『プロデューサーズ』とは
2005年に公開されたアメリカのミュージカル映画。
2001年初演のメル・ブルックスによる同名のブロードウェイミュージカルを基にしており、脚本の一部と作詞作曲はメル・ブルックスによる。
ブロードウェイミュージカルは1968年の同名映画(ミュージカル映画ではない)を基にしており、その1968年の映画はメル・ブルックスが監督している。
本作は、ブロードウェイミュージカル『コンタクト』の振り付けなどで有名なスーザン・ストローマンの映画監督デビュー作である。
主演のマックスとレオはオリジナルブロードウェイキャストの2人が演じており、音楽もほとんど舞台版のものを使用している。
あらすじ
かつてはブロードウェイの王と呼ばれるほどの名プロデューサーだったマックス・ビアリストックは、なかなかヒット作を出せずにいた。そんな時、マックスの事務所をたまたま訪れた会計士レオの「ヒット作を作るよりも、駄作を作った方が結果的に儲かる」というアイディアに飛びつき、史上最悪のショーを作る決心をする。違法であるため、ためらっていたレオだったが、単調な会計士としての仕事と縁を切り、密かに憧れていたブロードウェイプロデューサーを目指し、マックスと一緒に最悪の作家、最悪の演出家、最悪の役者を探し始めるのだった。こうして完成した『ヒトラーの春』は間違いなく失敗するはずだったのだが。。。
キャスト
マックス・ビアリストック ネイサン・レイン
レオ・ブルーム マシュー・ブロデリック
ウーラ ユマ・サーマン
フランツ・リープキン ウィル・フェレル
ロジャー・デ・ブリー ゲイリー・ビーチ
感想
この作品以上に、ブロードウェイへの愛が詰まっている作品はないのではないでしょうか。
『プロデューサーズ』はミュージカル通の方ほど、たくさんツッコメて笑える作品だと思います。
冒頭の『ファニー・ボーイ(ハムレットのミュージカル版)』から、笑いが止まりません。
ファニー・ブライスの人生を描いたミュージカル『ファニー・ガール』をもじっていますね。
実際のブロードウェイのオリジナルキャストの2人を主演に迎えているので、普段からミュージカルを見慣れていない日本人にとっては、少々大げさな表現だなと感じる場面もあるかもしれませんが、、、この機会に慣れましょう!笑
その2人というのが、ブロードウェイの芸達者俳優であるネイサン・レインと、『セックス・アンド・ザ・シティ』のキャリー役でおなじみのサラ・ジェシカ・パーカーの夫である、ベビーフェイスのマシュー・ブロデリック。
このミュージカルは、この2人のために書かれたのではないかと思ってしまうほど、適役です。
それを「We Can Do It」の絶妙な掛け合いから見せてくれます。
さらに、レオの妄想が爆発する「I Wanna Be A Producer」は歴史に残るミュージカル映画のワンシーンでしょう。
マシュー・ブロデリックのダンサーの一面が垣間見られますし、豪華な演出、装置で非常に華やかです。
そして、周りにはbeautiful girls wearing nothing but pearlsがたくさん。(彼女たちは本当にシースルーのレオタードに真珠を縫い付けたものを着ています。)
「Guten Tag Hop Hop」「Keep It Gay」はもう、どうして笑わないでいられるでしょう。
面白すぎです。
まず、ゲイの演出家のロジャー・デ・ブリーのdebrisゴミとかクズっていう単語とかけている名前からして笑えます。しかも、ミドルネームはエリザベス。
また、この映画はブロードウェイのルールを教えてくれる一曲もあります。
それが「Never Say Good Luck On Opening Night」です。
これはブロードウェイ界隈では常識、マナーなので、知っておきたいところです。
舞台初日で「Good luck!」は縁起が良くないとされ、禁句になっています。
代わりに「Break a leg!」と言うことが縁起の良いこととされています。
おそらく時間の関係で、舞台版から削除された一曲が「King Of Broadway」です。
この曲は、過去の栄華を振り返るマックスの独白です。
DVDには未公開シーンとして入っていましたが、良い出来だったので、なぜ入れなかったのか少し残園です。
確かにこの映画の笑いは、なかなか日本人には通じにくいところもあるかもしれませんが、このミュージカルがブロードウェイで開幕した2001年はアメリカ同時多発テロ事件が起きた年でした。
マンハッタン全体がどんより暗い雰囲気になっていた時、この『プロデューサーズ』がブロードウェイの劇場街から、ニューヨーカーの疲弊した心を癒したのです。