『有頂天時代』とは
1936年公開のアメリカのミュージカル映画。
アステア&ロジャースコンビの第6作目。
音楽は「煙が目にしみる」などのジェローム・カーン。
「The Way You Look Tonight 」はアカデミー歌曲賞を受賞した。
あらすじ
ダンサーのラッキーは、ダンサーの夢を諦め、マーガレットと結婚しようとするが、同僚のダンサーたちに邪魔されて結婚式に遅刻してしまう。
激怒した花嫁の父親から、2万5千ドル稼ぐまで結婚は許さないと言われ、一獲千金を狙い、一路ニューヨークに向かう。
道ばたで偶然出会ったダンス教師のペニーとダンスのパートナーになり、恋が芽生えるが、婚約中のラッキーはペニーとの恋を進めることがなかなかできず。
キャスト
ラッキー フレッド・アステア
ペニー ジンジャー・ロジャース
ポップ・カルデッティ ヴィクター・ムーア
メイベル ヘレン・ブロデリック
感想
アステア&ロジャースコンビの作品で、一番プロットが好きなのは本作です。
少ない元手からギャンブルで徐々に成り上がっていく様子や、最後の爆笑シーンなどから、有頂天時代なんていう粋な邦題をよく考えられたなと思いました。
婚約者がいるけれど、目の前の女性への気持ちを抑えられない、微妙な立場を演じるアステアと、そんなつれない対応をするアステアに拗ねるロジャースがなんとも可愛らしいのです。
「Fine Romance 」という一曲がこの2人の付かず離れずの様子をうまく表していました。
なんというか、この映画は80年以上前の映画ですが、男女の仲って時代は移り変わっても本質的には変わらないのだなと、このシーンを見ると苦笑いしてしまいます。
Fred Astaire & Ginger Rogers - A Fine Romance (1936)
また、音楽といえば、なんといっても、スタンダードナンバーになっている「The Way You Look Tonight 」を語らずにいられません。
ため息が出るほどロマンチックですね。
シャンプー中のペニーが思わず恍惚となる気持ちもわかります。
本作には、アステアにしては珍しく、というか唯一かしら、黒塗りでのミンストレルショー風のダンスシーンがあります。
アステアが巨大な3つの黒い大きな影をバックに踊る様子が印象に残っています。
「Never Gonna Dance」は、文字通り、「僕が踊る相手は君だけ。だからもう僕が踊ることはないから、帽子も燕尾服も捨てよう」というナンバー。
切なくて胸が苦しくなりました。
このシーンは、アステアがこだわり、40テイク以上撮影されたそうです。
婚約者の元へ向かおうとするペニーを引き止めるような形で、階段から大広間とかなり広いスペースにわたって踊るため、撮影終了時には足から血が流れていたという話もあるほどだったそうです。
アステア&ロジャースのダンスと歌を楽しめ、かつ、筋書きもなかなかおもしろいので、アステア作品に興味のある方にはおすすめです。