ミュージカルは終わらない Musicals won't be over.

舞台ミュージカルを中心とした、ミュージカル映画、演劇、オペラに関するブログ

『Dear Evan Hansen』『ディア・エヴァン・ハンセン』2018.9.19.14:00@Music Box Theatre

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『Dear Evan Hansen』とは

2015年のワシントンD.C.でのプレミア公演の後、2016年にオフブロードウェイ初演、ブロードウェイ初演を迎えたミュージカル。

トニー賞を6部門受賞した。

作詞作曲は、ミュージカル『ドッグファイト』、映画『ラ・ラ・ランド』や『グレイテストショーマン』などで知られるパセック&ポールによる。

作詞作曲を担当した一人、パセックの高校時代に起きた出来事を基に構想を膨らませ、レヴェンソンが脚本を書いた。

日本での公演は来日含めて2018年11月現在叶っていない。

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あらすじ

17歳のエヴァンは人に接するのが苦手で、高校でも友人がひとりもいなかった。

かかりつけのカウンセラーの勧めで、“Dear Evan Hansen”で始まる自分に宛てた手紙という形式で、日記を書くことを日課にしていた。

母ひとり子ひとりの家庭ではあったが、愛情あふれる母親にエヴァンは将来を嘱望されていた。

そんなある日、エヴァンは木から落ちて、右腕を骨折してしまう。

アメリカでは怪我が早く治るようにとギプスに寄せ書きしてもらう習慣があるが、友人のいないエヴァンのギプスは真っ白のままだった。

そこで、たまたま出くわした同じく友人の少ないコナーに声をかけるが、逆にからかわれてしまう。

コナーの妹ゾーイは兄の振る舞いをエヴァンに謝るのだが、密かにゾーイに想いを寄せていたエヴァンは実は胸を高鳴らせていた。

その後、パソコン室で“自分への手紙”をプリントアウトしていたところ、エヴァンはコナーに再会するが、前回とは違いコナーは反省した様子で、ギプスにサインすると申し出るのだった。

しかし、コナーはそこでエヴァンの“自分への手紙”を発見してしまい、そこに記されていたゾーイへの恋心を読み取り、エヴァンが自分をからかうためにプリントアウトしたのだと勘違いして憤り、その紙を奪って逃げて去ってしまうのだった。

その数日後、コナーが自殺したと連絡が入った。

コナーは自殺した時、遺書も何も残していなかった–––たったひとつの手紙を除いては。

それがエヴァンの“自分への手紙”だったのだ。

コナーの両親は、死の前に息子が親友であるエヴァンに宛てた手紙だと勘違いし、エヴァンを夕食に招く。

自分たちの息子には友人がいたということを喜んでいるコナーの両親の目の前で、エヴァンは真実を話せず、「コナーとはずっと親友で、密かにメールで交友していた仲だった」と嘘をついてしまう。

それまで社会との接触を極力絶っていたエヴァンは、SNS上で「自殺した生徒の唯一の友人」として一躍注目され、時の人となった。

さらに、コナーの死を悼むための「Conner project」を創設し、代表を務めるまでになる。

ゾーイは次第にエヴァンに好意を抱くようになり、2人は惹かれ合うが、エヴァンは彼女にも嘘をついているという後ろめたい気持ちを抱えていた。

その間も、エヴァンのついた嘘は予想もつかないほど膨れ上がっていたのだった。

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キャスト

Evan Hansen.   Michael Lee Brown

Heidi Hansen.   Lisa Brescia

Zoe Murphy.   Mallory Bechtel

Cynthia Murphy.   Jennifer Laura Thompson

Larry Murphy.   Michael Park

Connor Murphy.   Alex Boniello

Alana Beck.   Phoenix Best

Jared Kleinman.   Sky Lakota-Lynch

感想

2018年9月のブロードウェイ遠征の続きです。

この作品のために今回渡米したと言っても過言ではないくらい期待していて、唯一Telechargeでチケットを前もって買っていた作品。

観劇前、実は「プロット読んだけれどなんだかなぁ…そこまで響かないなぁ…」と思っていたのですが(本音)、実際に拝見すると、楽曲の良さとうら若き演者たちの熱演に、知らないうちにすっかり魅せられていました。

ナンバーのジャンルはポップスで、確かにミュージカルの劇中歌なのですが、単曲としても聴くに耐える出来で、このブロードウェイキャストレコーディングが異例のセールスを記録しているのは何ら不思議でもないと思いました。

次回渡米した際には必ずLPを手に入れるぞと心に決めているほど。

「You are not alone. You will be found.」というメッセージが疎外感を感じながら生きる様々な年齢層の人たちの心を打ったのです。

また、この作品でスターダムに上がったトニー賞受賞者ベン・プラットをはじめ(彼はもう出演していませんが)、若い役者たちが舞台上でスパークしまくっていて、それだけで胸が震えました。 

トニー賞最優秀主演男優賞を受賞したBen Platによる素晴らしいパフォーマンス


Show Clips: DEAR EVAN HANSEN starring Ben Platt

エヴァンが早口で焦りながら長い台詞をまくしたてるのですが、それがいかにもエヴァンらしくて、とても微笑ましいのです。

↓私が観劇した時のゾーイ役のマロリー。絶妙な適役。


“Requiem” from DEAR EVAN HANSEN performed by Mallory Bechtel | DEAR EVAN HANSEN

私が観た時のゾーイも可愛くて可愛くて、エヴァンが憧れる気持ちもわかるなというくらいで、歌もamazingでした。

舞台にはいくつもランダムにスクリーンが置かれていて、中央にエヴァンのベッドや場合によってはソファなどが配置されていました。

デジタルネイティブの主人公たちらしく、スクリーンにはシーンによってTwitterのメイン画面がリアルタイムに表示されています。

来年からロンドンでも公演が始まりますし、日本での公演も十分実現可能だと思うので、今からとても楽しみです。

また続きを書きます。

↓世界中のファンによる感動的な「You Will Be Found」の大合唱。「You are not alone」という歌詞が心に沁み入ります。


"You Will Be Found" Virtual Choir | DEAR EVAN HANSEN