ミュージカルは終わらない Musicals won't be over.

ミューオタるんによる舞台ミュージカルを中心とした、ミュージカル映画、演劇、オペラに関するブログ

『フィニアンの虹(1968)』Finian’s Rainbow

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『フィニアンの虹(1968)』とは

1968年に公開されたミュージカル映画

1947年初演の同名のブロードウェイミュージカルを基にしている。

舞台版のほとんどの楽曲が映画で使用されている。

監督にはUCLAを卒業したばかりのフランシス・フォード・コッポラが抜擢された。

フレッド・アステアにとっては、最後のミュージカル映画出演となった。

あらすじ

舞台は架空の都市ミシタッキー州レインボー・バレー。

アイルランド人のフィニアンとその娘シャロンは、レプリコーンから盗んだ金の壺を持ってこの谷にやってきた。

金本位制の話を聞いていた彼は、フォートノックスに近い土地に金の壺を埋めれば、それが増えて大金持ちになれると信じていたが、実はこの金の壺は3つの願いが叶えられる魔法の壺だったのだ。

レインボーバレーでは、議員ローキンスらが土地を買いあげようと躍起になっており、金を無心され人々が困っていたところを、フィニアンらが助け出す。

救世主となった2人は、ハンサムなウッディ、口がきけず踊りで会話するスーザンや仲間たちに迎えられ、シャロンとウッディはたちまち恋に落ちる。

一方、金の壺を取り返すため、密かにレプリコーンのオグも一緒にレインボーバレーにやってきており、近くにいたシャロンに一目惚れしてしまうのだった。

議員たちは、フィニアンが埋めた金の壺を金鉱と誤解した地質学者から「農場に金鉱がある」と聞きつけ、農場を閉鎖して小作人を追い出そうとする。

人種差別主義者のローキンスが黒人の小作人を罵倒した時に、シャロンが怒りのあまり「あなたも黒人になればいいのに」と叫ぶと、金の壺の力でローキンスは本当に黒人になってしまう。

「人種降格の罪」で魔女裁判にかけられたシャロンを救うため、金の壺を再び掘り起こそうとするフィニアンだったが、どうにも見当たらない。

フィニアンはオグを問いただし、オグも懸命に壺を探しているうちに、スーザンに出会い恋をする。

耳が聞こえず口もきけないスーザンに想いが伝わらないオグは「君が話せればいいのに」と願うと、スーザンは話せるようになったのだ。

金の壺はそばにあると知るオグは、とうとう壺を探し当てるが、すでに2つの願いを叶えた壺が実現できる願いはあと1つだけ。

つまり、シャロンを救えばオグは元のレプリコーンの世界に戻れないのだ。

しかし、すでにスーザンに恋していたオグは思い直し、急いで黒人になった議員ローキンスを白人に戻し、シャロンを救う。

白人に戻ったローキンスは黒人の気持ちを理解できるようになり、今までの考えを改めるようになり、シャロンとウッディの結婚式も無事にとり行われたのだった。

それを見届けたフィニアンは、虹を探す旅に再び出るため、レインボーバレーを去っていくのだった。

キャスト

フィニアン・マクロナガン  フレッド・アステア

シャロン・マクロナガン  ペトゥラ・クラーク

オグ  トミー・スティー

ウッディ  ドン・フランクス

スーザン  バーバラ・ハンコック

ローキンス議員  キーナン・ウィン

ハワード  アル・フリーマン Jr.

感想

日本ではあまり馴染みのない 『フィニアンの虹』ですが、『マイ・フェア・レディ』に追い抜かれるまではブロードウェイのロングラン記録を保持していたミュージカルでした。

私は2009年のrevival版をブロードウェイで観ていて、当時まだ若かったので内容を理解するのは難しかったのですが、印象的な楽曲が記憶に残っています。

この映画版では元の舞台版に忠実に作られたと評価されているようです。

ただ、ウッディがタバコを作っているというエピソードは舞台版にはないそうです。

↓trailerです。


Finian's Rainbow - Trailer

ナンバーは「Look to the Rainbow」「How Are Things in Glocca Morra?」「Old Devil Moon」「If This Isn't Love」「When I'm Not Near the Girl I Love」など。

特に「Look to the Rainbow」は何度も繰り返し歌われますが、ラストで歌われる時には涙無しにはとても聴くことはできません。

やはり私は親子ものに弱いようです。

↓作中に何度もrepriseされる名曲「Look to the Rainbow」


Look to the Rainbow - Finian's Rainbow (1968)

On the day I was born

said my father, said he

I've an elegant legacy

waiting for ye

Tis a rhyme for your lips

and a song for your heart

To sing whenever the world galls apart

Look, look, look to the rainbow

Follow it over the hill and stream

Look, look,  look to the rainbow

Follow the fellow who follows a dream

井上芳雄さんもcoverしています。

 ↓スタンダードナンバーとしても愛されているromanticな名曲「Old Devil Moon」(曲は2:45くらいから始まります。)


Full Scene: Old Devil Moon, Finian's Rainbow (1968)

若き日のコッポラ監督がこの作品を引き受けたのは諸事情があったからのようです。

彼の父はブロードウェイミュージカルのオーケストラの指揮者で、親戚にも劇場関係者がいたので、ミュージカルに親しみながら成長したそうなのですが、この作品は彼自身が撮りたいと願っていたタイプの映画ではなかったようです。

ただ、この作品を引き受ければ、ミュージカルを愛する父をはじめ親戚一同が喜ぶだろうという思いから引き受けたと自らコメンタリーで語っていました。

実際、編集作業は他人に任せて、次に自分が撮りたいと思っていた映画の撮影にそそくさと行ってしまい、試写会で本作を観た時にあまりに冗長な作品になってしまったことから赤面し、以来編集も自身で全て行うようになったとのこと。

それ以外にも、この作品は多くの反省点、教訓を監督に残したようで、コメンタリーでは後悔エピソードのオンパレードでした。

ディレクターズカットを出したいようなことも言っていましたし。

さて、作品について総評ですが、確かに少し長めですが、アステアが率いる牧歌的な群舞シーンが名曲とともに観られ、とても幸せでした。

また、所々笑いを誘うシーンもあり、緩急がつけられていたと思います。

個人的に好きなのは、金の壺を埋めようと酒瓶片手に歩くアステアの後ろから、木に扮装したオグがつけまわすシーン。

あと、何と言ってもオープニングから惹きつけられます。

ここは代役を使っていると後で知りましたが、それでも素晴らしい導入部です。

若干、オグのトミー・スティールの演技はくどい気もしましたが、ファンタジーの世界からやってきたレプリコーン役なので、終わってみるといいアクセントになっていたのかなと思いました。

アステアはあまり気に入っていなかったようですが、口のきけないスーザンを演じた女優さんのダンスは素晴らしかったですし、確かに歌はか細い声でしたが、かえって現実味があってよかったと思います。

そして何より、アステアとクラークの親子があまりに素敵すぎて、何度観ても幸せな気持ちになれる作品です。

 

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