ミュージカルは終わらない Musicals won't be over.

舞台ミュージカルを中心とした、ミュージカル映画、演劇、オペラに関するブログ

『A CIVIL WAR CHRISTMAS』2019.12.28.18:00 @すみだパークスタジオ倉

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『A CIVIL WAR CHRISTMAS』とは

ポーラ・ヴォーゲルによる音楽劇。

今回は劇団TipTapのリーディングワークショップ公演で上演された。

演出・翻訳は上田一豪。

あらすじ

1864年のクリスマス・イヴ。

ワシントンD.C.を流れるポトマック川を隔てて南軍と北軍が睨み合っている。

時の大統領リンカーンは妻のクリスマスプレゼントのためにお忍びでホワイトハウスを抜け出していた。

妻を奴隷商人に攫われた北軍の黒人兵士は妻を探しに戦場へ。

北軍に家を焼き払われた南部の青年は復讐のために戦場へ。

負傷兵、暗殺者、看護師、馬など。

数えきれないたくさんの登場人物達がそれぞれクリスマスを過ごす中、家族を思い、国を思い、未来に思いを馳せている。

アメリカに伝わるクリスマスソングや民謡が物語を彩り、今も変わらないクリスマスへの思いを温かく語る音楽劇。

キャスト

原慎一郎 リンカーン、シルバー、パウエル氏、ウォルト・ホイットマン、奴隷商人3

田村良大 リー将軍、商人、ワード・ヒル・ラモン、チェスター・マントン・サンダース、奴隷商人2、病室の中尉

加藤潤一 ブロンソン軍曹、ジェームス・ウォームリー

法月康平 埠頭中尉、ウィリアム・テクムス・シャーマン、歩哨、ブレア、ジョン・サラット、モスビー・レンジャー1、モセス・レビー

佐野眞介 エリ・パーカー、黒人兵士1、ウォーカー・ルイス、フレデリック・ウォームリー

小林遼介 グラント将軍、父親、ジョン・ニコレイ、メアリーの護衛、ジョン・ウィルクス・ブース、白人事務官、モスビー・レンジャー2、ビンガム

加能大 ウィリー・マック、ジム・ウォーリー、黒人事務官

鳥居留圭 ラズ、ジョン・ハイ、歩哨の友人、護衛2、第二中尉、足のない病人

三森千愛 リンカーン夫人、ルイス・J・ウィッチマン、奴隷商人1

松原凛子 ローズ、ハンナ、アジー

高橋果鈴 ジェッサ、ラバ

麻尋えりか 黒人兵士2、ケックリー夫人

友部由菜 ルーヴィス・ペイネ、スタントン長官、クララ・バートン、チェスターの母、婦長

道垣内真帆 ジョージ・ケックリー、リトル・ジョー、トーマス夫人

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感想

こちらの作品が2019年最後に観たものになりました。

劇団TipTapさんのことは存じ上げていましたが、気づくとチケットが完売、ということが続き、なかなか観劇に至らず、今回ようやく初めて観劇いたしました。

アメリカで上演された公演のtrailer(雰囲気だけ参考までに載せます。)


A Civil War Christmas: An American Musical Celebration

▼観劇後の感想です。

 南北戦争中のクリスマスを描いた作品なので、上の動画のようにアメリカ公演では自然とアフリカ系アメリカ人にはその役を、アングロサクソン系(white)にはこの役をと役が割り振られますが、今回の公演ではアングロサクソン系の役は無地の衣装、アフリカ系アメリカ人役はストライプの衣装と分けていました。

