ミュージカルは終わらない Musicals won't be over.

舞台ミュージカルを中心とした、ミュージカル映画、演劇、オペラに関するブログ

『踊る海賊(1948)』The Pirate

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『踊る海賊(1948)』とは

1948年のMGMのミュージカル映画

1942年にブロードウェイで上演されたバーマンによる戯曲『海賊』を基にしている。

作曲はコール・ポーター

監督は、ヴィンセント・ミネリ

あらすじ

マニュエラはカリブ海カルヴァドスという小さな村に住み、海賊マココに憧れていた。

イネスおばさんの計らいで、大富豪で村長のドン・ペドロと婚約したマニュエラだが、異国への船旅に憧れる気持ちを抑えきれなかった。

婚前のつかの間、マニュエラが近くの港町を訪れた際に、興行でその町に来ていた役者のセラフィンは、彼女に一目惚れしてしまう。

マニュエラの気を引こうとするセラフィンだが、徹底的にマニュエラに避けられてしまう。

その晩、興味本位でセラフィン一座の興行を観にいったマニュエラは、セラフィンに催眠術をかけられ、住んでいる場所やロココに憧れていることなどを暴露してしまうのだった。

翌日、恥ずかしさのあまり自宅に飛んで帰ったマニュエラの元に、セラフィンの一座がやってくる。

そこで、マニュエラの婚約者はセラフィンをこき使ったことがあり、村長になる前はロココとして悪名高い海賊だった人物であると判明する。

しかし、嫌われるのを恐れたドン・ペドロはマニュエラにそのことを知らせないでほしいとセラフィンに頼む。

セラフィンはマニュエラがロココに憧れていることを思い出し、ドン・ペドロの代わりに、自身がロココであると村人たちの前で名乗るのだった。

キャスト

マニュエラ ジュディ・ガーランド

セラフィン ジーン・ケリー

ドン・ペドロ ウォルター・スレザク

イネスおばさん グラディス・クーパー

感想

ジュディ・ガーランドジーン・ケリー主演のミュージカル映画です。

監督はジュディにとって最初の夫であるヴィンセント・ミネリでした。

深読みしすぎかもしれませんが、レンズ越しのミネリ監督のジュディへの愛情が、ひしひしと伝わってくる画が多く観られます。

▼trailerです。


The Pirate (1948) Official Trailer - Gene Kelly Movie

本作に対する一般の評価は低めです。

それは演者によるものではなく、脚本があまりに杜撰だからだと思います。

村長が元伝説になっているような海賊王という設定や、マニュエラがとんでもなく暴力的になるシーンなど、違和感のあるシーンが多く、感情移入は全くできませんでした。

しかし、ジーン・ケリーのダンスやコメディアンとしての表情、ジュディの歌声はいつも通り素晴らしいです。

特に、ジーン・ケリーとニコラス・ブラザーズによる「Be a Clown」は本作における代表的なナンバーとなっています。

『ザッツ・エンターテイメント』ではガーランドとケリーのリプライズ版が採用されていたと思います。

後半の収拾がつかなくなった状況では、この曲だのみになっていました。

▼ニコラス・ブラザーズと元体操選手だったジーン・ケリーの身体能力の高さが際立つ「Be a Clown」


Be a Clown The Pirate 1948)

こちらのナンバー、一聴すれば明らかなように、『雨に唄えば』でドナルド・オコナーが歌い踊った「Make 'em Laugh」とコード進行がほぼ同じです。

おそらく今でいうパクリでしょう。

年代から言って、こちらのコール・ポーター作曲の方がオリジナルですが、ポーターはこれに関して何も抗議していないとのことです。

ちなみに、「Make 'em Laugh」を書いたのはナシオ・ハーブ・ブラウンと本作のプロデューサーでもあるアーサー・フリードです。

アーサー・フリードは優秀なプロデュサーでしたが、彼が絡むと悪いイメージがどうしてもつきまといますね。(私の偏見ですね、すみません。)

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