『テンプルのえくぼ(1936)』とは
主演はシャーリー・テンプル。
音楽は「On the Sunny Side of the Street(明るい表通りで)」などを作曲したジミー・マクヒュー。
監督はウィリアム・A・サイター。
あらすじ
舞台は1853年のニューヨーク。
8歳のディンプル(=えくぼ)ちゃんは、Boweryの街角でパフォーマンスを披露しながら、スリをする祖父であるアップルビー教授と貧しいながらも仲睦まじく暮らしていた。
ある日、ワシントンスクエアにあるお金持ちのドリュー夫人の邸宅で披露したパフォーマンスが大受けし、ディンプルを気に入ったドリュー夫人は5000ドルで彼女を引き取りたいとアップルビー教授に申し出る。
しかし、ディンプルを心から愛するアップルビー教授にとってそれは考えられないことであり、申し出を辞退する。
ドリュー夫人の甥のアレンは、婚約者であるベティを捨て、思いを寄せる舞台女優の元にいったことで、演劇嫌いのドリュー夫人に勘当される。
しかし、アレンは夢であった『アンクルトムの小屋』をミンストレルショーで上演する決意を固め、ディンプルに主演リトル・エヴァ役を依頼する。
ショーの初日、アップルビー教授の夫人に対する詐欺が判明し、教授は逮捕されそうになるが、ショーに感銘を受けた夫人は教授を許すのだった。
キャスト
シルビア"ディンプル"・ドロレス・アップルビー シャーリー・テンプル
ユースタス・アップルビー教授 フランク・モーガン
アレン・ドリュー ロバート・ケント
キャロライン・ドリュー夫人 ヘレン・ウェストリン
シセロ ステピン・フェチット
ベティ デルマ・バイロン
感想
この作品が、私にとって初めて観たテンプルちゃんの主演映画でした。
テンプルちゃんの魅力は子どもの持つ愛らしさ。
丸々した顔に、定番のくるくるブロンド、決して大人びていない歌声、しかしダンスを見ると基礎がしっかりしており、トレーニングされた子役であることがわかります。
まるで動くフランス人形のようです。
そして何より演技では子どもとは思えない表現力を見せつけています。
ジュディ・ガーランドやディアナ・ダービンといった子役たちは大人らしさを求められましたが、テンプルちゃんはそれらとは対照的に幼児性を前面に出したルックスでした。
▼「Hey, What Did the Blue Jay Say」,「Picture Me Without You」
Dimples (1936) - "Hey, What Did the Blue Jay Say" and "Picture Me Without You"
「老人と子どもたち」「すり」などのキーワードから、ディケンズの『オリヴァー・ツイスト』が連想されますが、もしかするとそれが着想の原点なのかもしれません。
ディンプルのおじいちゃんであるアップルビー教授は窃盗を繰り返しているのですが、これが貧しいから生きるために、という感じではなく、病的な印象。
途中から「もういい加減にディンプルちゃんを泣かせるのはやめて」と思ってしまいます。
ただ、それ以外の場面での、ディンプルちゃんと教授の仲の良さは微笑ましく、気持ちがほっこりします。
そして、ディンプルちゃんと教授のhugはなぜか泣けます。
やはり、私は親子ものにはめっぽう弱いようです。
このおじいちゃん役はジュディ・ガーランドが主演した『オズの魔法使』でタイトルロールの魔法使いを演じた方です。
おそらくこの時まだ40代なのですが、非常に老け役がお似合いです。
本作では『アンクルトムの小屋』を劇中劇で演じているにも関わらず、黒人の描き方はやはり時代も時代ということで、差別的な印象を受けややショックでした。
▼「He Was a Dandy」
歌は曲数は少ないですが、テンプルちゃんがアメリカ的な陽気な楽曲のほぼ全てを歌っています。
本作ではテンプルちゃんのタップダンスの見せ場が多くあり、楽しめました。
▼「Dixie-anna」
Shirley Temple Dixie-Anna From Dimples 1936
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