ミュージカルは終わらない Musicals won't be over.

舞台ミュージカルを中心とした、ミュージカル映画、演劇、オペラに関するブログ

『恋の手ほどき(1958)』Gigi

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恋の手ほどき(1958)』とは

1958年公開のアメリカのミュージカル映画

原作は、シドニー=ガブリエル・コレットの書いた同名小説。

マイ・フェア・レディ』を制作したコンビである、フレデリック・ロウ作詞、アラン・ジェイ・ラーナー作曲による。

原作小説と本作を基にしたミュージカルが、1973年ブロードウェイで初演された。

アカデミー賞9部門受賞。

あらすじ

ジジは、母親が歌手で忙しいため、祖母のマミタに育てられている無邪気な少女。

学校から帰ると、マミタの妹であるアリシアのもとに礼儀作法を学びに行くのが通例になっていた。

マミタは密かにジジを社交界の花形に仕立て上げたいと考えていたのだ。

マミタと旧知の仲であるラシュイユ氏の甥であるガストンは、愛想が良い反面、遊び人と噂されるほど女性が途絶えない男だった。

ガストンは度々マミタの家を訪れていたため、ジジとも兄弟のようにとても仲が良かった。

恋人の浮気が発覚し、傷心のガストンはジジたちと一緒に行った海での思い出を懐かしみながら、ジジの健気さや清純な心の美しさに心が揺れ動いていた。

意を決してマミタにジジへの思いを打ち明けると、「結婚を約束したものでなければ、ジジとの交際を許さない」と言われ、ガストンは動揺してその場を去る。

ジジはガストンに嫌われたのだと感じ悲しみのあまり泣き出す。

叔父であるラシュイユ伯爵に相談すると、他に目を向けるようにとパーティーが開催されることになる。

しかし、その場に現れたガストンの隣にいたのはジジであった。

キャスト

ジジ  レスリー・キャロン

ホノール・ラシュイユ モーリス・シュヴァリエ

ガストン・ラシュイユ ルイ・ジュールダン

マミタ ハーミオン・ジンゴールド

アリシアおばさん イザベル・ジーンズ

リアーネ エヴァガボール

感想

マイ・フェア・レディ』のコンビが作ったミュージカル映画恋の手ほどき』を観ました。

▼trailerです。


Gigi Official Trailer #1 - Leslie Caron Movie (1958) HD

『パリのアメリカ人』ではジーン・ケリー、『あしながおじさん』ではフレッド・アステアと、ビッグネームとの共演が立て続いたレスリー・キャロンの有名な主演作。

本作でも彼女の明朗さ、天真爛漫さが輝いています。

レスリーの歌声は『ウエストサイド物語』でアニタ役のリタ・モレノの歌声を部分的に吹き替えた、ベティ・ワンドが担当しています。

レスリーの相手役ガストンを演じたルイ・ジュールダンは、『マイ・フェア・レディ』のハリスンのようにセリフ調の歌い方ですが、朗々とした美声を響かせています。

物語自体は、ラシュイユ伯爵のナレーションで進行していきます。

正直、最初はこのナイスミドルのおじさんは何者だろう?女性をもののような扱い方をしてけしからんと思ってしまったのですが、これも時代を反映したものなのでしょうね。

ロケがほぼパリで行われたため、雰囲気からして、ハリウッドのスタジオで撮影された同年代の他の作品とは違う格調高い雰囲気を全編から感じられます。

ジジの衣装の華やかさ、その他室内のカーテンや小物に至るまで、ハイセンスで観ていて飽きません。

音楽については、MFLと比較するとキャッチーなメロディーは少ない印象です。

ちなみに、この映画の前に、原作小説を基にしたストレートプレイがブロードウェイで上演されていますが、この主演がオードリー・ヘップバーンで、彼女のブロードウェイデビュー作でした。

コレットの小説では、少女をいわゆる貴族の愛人(娼婦に近い)に養成する過程が描かれており、社会的にはタブー視されていました。

映画化でもその点が映倫に引っかかるため、内容を変更し、淑女に仕立て上げるようにしたそうです。

その結果、全米で大ヒットし、ジジのお人形が爆発的に売れる事態になったとか。

この映画を基にした舞台ミュージカルは、最近では2015年のrevivalで、『ハイスクールミュージカル』シリーズで主演していたヴァネッサ・ハジェンズがジジを演じていますが、こちらは短命に終わりました。


Gigi Performance Tony Awards 2015

 

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