『星の王子さま』とは
サン=テグジュペリによる同名の小説を基にしている。
本作のボブ・フォッシーによるダンスは、マイケル・ジャクソンに大きな影響を与え、後のムーンウォークの元になったという。
監督は、多くのミュージカル映画を手がけたスタンリー・ドーネン。
あらすじ
飛行機の故障で、パイロットはサハラ砂漠のある地点で途方に暮れていた。
そんな彼の目の前に、星の王子さまが現れる。
自分の星で大切に育てていた、たった一本の美しいバラについて王子さまは語る。
バラに次第に振り回されるようになった王子さまは、悲しい気持ちで自分の星を離れ、旅に出たのだった。
旅に出た王子さまは近くの様々な星を巡りながら地球に降り立った。
地球で王子さまは何本ものバラを見かける。
自分の星で大切に育てていた一本のバラは、どこにでもある花だと知り、悲しい気持ちになる。
その後、キツネとかけがえのない友達になる。
キツネの勧めでもう一度バラを見に行くと、たとえ同じバラであっても、あのバラは王子さまにとってはかけがえのないたった一本のバラであったことに気づく。
そして、わがままを言っていたのはバラが自分を愛していたからであり、自分もどれだけバラを愛していたかを王子さまは思い知るのだった。
別れ際にキツネは「大切なものは目に見えないのだ」と王子さまに語りかける。
自分の星に帰るために、ヘビに噛まれる以外道はないとパイロットに話す。
パイロットは王子さまを止めるが、王子さまはヘビに噛まれて息をひきとる。
修理を終えた飛行機を前にしたパイロットの耳元に、王子さまの笑い声が響くのだった。
キャスト
パイロット リチャード・カイリー
ヘビ ボブ・フォッシー
キツネ ジーン・ワイルダー
バラ ドナ・マッケニー
王様 ジョス・アクランド
実業家 クライブ・レヴィル
歴史家 ビクター・スピネッチ
将軍 グレアム・クローデン
感想
上述したように、マイケル・ジャクソンに影響を与えた映画として知られています。
また、テグジュペリによる『星の王子さま』をモチーフにした作品としては比較的原作に忠実です。
ドーネン監督がミュージカル映画化を熱望し、やっと原作側から許可がおりたそうです。
ドーネン監督を慕って、ジーン・ワイルダーやボブ・フォッシーなど大物が出演しましたが、公開当初、興行成績はあまり芳しくなかったそうです。
タイトルロールを演じた子役ちゃんはとてもとても愛くるしくて、誰もが笑顔になる笑い声をたてるのです。
まさに天使の微笑み。
彼の映画出演はこれきりなのですが、成人後はブリティッシュエアウェイズのCAになったそうで、実際に空に関わる職業に就いたのは興味深いと思いました。
ファミリーで楽しめ、ほのぼのとした気持ちになる素朴なミュージカル映画で、私は癒されたい時たまに観ます。
原作の小説はベストセラーですが、小学低学年以下の子どもが読むには少しとっつきづらいと思うので、その導入に観るとしてもいいと思います。
ジーン・ワイルダーやボブ・フォッシーの全力の体当たりのパフォーマンスも魅力的です。
▼ジーン・ワイルダー演じるキツネと王子さまが仲良くなるシーン
The Little Prince - Grow a Little Closer
▼伝説のボブ・フォッシー演じるヘビのダンス
The Little Prince (1974) - Bob Fosse Scene
最後になりますが、パイロット役のリチャード・カイリーは、ブロードウェイの『ラ・マンチャの男』でオリジナルキャストとしてタイトルロールを演じた硬派な俳優で、本作でも素晴らしい歌声を披露しています。
▼リチャード・カイリーによる本作のiconicな一曲
The Little Prince - Richard Kiley sings "Little Prince" - HD (Portuguese Subtitles)
また、バラを演じたドナ・マッケニーは、ブロードウェイの『コーラスライン』でオリジナルキャストとしてキャシーを演じた方です。
▼ドナが歌う印象的なナンバー「Be Happy」
もちろん原作ファンの方は思うところがあると思いますが、『星の王子さま』の映画化や舞台化などがたくさんある中では、私は一番好きです。