ミュージカルは終わらない Musicals won't be over.

舞台ミュージカルを中心とした、ミュージカル映画、演劇、オペラに関するブログ

『ユタと不思議な仲間たち』2019.4.21.13:00@自由劇場

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ユタと不思議な仲間たち』とは

1977年初演の劇団四季のファミリーミュージカル。

原作は三浦哲郎による小説『ユタとふしぎな仲間たち』。

作曲は三木たかし。作詞は岩谷時子梶賀千鶴子。

劇中歌「友だちはいいもんだ」は、小学校の音楽の教科書に載ったり、東日本大震災の際には応援歌として各地で歌われたりと、幅広い世代で親しまれている。

今回の演出は野村玲子(オリジナル演出は浅利慶太)。

あらすじ

東北地方の湯の花村が舞台。

豊かな自然に抱かれ、大人も子どもものびのびと暮らしている。

父を亡くした水島勇太は東京から母の実家のあるこの村に引っ越してきた。

都会で育ち、東北弁を話さないユタに、村の子どもたちは「もやしっ子」と呼び、ちょっかいを出すが、なかなか心を開かないユタは次第にいじめられるようになる。

悩んだユタは「死んでしまいたい」と思うようになる。

ある日、ユタが村の子どもたちにいじめられていると、ユタを助けるかのように不思議なことが立て続けに起こる。

そのことをユタの味方になってくれる寅吉じいさんに話すと、座敷わらしの仕業だろうとのことだった。

興味津々のユタは座敷わらしを一目見るべく、離れで一人で寝てみると、座敷わらしのペドロの一座に出会う。

ユタはペドロたちと次第に心を通わせ、この村にやってきて初めて腹心の友を得るのだった。

キャスト

ユタ 山科諒馬

ペドロ 下村青

ダンジャ 坂本里咲

ゴンゾ 東泰久

モンゼ 小野田真子

ヒノデロ 近藤真行

小夜子 若奈まりえ

寅吉 菊池正

ユタの母/クルミ先生 服部幸子

大作 山口優

一郎 田邊祐真

新太 横井漱

たま子 林香純

ハラ子 吉田藍

桃子 佐田遥香

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感想

何度も映像で観てきた『ユタと不思議な仲間たち』を観てきました。

liveで拝見するのは今回が初めてで、とても楽しみにしていました。

▼今回は「浅利慶太追悼公演」第一弾として上演


浅利慶太追悼公演:5作品連続上演:プロモーションVTR

▼観劇直後の感想です。

下村青さんが参加されることはTwitterで知っていたのですが、ヒノデロだと思っていたので、まさかのペドロ役で驚きました。

しかも、ペドロ役に合わせて増量していて、もちろん歌い方も変えていて、面影がなくなっていて、どっぷりとしたペドロを熱演していました。

そんな下村青さんのペドロを見ていたら、光枝明彦さんを思い出してしまいましたね。

坂本里咲さんも、年齢を感じさせない身軽なアクロバットを見事に披露されていて、圧巻でした。

そして、飯野おさみさん、加藤敬二さん、田邊真也さん、上川一哉さんなど、数々の四季俳優に演じられてきたユタ役。

今回ユタを演じたのは山科諒馬さん。

初めてお目にかかりましたが、谷桃子バレエ団に在籍されているだけあり、喧嘩のシーンでは見事なダンスを披露し、特に連続ピルエットでは自然に拍手が沸き起こっていました。

その他、林香純さんの名前を見つけた時、懐かしさで胸がいっぱいになりました。

『春のめざめ』日本初演キャストのひとりで、主役のベンドラ役でした。

確か、以前映像で観たときは雨は音と映像のみで表現されていたと思うのですが、本作では実際に水を流して雨を表現していました。

また、フライングはダンジャとモンゼ、そしてユタがしていました。

前半にダンジャとモンゼが後方から前方に向かって飛び、後半でユタが下にいるペドロと一緒にフラフープを持ちながら前後に揺れ、その後スピンするというものでした。

横方向の動きではなく、前後方向だったので、舞台の奥行きや立体感を感じられて良かったです。

みんなは一人のために 一人はみんなのために

今回改めて感じたのは、この作品は共生、他者理解などをテーマとした幅広い世代に親しまれている名作であるということです。

実際、客席には子どもからご高齢の方まで、様々な方が涙していました。

ブロードウェイ作品にはない、日本の風土、歴史、素朴さを感じ、且つ、フライングやアクロバティックなダンスをはじめとしたミュージカル的要素を楽しむことができる稀有な作品です。

初演から40年以上経過していますが、これからも末永く、様々な俳優によって演じられ続けてもらいたいと願っています。

公式サイト:

浅利演出事務所 - ユタと不思議な仲間たち 2019年追悼公演