ミュージカルは終わらない Musicals won't be over.

ミューオタるんによる純粋なミュージカルブログ

『南部の唄(1946)』Song of the South

『南部の唄』とは

1946年のディズニーによる実写とアニメによる映画。
ディズニーの映画では、初の実写映画。
原作は、ジョーエル・チャンドラー・ハリス著のリーマスじいやの物語シリーズ
アカデミー賞は、主演男優賞と歌曲賞(「Zip-a-Dee-Doo-Dah」)を受賞した。
しかし、「黒人たちが楽しく生活しているように描かれており、過酷な奴隷時代の歴史が歪められる」とし、
全米黒人地位向上協会がディズニー側に抗議したため、それ以後、再公開、VHS化、DVD化されていない。
日本では、一時VHSが発売されていたが、現在は中古が出回るのみとなっている。
なお、この作品を基に、ディズニーランドの絶叫アトラクション「スプラッシュ・マウンテン」はつくられている。
このアトラクションは、映画のアニメ部分のみを描いているので、黒人地位向上協会の抗議対象外となっている。

 

あらすじ
少年ジョニーは家族とともにアトランタからジョージアに引っ越してきた。
仕事の都合で父親アトランタに戻ってしまい、寂しいジョニーは、
農場で下働きをしている黒人リーマスおじさんの話す機知に富んだ寓話で、寂しさを紛らわせていた。
しかし、話に熱中する息子を見た母親サリーは、あまりに感化されるのを恐れ、リーマスを煙たがっていた。
ある時、ジョニーは友だちのジニ―と2人で、おじさんの話に夢中になるあまり、誕生日会を欠席してしまう。
このことで、サリーはリーマスに、今後一切ジョニーに近寄らないように忠告する。
リーマスは忠告を受け入れ、住み慣れた町を出ていこうとするが。。。スタッフ・キャスト

リーマスおじさん/ブレア・フォックス…ジェームズ・バスケット
ジョニー…ボビー・ドリスコル
サリー…ルース・ウォリック
ジニ―…ルアナ・パットン
テンプティおばさん…ハティ・マクダニエル
ジョン…エリック・ロルフ
祖母…ルシール・ワトソン
トビー…グレン・リーディ
ブレア・ラビット…ジョニー・リー
ブレア・ベア…ニック・スチュワート

感想

この映画は、厳密にはミュージカル映画に分類されないかもしれませんが、
一応、歌も5,6曲出てきますし、
一番好きな映画と言っても過言ではないくらい好きな映画なので、記事にしてみました。

この映画の素晴らしい点は、なんといってもストーリーです。
リーマスおじさんの人間的な温かさは何度観ても感動的で、
アフリカ系アメリカ人として初めてアカデミー賞を受賞したジェームス・バスケットが好演しています。
また、子役の演技がまた良くて、主軸となるリーマスおじさんと少年ジョニーの友情などは、この子役ありき、という感じもします。

基本的に、実写映像で、リーマスおじさんが話す寓話の場面のみアニメになります。
部分的に、アニメと実写が合成されていますが、これが今から60年以上前のものとは思えないほどの、夢のある素晴らしい出来なのです!

 

さて、私はディズニー映画が大好きで、家にはディズニー映画のVHSがゴロゴロ転がっているのですが、
この『南部の唄』は、その中でも一番再生回数の多いVHSだと思います。
幼稚園の時、ほぼ毎日、日課のように見ていた作品です(笑)

小さい頃は、ただただ、ストーリー展開に感動したり、
ジッパ・ディー・ドゥー・ダーを一緒に歌ったりして楽しんでいました。
しかし、小学校に上がった頃、この作品があまり世間では知られていないことを感じとり、
中学に上がった頃に、ようやく、諸事情によってこの作品が廃盤となったことを知りました。
とても大好きな作品が廃盤となっていることがショックでしたし、
それが転じて南北戦争を含めたアメリカの歴史に関する本や「風とともに去りぬ」を読むに至りました。

南北戦争によって、奴隷は解放されたと書面上はなったのでしょうが、
実際のところ、その後200年以上にわたって変わらず、黒人たちは差別され、
奴隷としての過酷な労働を強いられたことは事実です。
確かに、この映画の舞台である19世紀末でも、黒人差別は続いていて、
農場主とその下で働いている黒人が直接会話を交わす場面など、
時代考証すれば、到底ありえない場面もあります。
しかし、もともと原作が、南北戦争後の理想的な白人と黒人の関係を描いたものであるし、
人種差別をモチーフにしているというより、
リーマスおじさんと少年との友愛とか人間的な温かさを描いている作品なので、
私としては、このような名作映画が何とかDVD化されないものかと、願うばかりです。
アメリカでは、正規DVD化に向けた署名活動まで起こっています。

 

スプラッシュ・マウンテン、お好きですか?
例のボートに乗るまでの待ち列で、周りを注意して耳をそばだてていると、
「おじさん、うさぎどんのお話をして!」という女の子の声がします。
そのおじさんは、きっとリーマスおじさんですよね。

なぜ、ボートは急降下するのか?
その直前で、なぜうさぎどんは「イバラの茂みにだけは入れないで!」と言っているのか?
この映画を観れば、納得できます。

ランドに行くたびに、このアトラクションに乗りますが、
一緒に並んでいる小さな子供たちは、リーマスおじさんのことをきっと知らないのだろうな、と思うと、
少し寂しい気持ちになったりします。

うさぎどんやきつねどんのお話は、単なる娯楽の寓話ではなくて、
長く過酷な奴隷時代を生きてきた黒人たちの、人生を生き抜く知恵や明るさにあふれたお話であることを、
絶対に忘れたくないな、と、乗るたびに思っています。