もちろん今日ではミンストレルショーのような黒塗りは人種差別的なのでしません。

1幕作品の中に、いくつものエピソードが出てきて、後半になると各々のエピソードが繋がるという仕様になっていました。

上記のキャスト割りの通り、多種多様の立場の人々を限られた人数で1人多役で演じていました。

そのため、「あら?この方はさっきはあの役だったけれど、このシーンでは何の役かしら?」とやや混乱することもありましたが、じきに慣れました。

クリスマスというと日本だと友人や恋人と過ごすことが多いイベントかと思いますが、アメリカでは地元に帰り家族と過ごして一年を振り返ることが多いようです。

時は南北戦争、登場人物の立場も、子どもや大人、大統領や奴隷と様々ではありますが、どのような人も愛する家族がいるということを意識する季節に、人々はどのような出来事に遭遇するのか。

胸を締め付けられるシーンもありましたが、観終わった時はじんわりと温かい気持ちになりました。

初めて行ったこちらの会場はまさにoff broadwayの劇場のようなこじんまりとした空間で、客席の方が高く、底にある舞台を見下ろす構造でした。

下手にピアノなどバンドがいて、舞台袖もなく、上手・下手にある椅子にキャストは座っていました。

舞台上にはクリスマスツリーと、その周りに小さな家の形をしたライトが点在していて、とても可愛らしかったです。

音楽は既存のクリスマス曲や賛美歌を引用したものになっていましたが、知らない曲も多くありました。

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『アンナ(1967) 』Anna

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『アンナ(1967)』とは

1967年のフランスのミュージカル映画

日本では1998年に初めて劇場公開され、2019年よりデジタルリマスター版が日本各地で上映されている。

ミュージカルナンバーは、本作に出演もしているセルジュ・ゲンズブールが手掛けている。

監督はピエール・コラルニック。

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あらすじ

田舎からパリにやってきた女の子、アンナ。

広告代理店の社長セルジュは、駅の構内で撮影したポスターに映り込んだ彼女に恋をしてしまう。

近くにいるアンナに全く気づかず、ありあまる資金を使ってパリ中を探し回るセルジュ。

そんな彼の思いに気づいたアンナだったが…

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キャスト

アンナ アンナ・カリーナ

セルジュ ジャン=クロード・ブリアリ

セルジュの友人 セルジュ・ゲンズブール

パーティーに現れる女性 マリアンヌ・フェイスフル

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感想

フランスのミュージカル映画『アンナ』デジタルリマスター版を、シネマテークたかさきで観てきました。

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▼trailer


「アンナ デジタルリマスター版」予告編

▼鑑賞後の感想

 

ボソボソっと呟くような歌唱法(専門用語で何というのでしょうか)で、台詞の延長にやや節をつけたという印象のナンバーの数々に、フランスらしさを感じました。

冒頭からアヴァンギャルドで、一見すると理解不明な動きをした人々が登場し、数分後、あれはダンスの一種だったのだと気づきました。

同時期のハリウッドのミュージカル映画だと『ウエストサイド物語』などでしょうか。

アメリカ産のそれらとは全く違う趣きのミュージカル作品でした。

田舎から出てきたアンナが電車から降りた時、偶然眼鏡が外れた瞬間を写真に撮られ、それを見たセルジュが写真の中のアンナに恋をするというお話。

タイトルロールを演じるのはアンナ・カリーナさんという女優さんで、私はこの作品を観るまで存じ上げませんでしたが、ゴダール作品に多数出演された方だそうです。

しかし、本作ではそんな大御所の雰囲気を全く感じさせず、素朴な雰囲気の眼鏡っ子を演じています。

代表曲は、アンナが歌う「Sous Le Soleil Exactment」でしょうか。

日本語に訳すと「太陽の真下で」。


Anna Karina "Sous le soleil exactement" | Archive INA

アンナの衣装は、いま見ても斬新で、とても新鮮に感じられます。

ケルトンの雨合羽のようなコートは特に印象的でした。

衣装やアンニュイでオシャレな雰囲気を楽しむ映画としてはいいのかもしれませんが、ストーリーラインとの相乗効果をもたらす音楽やダンスはないので、ミュージカル映画としては物足りないと感じました。

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