ミュージカルは終わらない Musicals won't be over.

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『遥かなるアルゼンチン(1940)』Down Argentine Way

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『遥かなるアルゼンチン(1940)』とは

1940年の20世紀フォックスによるミュージカル映画

監督はアーヴィング・カミングによる。

作曲は「Lullaby of Broadway」や「At Last」を手がけたハリー・ウォーレン、作詞は「At Last」などを手がけたマック・ゴードン。

あらすじ

アルゼンチン人のリカルドは競走馬を売るために父ドン・ディエゴとともにニューヨークにやってきた。

出発前に、父はリカルドに「決してクロフォード家の者には競走馬を売るな」と注意していた。

リカルドの競走馬は優勝し、高値で取引されるだろうと見られていたが、競技場で出会ったグレンダの美しさに魅了されたリカルドは、一緒に食前酒を飲む約束をした上で売値の1/4でグレンダに手渡すことにする。

楽しい夜を過ごし、ついにリカルドは愛の告白をグレンダにするが、なんとグレンダはクロフォード家の人間だったのだ。

父との約束を破れないリカルドはグレンダに謝り契約を取り消すが、グレンダとは喧嘩別れしてしまう。

しかし、ニューヨークに戻ったグレンダは怒ってはいたものの、リカルドを忘れられず、おばのビニーとともにアルゼンチンに渡るのだった。

キャスト

リカルド・クインタナ ドン・アメチー

グレンダ・クロフォード ベティ・グレイブル

カルメンミランダ カルメンミランダ(本人役)

ビニー・クロフォード シャーロット・グリーンウッド

カシアノ J・カロル・ナイシュ

ドン・ディエゴ・クインタナ ヘンリー・ステファンソン

ヘレン・カールソン ケイ・アルドリッチ

ティト レオニド・キンズリー

エステバン クリス・ピン・マーティン

ダンサー ニコラスブラザーズ(フェイアード・ニコラス、ハロルド・ニコラス)

感想

「内容は特にないけれど、音楽とダンスで彩られたエキゾチックで美しい世界を楽しむミュージカル映画」と言えば、まさにこの映画でしょう。

まず、ベティ・グレイブルの美しさに、同性ですが、心を奪われてしまいました。

天真爛漫、純真な印象を受けると同時に、ふとした表情に艶やかさがある、非常に魅力的な女優さんでした。

劇中で何度もリプライズされるタイトル曲の中で、小鳥がさえずるように「チュチュチュ」と唇を鳴らすのがとても可愛らしかったです。

彼女は他にもアステア&ロジャース主演のミュージカル映画にも何度か出演しており、本作が初めての主演映画だそうで、初々しさも感じられますが、歌唱、ダンス、演技、三拍子揃った実力派でした。

ドン・アメチーも後年まで長く活躍した俳優ですが、本作ではとても情熱的なアルゼンチン男性を熱演しています。

▼主演のグレイブルとアミチーによるiconicなタイトル曲


Down Argentine Way - Betty Grable & Don Ameche - "Down Argentine Way"

また、特筆すべきなのは、ニコラス・ブラザーズの見事なダンスシーンでしょう。

私はこの作品で初めて彼らの存在を知りました。

タップダンスとアクロバットを組み合わせたような、観客の度肝を抜くダイナミックなパフォーマンスを楽しめます。

関節大丈夫かしら?と思う場面が何度もあり、心配になるほどでしたが、すぐに颯爽と起き上がり踊り続けていました。

一見の価値ありです。

▼本作中のニコラス・ブラザーズのパフォーマンス


The Nicholas Brothers .. Down Argentine way.

また、リリーフというほどでもありませんが、本作の中のコミックリリーフ的役回りを担っているカルメンミランダのコミカルな歌唱シーンも必見です。

歌声が素晴らしいのももちろんですが、彼女の場合は表情がくるくる変化して、ラテン系の明るさを象徴するような存在として作品に君臨していました。


Down Argentine Way (1940) - Carmen Miranda - "Bambu Bambu"

馬をめぐるストーリーラインは同年代のミュージカル映画にはないので、新鮮さを感じました。

競馬好きの方にもぜひおすすめしたいミュージカル映画です。