『ヘアー』とは
1968年ブロードウェイ初演のミュージカルを基にした、1979年のミュージカル映画。
『カッコウの巣の上で』や『アマデウス』などで知られるミロス・フォアマン監督による。
元の舞台版とは大幅にあらすじは変わり、曲も何曲か削除された。
あらすじ
ベトナム戦争最前線に向かうオクラホマの純朴な青年クロードは、2日後の出征を前にニューヨーク見物をすることにした。
ニューヨークに到着した彼は、ヒッピーたちの奔放なパフォーマンスを見せつけられ圧倒される。
ジョージたちのヒッピーのグループに声をかけられ、行動を共にするうちに、セントラルパークで見かけた馬に乗る令嬢シーラに心を奪われてしまう。
何としても彼女に心を打ち明けたいクロードの気持ちを察したジョージは、彼のためにシーラの豪邸に赴きパーティーに乱入する。
警察に捕まってしまうもののなんとか抜け出す。
その一件を経て、彼らの破天荒な振る舞いに魅せられ、シーラもヒッピーたちとつるむようになる。
しかし、クロードの出征の日は近づいていたのだった。
キャスト
クロード ジョン・サヴェージ
ジョージ トリート・ウィリアムズ
シーラ ビヴァリー・ダンジェロ
ジーニー アニー・ゴールデン
ラファイエット(ハッド) ドーシー・ライト
ウーフ ドン・ダカス
エイント ネル・カーター
ハッドのフィアンセ シェリル・バーンズ
フェントン リチャード・ブライス
将軍 ニコラス・レイ
ウッドロー マイケル・ジェッター
感想
映画版『ヘアー』を観ましたので、簡単ですがレビューを残しておきたいと思います。
このミュージカルは2011年にブロードウェイでrevival公演を観ましたが、映画版はこの度初めて観ました。
▼作品のtrailerです。
Hair (1979) - Official Trailer
『ヘアー』は上記の通り、ベトナム戦争下のヒッピーたちを描いたロックミュージカルです。
映画撮影時は、監督の納得のいく画が撮れるまで何度も撮影を繰り返したため、全部で400時間もフィルムを回したそうですが、最終的には2時間と数分に収まっています。
楽曲は、元の舞台版のものからは10曲が削除され、新たに「Somebody To Love」が加えられました。
また、内容的にも舞台版からは大きく変更されていますが、ネタバレになってしまうところもあるので今回は一部だけ。
クロードは映画ではオクラホマから出てきたベトナム戦争に向かう青年という設定ですが、舞台ではジョージたちと同じヒッピーという設定です。
シーラも同じく、舞台ではヒッピーのひとりであり、クロードとジョージの2人同時に愛する女性として描かれています。
▼作品のiconicなnumber「Aquarius」
当時、熱狂的なファンを生み出した作品だけあり、後のミュージカル作品にも大きな影響を与えたことが伺える箇所が随所で見受けられました。
その一つが「I Got Life」でのテーブルの上で歌い踊るシーン。
反抗心を露わにするという点でも、『レント』の「La Vie Bohème」のシーンに酷似していることがわかります。
また、セントラルパークでLSDを使うシーンでは、マスクを着用したヒッピーらが登場しますが、『ライオン・キング』やその他のジュリー・テイモアが手がけた作品に登場するマスクに非常に似ており、ジュリーも影響を受けたのかなと思いました。
▼『RENT』の「La Vie Bohème」に似ているシーンがある「I Got Life」
冒頭の「Aquarius」による導入から、一気に作品に引き込まれました。
実際のセントラルパークをロケ地として使っており、ヒッピーの自由で牧歌的な雰囲気が伝わってくる画を楽しめました。
また、楽曲も一曲一曲個性的で、サントラ盤はロックアルバムとしても楽しめる一枚となっています。
舞台を先に観ていた身としては、いきなりの登場人物の設定の違いに驚きはしましたが、音楽を聴きながら記憶が徐々に蘇ってきて、楽しい時間を過ごせました。
大口をたたいていたのに結局親に頼って留置所からみんなを助け出したり、婚約者がいて他の女性に手を出しているのにそれを正当化したり、途中ヒッピーの考え方には辟易してしまいましたが、ラストシーンは意外でした。
ホワイトハウスの前で「Let the Sunshine In」を歌う姿には反戦や平和といったメッセージが伝わってきました。
▼「Good Morning Starshine」も大好きな一曲
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