『プリンス・オブ・エジプト』とは
ドリームワークスによるミュージカル・アニメ映画。
スティーブン・スピルバーグがその製作に関わった。
旧約聖書の出エジプト記にある、モーセによるイスラエル人のエジプト脱出を描いている。
音楽は『ウィキッド』や『ゴッドスペル』などのステファン・シュワルツによる。
あらすじ
はるか昔のエジプト。ナイル川のほとりに住み着いたイスラエル人はエジプト王の奴隷として虐げられていた。ヘブライ人の増加と反乱を恐れたエジプト王ファラオは生まれてきた男子全てを殺す命令を下す。その最中、我が子を殺させまいとパピルスの籠に入れてナイル川に流した母親がいた。その子は流れ着いた先でエジプト女王に拾われ、モーセとなづけられ、実の子のように大切に育てられた。
時は過ぎ、エジプトの王子として成長したモーセは、自分のことを弟と呼ぶミリアムと偶然出会う。遠き日の記憶が錯綜し混乱する。そんなある日、奴隷のヘブライ人の老人が鞭で打たれているところを制止しようとしたところ、誤ってエジプト人を殺害してしまう。弟を庇おうとするラメセスを振り切り、モーセは砂漠へ放浪の旅に出る。
キャスト(吹替)/歌(歌の吹替)
モーセ ヴァル・キルマー(寺脇康文)/アーミック・バイラム(森田浩貴)
ラメセス レイフ・ファインズ(椎名桔平)/レイフ・ファインズ(水野賢司)
ツィッポラ ミシェル・ファイファー(天海祐希)/ミシェル・ファイファー(しらいみちよ)
ミリアム サンドラ・ブロック(吉岡小鼓音)/サリー・ドゥワースキー(新里久良良)
感想
何気なく見始めましたが、想像以上に聖書に忠実、かつ映像が美しかったので、印象に残っています。
私は今のところクリスチャンではないですし、おそらく多くの日本人と同じく聖書に関して無知なのですが、ロイドウェバー作品などを観る上でも聖書の最低限の知識は必要なので、何冊か関連本を読みました。
旧約聖書に関して、要点を押さえて概略を知ることができるのは、岩波少年文庫の『旧約聖書物語』です。中学生以上向けで子ども向けですが、大人でも導入本としてはうってつけかと思いますのでぜひ。
さて、この作品は、モーセの出生からヘブライ人らを引き連れ、紅海を渡ってエジプトを脱出するまでを描いています。
モーセに焦点を当てながらも、大きな軸となっているのは兄と慕ったラメセスとの兄弟愛、分裂を描いた大河ドラマです。
曲は少ないながらも、シュワルツによる印象的な楽曲となっていました。
また、何と言っても映像美。
紅海が割れる様子や、割れた断面にクジラが泳いでいる場面などは鳥肌が立ちました。
聖書については、日本の公立学校ではなかなか扱わないのに、ヨーロッパ絵画をはじめ西洋芸術を理解しようとすると必ず最低限の知識を求められます。
この映画は小学校低学年でも十分理解できる描き方で旧約聖書の一部を描いているので、聖書の優れた教材なのではないかと密かに思っています。
アカデミー歌曲賞を受賞した「When You Believe」↓実際には同曲のホイットニー・ヒューストンとマライア・キャリーver.が受賞。