『TOP HAT』とは
2011年にウエストエンドで初演されたミュージカル。
フレッド・アステアとジンジャー・ロジャース主演の1935年の同名映画を基にしている。
楽曲は同名映画からだけでなく、この作品と同時期のアステア出演作、つまりいわゆるミュージカル映画黄金期の作品から選曲されている。
↓原作となった映画についてはこちら
あらすじ
ブロードウェイで活躍する大人気ミュージカルスター、ジェリー・トラヴァースは、英国人プロデューサーのホレスに招かれ、彼のショーに主役として出演するためロンドンに渡る。
ホテルに到着したジェリーが部屋でひとりタップダンスに興じていると、その騒音に腹を立てた階下の部屋に泊まる美しいモデル、デイル・トレモントが、苦情を言いにやってくる。
そんな彼女に一目惚れしたジェリーは、歌やダンスはもちろん、あの手この手で恋心を伝えるうちに、やがて二人の心は通じ合うようになっていくが、たわいもない行き違いから、デイルはジェリーのことを友人マッジの夫ホレスと勘違いしてしまう。
デイルはなるべくジェリーから離れるため、以前から熱烈なアプローチを受けていたイタリア人衣裳デザイナー、アルベルトと一緒にヴェニスへ旅立ってしまう。
ひとり残された理由もわからず、デイルへの思いを募らせていくジェリー。
騒動の後始末のため、忠実な執事ベイツにデイルの行方を探させるホレス。
やがてデイルの行方を知ったジェリーは慌てて彼女の後を追いかけるが、そこでも些細な誤解から、デイルはアルベルトと結婚することに・・・。
キャスト
ジェリー・トラヴァース 坂本昌行
デイル・トレモント 多部未華子
アルベルト・べディーニ 屋良朝幸
マッジ・ハードウィック 朝海ひかる
ホレス・ハードウィック 益岡徹
ベイツ 浅野和之
感想
久しぶりに古典的なミュージカル映画の世界を覗き見るような作品を観てきました。
同じ名前のアステア&ロジャース主演の映画『トップハット』は事前に何度か観ていて好きだったので、その舞台版だと思ったのですが、その映画だけでなく黄金期のミュージカル映画から何曲も歌われていました。
使われていた楽曲の一部は以下の通りです。
- Puttin' On the Ritz(『ブルースカイ』より)
- I'm Putting All My Eggs In One Basket(『艦隊を追って』より)
- Isn't This a Lovely Day
- You're Easy To Dance With
- Top Hat, White Tie and Tails
- Wild About You
- Cheek to Cheek
- Let's Face the Music And Dance(『艦隊を追って』より)
- Better Luck Next Time(『イースターパレード』より)
タップダンスをはじめとしたダンスシーンが見応えのある作品でした。
↓本公演のtrailerです。
ミュージカル「TOP HAT(トップ・ハット)」プロモーション映像
主演の2人をミュージカルで拝見するのは初めて。
ジャニーズに関しては詳しくないのですが、おそらく坂本さんは以前からタップダンスの経験がある程度あったと思われるような踊り方で、素晴らしかったです。
表情や演技も映画の中のアステアを意識しているのが、3階席に座っていても伝わってきましたし、それはそれで良かったです。
対してミュージカル未経験の多部さんは、ダンスについては限られた時間の中で努力されたのだろうなというのはわかりました。
そもそも、ミュージカル未経験者にジンジャー・ロジャースの役をやれという企画自体、かなり無理があるというものですが、ロジャースの持っているセックスシンボル的な側面は叶っていたかなと思います。
例えていうなら、多部さんの中にある、清楚にしたBetty Boopのようなコケティッシュさが開花していたと感じました。
屋良さんは去年の『ドッグファイト』以来かしら。
今回は三枚目&悪気のない悪役という役所を見事に演じきっていて、最初誰かわからなかったほど。
総じて、ミュージカル映画黄金期のナンバーを背景にしたタップを多用した群舞は見応えがあり、liveのオーケストラとともにそれを楽しめたのは舞台ならでは魅力ですね。
アステア&ロジャース主演の映画の中ではplotも比較的面白い作品なので、dramaとしても楽しめました。
↓ウエストエンドでの公演のtrailerです。