『ジーザス・クライスト・スーパースター ライブ・イン・コンサート(2018)』とは
2018年4月1日にNBCで生中継された、ミュージカル『ジーザス・クライスト・スーパースター』をモチーフにしたミュージカルスペシャル番組。
元のミュージカルは、イエス・キリストの最期の7日間をモデルにしている。
アンドリュー・ロイド・ウェバー作曲、ティム・ライス作詞。
1070年にコンセプトアルバムから生まれ、1971年ブロードウェイ初演(トニー賞は受賞していない)。
以来、3度のブロードウェイにおけるリヴァイヴァル公演、2度の映画化、2度のコンサート形式の映像化をされている。
あらすじ
大工の息子であるジーザスは、人々に新しい教えを説き、数々の奇跡を起こしているという。
圧政に苦しんでいた民衆たちは、たちまちジーザスの言葉に耳を傾けるようになり、彼こそ「救い主」「神の子」と讃える。
弟子の一人、イスカリオテのユダにとってジーザスは「神の子」ではなかった。
ジーザスを愛するユダには「全て御心のまま」という師の真意が理解できなかった。
彼女はかげりのない純粋で献身的な愛をジーザスに注ぐ。
ジーザスが「ただの人」だと露見した時、人々はそれを許すはずがない。
彼らの怒りによってジーザスは押しつぶされてしまうだろう。
そう予感したユダは、師であるジーザスを裏切る決意をする。
弟子との最後の食事でジーザスはこの中に裏切り者がいると指摘する。
同様する弟子たちをよそに、ジーザスは独りゲッセマネの園で父なる神に問いかける。
銀貨30枚と引き替えにユダは師の居場所を教え、ついにジーザスは捕らえられる。
支配者たちの間をたらい回しにされ、侮辱され、嘲笑されても、ジーザスは抵抗しない。
あまりにも無力に見える彼の姿に民衆は失望し、「彼を殺せ、十字架にかけろ」と叫び続ける。
ユダ、マリア、シモン、ペテロといった弟子たち、ユダヤ教の司教、ローマ帝国総督、そして民衆。
様々な思いが交錯する。
キャスト
マグダラのマリア サラ・バレリス
イスカリオテのユダ ブランドン・ヴィクター・ディクソン
ピラト総督 ベン・ダニエル
カヤパ ノーム・ルイス
ペテロ ジェイソン・タム
アンナス ジン・ハー
シモン エリック・グレンウォル
感想
Amazonのprimeビデオで観ることができました。
『ジーザス・クライスト・スーパースター』(以下、JCS)は映画化もされていますが、それについては別記事にします。
今回は、NBC版のコンサートについて書きたいと思います。
コンサートと名前はついていますが、元々がロックオペラで台詞がほとんどないこともあり、ほぼJCSの舞台そのものをliveで観ているという印象でした。
▼出演者たちが語る本作への思い
'Jesus Christ Superstar Live in Concert' First Look
JCSはその演出によって大きく印象が変わってきます。
ブロードウェイ公演はリバイバルやツアーを含めて観たことがないのですが、劇団四季による公演では、今までに「エルサレムバージョン」と「ジャポネスクバージョン」の2種類を何度か観たことがあり、同じ作品でもそれぞれ全く違う印象を受けました。
演出家の自由度が高いからこそ、何度も再演が繰り返されてきたのでしょう。
本作の舞台セットは、むき出しの鉄骨の骨組みや打ちっ放しのコンクリートでつくられており、あたかも高架橋や高速道路の下のようでした。
出演者たちはジーンズにTシャツのようなラフな出で立ちで、ジーザスも上の動画にあるようにシャツにグレーのロングカーディガンという格好で、現代の街中にいる若者のようです。
一方、カヤパや総督などはいかついコートを着て、一目でそれとわかるようになっていました。
演奏者の一部(ヴァイオリン奏者など)はキャストたちを先導するように、一緒に入場してきました。
また、ジーザスであるレジェンドは客席に手を差し出し、それに観客たちは喜んで握手していましたが、こうして観客たちをジーザスを崇拝する民衆に見立てることで、immersive theater感を増幅させているのかなと感じました。
夢のような奇跡のキャスト出演
今回はやはりキャストが豪華でした。
ジーザスは高音が多いので、ジョン・レジェンドはやや苦しそうな場面もありましたが、それもジーザスの苦悩に見えて、胸が震えました。
ユダにはブランドン・ヴィクター・ディクソン。
この方はこの映像作品で初めて拝見しましたが、特に彼の歌う「I Don't Know How to Love Him(reprise)」は彼なりのアレンジがされていて、非常に感動的でした。
ユダの「JESUS~~~!!!」というシャウトも良かったです。
ジーザスを思う気持ちが強すぎるあまり、裏切る、苦悩に満ちた様子を演じきっていました。
2019年5月に日本で行われるブロードウェイ・コンサートに、ギャヴィン・クリールの代わりに、このブランドンが来日することになり、それも今から楽しみです。
そして、最近『ウェイトレス』のクリエイティブやトニー賞授賞式のホストなど、ブロードウェイとの関係が強くなっているサラ・バレリス。
最初は、「このタイミングでありがちなキャスティングだわ」と思ったのですが、観た後では、個人的には今回のメインの中で一番役のイメージに適していると感じました。
「I Don't Know How to Love Him」や「Could We Start Again Please」の神々しさといったらもう。
ヘロデ王のアリス・クーパーは、道化的で剽軽で、小気味好いあのナンバーを歌っていました。
この陽気なナンバーがシリアスな流れの中で登場すると、ふっと気持ちが軽くなりますね。
カヤパを演じたのはノーム・ルイス。
『レ・ミゼラブル コンサート』でジャヴェールを演じたことで知り、以来フォローしています。
今回も怖い役ですが、実際は笑顔の愛くるしいおじちゃんなのです。
カヤパのノームのバリトンヴォイスは本当に素晴らしかったです。
また、ペテロを演じたジェイソン・タムについても一言。
ペテロはジーザスを知らないと言い張る役どころ。
最後の晩餐でジーザスがそのことを予言するけれど、ペテロは必死で否定し、結果的にジーザスの予言通りになります。
彼と出会ったのは『コーラスライン』の再演のポール役だったかと思います。
最近では『ビー・モア・チル』のスクィップ役でオリジナルキャストとして出演していて、おそらく間も無くまた舞台でお目にかかるであろうと思います。
陰ながら応援している俳優さんの一人です。
▼舞台裏について
Jesus Christ Superstar Live in Concert - Bringing Jesus Christ Superstar to Live TV
ジーザス・クライスト・スーパースター・ライブ・イン・コンサート (字幕版)
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