまうなんて、ちょっと辛かったです。。。

しかし、これはイギリス映画。

劇中にあるように「There's no Hollywood ending.」なのです。

いや、アメリカのミュージカル映画ではなかなかこうなりませんからね。

お約束のハッピーエンディングが待っているのが定石ですから、この辺り、さすがイギリスらしいなと思いましたし、ハリウッド映画へのアンチテーゼも感じました。

アナを演じているエラ・ハントはポップス歌唱でしたが歌えていましたし、冒頭の「大学なんて行かずに世界放浪したいな」という夢見がちな少女から、後半ではキャンドルスティック片手に凛々しい女の子に大変身していく姿は見事でした。

彼女はミュージカル映画レ・ミゼラブル』に出演しているそうなので、今度目を凝らして彼女の出演シーンを探してみようと思います。

また、レズビアンのステフ役のサラ・スワイヤーは、本作も振付も担当していたそうです。

クリスマスに娘を放っておく両親に寂しさを訴えながらも、さっぱりした性格のステフを好演していました。

あと個人的に印象に残っていたのは、ガキ大将のニック役のベン・ウィギンズ。

彼のシャウトはなかなかセクシーでかっこよかったです。

内容的には「ゾンビ殺しじゃクラスいちだぜぃ」ってシャウトしているだけなのですが。

ジョン・マクフェール監督は、もともとミュージカルは大の苦手だったというのが嘘のように感じられるほど、作品のミュージカルシーンからはミュージカル愛を感じました。

音楽は主にアナとその取り巻きのジョンたちが歌うナンバーが多く、ゾンビたちが歌うナンバーがなかったのが少し残念でしたね。

ゾンビが歌い踊るとマイケル・ジャクソンの「スリラー」のようになってしまうために敢えて避けたのでしょうか。

ライアン・マクヘンリー監督がご存命であれば、そのあたりの雰囲気も変わっていたのかもしれません。

公式サイト:

映画『アナと世界の終わり』オフィシャルサイト