ミュージカルは終わらない Musicals won't be over.

舞台ミュージカルを中心とした、ミュージカル映画、演劇、オペラに関するブログ

『土曜は貴方に(1950)』Three Little Words

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土曜は貴方に(1950)』とは

1950年公開のMGMによる、作詞家バート・カルマーと作曲家ハリー・ルビーについての伝記的なミュージカル映画

タイトルはバートとハリーのコンビが手がけた同名曲から取られている。

監督はリチャード・ソープ

あらすじ

恋人のジェシーとともにボードヴィルダンサーとして活躍するバートは、実はマジックが大好きで、マジシャンに憧れていた。

ある日、バートはマジシャンとしてデビューするが、助手の失態によってショーは失敗に終わる。

その後、バートはダンサーに戻るが、膝の怪我で1年間の休業を余儀なくされる。

休業中、脚本家や作詞家として活動しようとしていた矢先、新人作曲家のハリーを紹介される。

ハリーの顔を見た瞬間、どこかで見覚えがあると思ったバートだが、実はバートのマジシャンデビューの時の助手がハリーだったのだ。

最初は険悪だった2人だが、じきに打ち解け、ハリーが作曲、バートが作詞のコンビを組むことに決まる。

その後、2人は次々とヒット曲を手がけていくことになるのだった。

キャスト

バート・カルマー フレッド・アステア

ハリー・ルビー レッド・スケルト

ジェシー・ブラウン ヴェラ・エレン

アイリーン・パーシー アーリーン・ダール

チャーリー・コープ キーナン・ウィン

テリー・ローデル ゲール・ロビンズ

へレン・ケーン デビー・レイノルズ

アル・マスターズ ポール・ハーヴィー

感想

ティンパンアレーで活躍した、実在の作詞作曲コンビ、バート・カルマーとハリー・ルビーを描いた伝記ものです。

このコンビが手がけた楽曲は、「I Wanna Be Loved By You」、「Three Little Words」、「Who's Sorry Now」「Nevertheless」など。

フレッド・アステア自身もたいそう気に入っていた出演作だったそうです。

アステアのミュージカルシーン、スケルトンのコメディシーン、それぞれが素晴らしく、両者の競演はそれぞれの役者魂のぶつかり合いのようにも見えました。

▼trailerです。


Three Little Words (1950) Official Trailer - Fred Astaire, Vera-Ellen Movie HD

今回のアステアの相手役は、アステアとも何度も共演しているヴェラ・エレン。

細身の体で、バレエからタップまでオールマイティに踊りこなす彼女のダンス、そして歌は本作でも健在です。

特にアステアとのヴォードヴィルシーンは息がぴったり合っていて、圧巻でした。

ケルトンの相手役のアーリーン・ダーンは可愛らしい新人女優として登場し、優美な歌唱を披露しています。

また、彼女は数少ないハリウッド黄金期の生き残りとしても知られています。(2019年5月現在、93歳)

本作には、非常にiconicなミュージカルシーンが数多く登場します。

▼冒頭の見事なヴォードヴィルシーン「Where Did You Get That Girl」


Three Little Words (1950) – Where Did You Get That Girl

やはり、後付けタップ音にはどうも馴染めませんが、ヴェラ・エレンを第二のジンジャー・ロジャースと呼んでもいいのではと思わせるほどの見事なペアダンスです。

▼ヴェラ・エレンとアステアによる、ダンサー夫妻の家庭をダンスで表現したシーン


Three Little Words (1950) – Mr. and Mrs. Hoofer At Home

▼とてもロマンチックな一曲「Thinking Of You」


Three Little Words (1950) – Thinking Of You

また、ポップな色合いを添えているのが、ベティ・ブープのような可愛らしさを放つデビー・レイノルズによる「I Wanna Be Loved By You」でしょう。

この時の歌声は、オリジナルで歌っていたへレン・ケーンが吹き替えしたものです。

デビー・レイノルズはへレン・ケーン役を演じています。

デビー・レイノルズ(歌:へレン・ケーン)による「I Wanna Be Loved By You」、共演はカールトン・カーペンター


Three Little Words (1950) – I Wanna Be Loved By You

2人のクリエイターが紆余曲折を経ながら様々なヒットを飛ばしていくのですが、そこまで落ち込むシーンもなく、最後まで明るい気持ちで観られました。

やはりミュージカル好きとしては、本作のアステアのダンスシーンは必見で、そこに目が行きがちですが、それ以外としては、スケルトンが演じるハリーの女の良し悪しがわからない愚鈍な部分を、カルマー夫妻がこっそり助けてあげるシーンがとても微笑ましくて良かったです。

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