『掠奪された七人の花嫁』とは
1954年に公開されたMGMによるミュージカル映画。
MGMによる大型のミュージカル映画としては最後の作品。
当初、並列で製作が進んでいた『ブリガドーン』の方が期待されており莫大な資金が投入されていたため、本作は低予算製作を強いられ、屋内セットで製作せざるを得ない部分が多くあった。
にも関わらず、興行的には本作の方が成功した。
あらすじ
オレゴン州の山奥で農場を経営する7人の兄弟。
長男のアダムが美しい花嫁を連れて帰ってきたことから、騒動が始まった。
兄に続けとばかりに弟たちも街の娘たちに声をかけるが上手くいかないどころか乱闘騒ぎになってしまう。
落ち込む弟たちに、アダムは、古代ローマの「サビニの女たちの略奪」の話を聞かせるのだった。
キャスト
アダム ハワード・キール
ベンジャミン ジェフ・リチャード
カレブ マット・マトックス
ダニエル マーク・プラット
エフレム ジャック・ダンボアーズ
フランク(フラワー) トミー・ロール
ギデオン ラス・タンブリン
感想
タイトルを聞くと、少しギョッとしてまさかまさかと思いますが、まさにタイトル通りのあらすじです!笑
しかし、それをミュージカル的なあっけらかんとした明るさでやってのけるので、全く悲壮感とか女性蔑視とかはありません。
昔ながらのMGMのミュージカル映画の雰囲気を持ちながら、七兄弟によるアクロバティックなダンスの数々を楽しめます。
上述の通り、限られた予算の中で作らねばならなかったため、製作陣たちにとっては、後悔の残る作品となったようです。
監督は、『雨に唄えば』などMGMの名作ミュージカル映画を手がけたスタンリー・ドーネンですが、ドキュメンタリーで「目を当てられないシーンがたくさんある」と話していました。
音楽とダンスが秀逸です。
男性曲は「Bless Your Beautiful Hide」「Lonesome Polecat」「Sobbin' Women」などハワード・キールの歌声に合う朗々と歌う楽曲が多く、また女性曲は「Wonderful,Wonderful Day」「June Bride」「Spring,Spring,Spring」などパウエルの小鳥のような声に合う可愛い楽曲が多い気がします。
ダンスシーンはこの映画のみどころの一つですが、納屋づくりのダンスシーンは一見の価値ありです。
Barn Raising Dance (7 Brides for 7 Brothers) - MGM Studio Orchestra (HD)
末っ子を演じたラス・タンブリンは、もともと曲芸や体操をやっていたこともあり、そういった才能をアクロバティックなダンスで発揮しています。